感性とは、感性マーケティングとは

公開日:2020年04月01日最新更新日:2026年03月13日堀内香枝

スーパーマーケット「ライフ」の店内で作られている、ピーナッツバターをご存知でしょうか?
「こんなに新鮮で美味しいピーナッツバターが、スーパーで買えるの!」と私は感激しました。心を揺さぶるような商品やサービスに出会うと、深く印象に残ります。

ライフのピーナッツバターは、フレッシュさとライブ感を組み合わせた差別化戦略商品です。
このように、特別感・安心感・充実感など人間の心や思考に働きかける価値を戦略的に立案するマーケティングが「感性マーケティング」です。

この記事では、感性マーケティングの基本についてお話します。

このようなことを考えている方、探している方に役立ちます。

・「感性」ってそもそも何?
・「感性マーケティング」って何に役立つの?
・定性データを分析できるようになりたい

まずは感性マーケティングの成功事例を見てみましょう

感性マーケティングを実行すると、どんな成果(アウトプット)が得られるでしょうか。

冒頭のスーパーマーケット「ライフ」の、店内で手作りしているピーナッツバターが売れている例も一つです。

他に、「グランピング」が挙げられます。
これまでのキャンプは、大荷物を準備したり、テントを設営する必要があったり、一部の趣味人のすることと思われていました。未経験者が手ぶらで行っても、豪華で優雅なキャンプ気分を満喫できるサービスにしたのがグランピングです。

グランピング
グランピング

また、アイドルグループ「AKB48」の登場は、「会えないアイドルから会いに行けるアイドル」で打ち出し、大成功しました。

さらに、「ディズニーランド」は、「遊園地は子どもが楽しむ施設」という概念から、「大人が夢中になる」施設で大成功しています。

このように、感性マーケティングは、特別感・安心感・充実感など人間の心や思考に働きかける価値が+アルファの価値、つまり、付加価値となり、企業の利益につながります。

感性マーケティングの「感性」とは

「感性マーケティング」の「感性」とは、下記のように定義できます。

感性とは、人間が外界からの刺激を、感覚(五感など)で受容し、処理し表現する能力のこと。

感性の範囲

感性の範囲

上図は次を弊会で編集したものです。
「感性工学 第16巻3号 2018年9月 感性商品研究の最前線 P125-126 図1 情報処理論心理学的な感性の情報処理プロセスと定義(出所:長沢伸也 編著:感性をめぐる商品開発ーその方法と実際ー、日本出版サービス、6,2002,図1-1を加筆)、人間の感覚受容器に伝えられた後に発生する一連の情報の流れ 感覚→知覚→認知→感情→表現 として感性を捉えることができる」

原田 昭 氏(日本のインダストリアルデザイナー、筑波大学名誉教授、札幌市立大学名誉教授、感性工学会参与)は、「感性とは、ある刺激に対して働く能動的な能力を持った働きである」と定義しています。

脳科学分野では、意識的処理ではない無意識の処理が、行動に影響する研究もされています。
このことから「感性」は無意識領域の演算といわれることもあります。したがって、「感性」を扱う領域は、完璧に解明された領域ではなく、国内でも世界でも研究が継続されている分野といえます。

無意識の中に眠っている潜在ニーズを探りたい

本人自体が認識していないもの(ニーズ)、それでも、誰もが知りたいこと。
本人自体意識してはいないが、自分の“感性”にそって言葉にしたり、行動をしているのです。
その言葉や行動の真意をつかまえられれば・・。
それができれば、顧客価値の創造ができるのではないか。

そのためには、何を、いくつ、いくらで買ったか、といった履歴情報ではなく、また、トレンドに左右されやすい表層的な発言でもなく、人の価値観や意志といった深層にある潜在ニーズの探索がとても大切になってきます。
私たちは、人の「表層的」な発言ではなく「深層心理」を探ることができるような発言を引き出すアプローチを25年以上継続してきました。

              

感性情報とは

では、感性情報とは、どのようなものなのか?

感性情報は、「人間が外界からの様々な形態の刺激を受信した情報」、また、「受信刺激を脳を含む体内で処理し表現した情報」で、下表が感性情報の例です。

顧客を捉える心理的変数とは

生活者や消費者、顧客を捉えるには4変数あります。

  1.  デモグラフィック変数(人口統計変数)
  2.  ジオグラフィック変数(地理的変数)
  3.  ビヘイビアル変数(行動変数)
  4.  サイコグラフィック変数(心理的変数)
顧客を知る4変数_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)作成_デモグラフィック変数、ジオグラフィック変数、ビヘイビアル変数、サイコグラフィック変数

(1)デモグラフィック変数

年齢、職業、所得、家族構成、居住形態など、顧客がどんな人かを大まかに知るのに役立つ情報です。定性データが多いように見えますが、お客様の姿形の概要を理解するための一般属性と呼ばれる項目が多く、最初からカテゴライズ(分類)されていて、定量的に扱われています。

