日本の英知を集結した日本発の「ミニマルファブ」
先日、産業技術総合研究所の臨海副都心センターで一般開放日がありましたので見学に行ってきました。
そこで、日本の英知と人材を結集した革新的なミニマルファブ構想の実態を知りましたので、今回はそのご報告をします。
産総研とは
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は、経済産業省所管の公的研究機関として、日本の産業技術向上のための研究を行っている法人ですが、一般には具体的に何をやっているのかあまり知られていないと思います。
「鉱工業の科学技術に関する研究及び開発等の業務を総合的に行うことにより、産業技術の向上及びその成果の普及を図り、もって経済及び産業の発展並びに鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保に資すること」(第3条)を目的とする。
(引用)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000203
と定めているとおり、産業技術の様々な分野で研究開発を行っています。
一般公開でも、
- 人工知能を使った身体運動の計測
- 多様な体型の人間の3次元モデル生成
- 秘密計算のための秘密分散技術
- 自動運転ロボット
など様々な技術が紹介されていました。
中でも、私の興味を引いたのが、ミニマルファブの研究開発です。
ミニマルファブとは、スマホやパソコンなどで使われるような半導体部品の大量生産ではなく、多品種少量および変種変量生産を目的とした省資源・省エネ型の生産システムのことです。
大量生産のためには、大掛かりな設備と運転が必要で膨大な資金とエネルギーが必要ですが、必要な半導体を必要な数量だけつくることには不向きです。
ある意味、半導体の市場の中の各ニッチな市場向けに開発されているといってもよいかもしれません。
発想の転換:ミニマルファブ構想
2030年には100兆円を超すとされている半導体市場ですが、ここのところ中国や台湾などに押されています。一昔前は、日本も半導体分野で世界と肩を並べた生産能力を備えていました。
半導体の受託生産(ファウンドリ)で世界最大手の台湾の企業、TSMCが熊本に新工場を建設中です。そのような工場は、先に述べたように大量生産型の工場です。
一方、産総研が目を付けたのが、多品種少量生産の具現化です。膨大な資金を必要とせず、省資源・省エネで行える事業なのです。
ミニマルファブの取り組みは、IoT(モノのインターネット)向けなどの少量多品種向けで、半導体市場の数十%の獲得を目指しているものなのです。
しかも、その取り組みには、産総研がビジョンとして掲げている「ともに挑む。つぎを創る。」を具現化し、多くの民間企業や大学などと連携して、開発に当たられていました。
「SEMICON JAPAN」2023年12月13日(水)15日~(金)@東京ビッグサイト にて、ミニマルファブ推進機構さんが20台ほどの装置群を展示されるそうです。
ビジョンのすばらしさと協業の力強さ
私が感動したのは、逆転の発想ともいえるビジョン・目標設定とそのための開発推進体制の構築です。
自分たちは何が出来て何が出来ないかを正しく理解し、自分たちではできないことは外部の協力を仰ぐ姿勢です。そしてそのことは、民間企業へのビジョンの浸透、事業推進を早めることに通じます。
信