(2)ジオグラフィック変数

地域、気候、地理・地勢、風土など、顧客がどのような地域環境で育ったか、あるいは、現在どのような地域環境で暮らしているかを把握するのに役立つ地理的情報です。商圏人口などエリア戦略で必要な定量データが多く含まれます。

(3)ビヘイビアル変数

訪問回数、滞在時間、検索履歴、購入商品、購入金額、スマホのGPS位置情報など、顧客の行動を知るのに役立つ情報です。ほとんどが定量データです。

(4)サイコグラフィック変数

ライフスタイル、パーソナリティ、志向性、価値観、意志、考え、意見、感想など、顧客が“なぜ”そう思うのか、あるいは、これからどうしたいのか、“なぜ”決断したのかなど、購買行動を起こす背景を知るのに役立つ情報です。ほとんどが定性データです。感性データもこの変数に含まれます。
また、化粧品などを使用した使用感や、スポーツ観戦に行った際に感じた体感なども、商品(製品・サービス)の改善や新商品開発に役立つ情報です。

感性マーケティングとは

『感性マーケティング』とは、経営課題・事業課題に対し、顧客の感性を起点に心理構造を調査分析し、確信を持って戦略の意思決定を行い、顧客の心や思考に働きかける価値を創出すること、そして、企業の利益に結びつけることです。

顧客の心理を構造的に理解し、確信を持って戦略の意思決定を行うまでの方法

  • 問題設定
  • 仮説設計
  • 定量的なアンケート調査の中に価値観を導出するフリーアンサー(自由記述方式)設問を設計
    良い設問→良い洞察
  • 定量×定性の統合
  • 顧客の心理構造の分析・解釈・推定
  • 市場構造の理解
  • 戦略への翻訳
  • 戦略の意思決定

上記を連続的に行う中で、複数のキーパーソンの関わりや、要所における人間の判断も必要になります。これらを含めて、感性マーケティングと呼びます。

AIアンケート分析と感性マーケティングの違い

AIアンケート分析と感性マーケティングの違いについて解説します。

AIアンケート分析を選択した方が良い場合

次のようにスピード型マーケティングを実行する場合は、AIアンケート分析を選択した方が業務効率が高まります。

  • 一定レベルを出力したい
  • 深く分析しなくてもいい
  • スピード優先

感性マーケティングを選択した方が良い場合

次のように戦略型マーケティングを行う場合は、感性マーケティングが、戦略を自信を持って実行する原動力=エンジンになります。

下記のようなケースにおいて、

  • 新規市場開拓
  • 商品戦略
  • 市場構造の理解
  • カテゴリー内での成長

次のようなことを明らかにし課題解決を目指す場合、

  • なぜ顧客は買わないのか
  • どこを変えれば市場は広がるか
  • 顧客の心理と提供価値をどうつなげるか
  • 商品を変えるか売り方を変えるか

戦略的な経営課題・事業課題に沿ったアンケート設計が必要になります。
感性マーケティングを選択することで、確信を持って戦略の意思決定を行うことができます。

定性調査と感性マーケティングの違い

定性調査とは

一般的に認識されている「定性調査」とは、少数の調査対象者に対して対面で調査する調査手法のことです。
詳細は下記<定性調査とは>をご参照ください。

感性マーケティングとは

『感性マーケティング』とは、経営課題・事業課題に対し、顧客の感性を起点に心理構造を調査分析し、確信を持って戦略の意思決定を行い、顧客の心や思考に働きかける価値を創出すること、そして、企業の利益に結びつけることです。

戦略的な経営課題・事業課題に沿ったアンケート設計が必要になります。
感性マーケティングを選択することで、確信を持って戦略の意思決定を行うことができます。

「定性調査」は「定量調査」と対比されることが多いので、一般的に認識されている違いをご説明しておきます。

<定量調査とは>

定量調査とは、収集されるデータが数値化されている調査です。

認知率、購買率、当選確率など、市場調査や世論調査、実態調査を含めた、普段みなさんが見聞きする多くの調査は定量調査です。

仮説を検証したいときに向く調査手法で、調査対象数(サンプル数)の規模は大きい方(400~2,000程度以上)が適しています。

<定性調査とは>

定性調査とは、言葉や文章、写真、動画、映像など数値化できないデータを収集目的とした調査です。

調査対象者から発せられる生の言葉や行動、観察者が見た状態や印象などを調べたいときは定性調査を行います。

代表的な定性調査手法として「グループ・インタビュー(1グループ4~6人の座談会)」、「デプス・インタビュー(一対一)」が挙げられます。
この他、長時間にわたって対象者を面接する「深層面接法」や、対象者の態度や行動、反応などを観察する「観察法」などが用いられています。

仮説設計しづらいときや、市場の新しい動きを発見したいときに向く調査手法で、調査対象数(サンプル数)が少数から可能です。

定性調査に関して、上記の説明が一般的です。

感性マーケティングのための調査は、一般的に知られる定性調査と異なります。少数の対象者を調査する定性調査ではなく、”定量”調査のように規模の大きい対象者から”定性”データを収集し、”定量的”に分析するという点です。

多い数の定性データを収集し、量的に分析することで、定性データであっても、裏付けに基づいた戦略立案に役立てることを可能にするのです。

定性データとは
数値になっていないデータが「定性データ」です。言葉や文章、写真、動画、映像などが「定性データ」です。
これに対して数値データは「定量データ」です。売上高、従業員数、認知率、購買率などが「定量データ」です。

参考:定性調査とは(定量調査との違いと実施するポイント)|digmar   

インサイトとは

インサイトとは、英語で洞察、見識などの意味で、マーケティングでは、潜在欲求とか、購買欲求のツボなどの意味で使われています。

前出の項目「感性とは」の図<感性の範囲>をもう一度ご覧いただくと一目瞭然だと思います。

「インサイト」は「感性」の一部です。
すなわち、感性マーケティングの中の一部に、「インサイト」は含まれます。

人の感性をデータで取得する方法

感性データを収集する方法はさまざまな種類があります。下記に主な方法を大括りで挙げます。

1.感性評価

《質問法》

調査目的に沿って設問を設計して、回答者に質問形式で調査を行う方法です。一般的な方法が「アンケート」です。また、直接対象となる人々と対話しながら調査員が質問をし、回答者の意見や感じたことを聞き出す「インタビュー」という方法もあります。

《傾聴法》

横から傾聴してデータを収集する方法です。例えば、楽天市場の商品を購入した人のレビューなど各種サイト上に投稿された口コミや、SNSに投稿された商品やブランドに関する主観的な感想です。情報を取得する際は、各サイトの規約に沿う必要がありますのでご注意ください。

《観察法》

対象を観察して調査を行う方法です。例えば、ホームページのユーザビリティテストでは視線計測(アイトラッキング)がよく知られています。

《実験法》

対象に対して検証したいモノやコトを準備して、その反応を調査する方法です。例えば、新製品の試作品を試してもらうことなどです。

2.官能評価

人の感覚(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚)を利用して評価する方法です。食品分野においては、お米の食味試験など、おいしさを評価するために用いられています。

3.感性計測

《心理的側面の計測》

代表例はSD法です。「明るい-暗い」といった対立する形容詞の対を用いて、5段階や7段階の尺度で回答者に評価してもらう方法です。

《生理的側面の計測》

脳波や心拍の変動、表情筋(顔の目や口、鼻などを動かす筋肉)を計測して心の状態を測定するなどの方法があります。

《その他の感性計測》

ライブを聴いた人が感動するというような体感をモデル化する感性計測技術も研究されています。その他、物理学・心理学・生理学などの多面的なアプローチとそれらの関係も探求されています。

感性計測の例:株式会社島津製作所YouTubeチャンネル「感性計測システム「HuME」 試用版」より

また、センサーやカメラが搭載された、赤ちゃん型ロボット「かまって『ひろちゃん』」(下の動画)をはじめ、ロボットと人が触れ合うことで生じる心理的変化など、触れ合いメカニズムの研究を通じて、人の五感(触覚など)の測定技術も進化しています。

感性計測の例:ヴィストン株式会社YouTubeチャンネル あやして癒やされる介護向け製品 かまって「ひろちゃん」の運用方法

感性マーケティング講座に参加してみませんか!!    

弊会では、感性マーケティングを学べる資格講座「JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性」を開催しています。

講座の中で使う感性(感性データ)は、アンケートの言葉です。言葉を定量化し分析し戦略立案を行うスキルを身に着けられるカリキュラムです。

言葉は、消費者の言葉(アンケートのフリーアンサー)と社員の言葉(仮説の社員意見)の2種類を扱います。

言葉をどのように定量化するのかを理解いただくと、そのスキルを応用して、映像や音楽などの感性データも、定量化して分析する方法をご理解いただけます。

ご興味のある方はこちら↓からご覧ください☆

JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル感性_日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)主催の資格講座です_感覚的な定性データを数値化し分析し、商品開発やブランドマーケティング、戦略立案につなげることができる能力を習得していただきます。

無料WEBセミナーでは、感性マーケティングの事例をお話し致します!また、「感性マーケティングの」実用資格講座『JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性』と、基礎マーケティングの実用資格講座『JMLAベーシックパスポート』についてもご案内いたします!👇ご覧ください!

感性マーケティングと基礎マーケティングに関するJMLA無料WEBセミナー_JMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)主催

「この商品はもっと売れるはずだ」
「この商品が売れている理由がわからない」
とお考えの方はお気軽にお問合せください。
お客様の声からもっと売れるを見つけ出します。

        

JMAL(日本マーケティング・リテラシー協会)のマーケティング資格講座体系を見る

JMLAマーケティング資格講座体系_マーケティング解析士_商品企画士_日本マーケティング・リテラシー協会主催講座

      

       

商品開発・新規事業開発の支援を専門に行う『WAKU WAKU 創造 LABO』はこちら

日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)内の新商品・新規事業開発を専門に支援するチーム『WAKU WAKU 創造ラボ』です。

         

             

☆無料セミナー☆【商品開発】をシステマティックに行いたいとお考えの方、お気軽にご参加ください!!  こちら↓

                     

The following two tabs change content below.
女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。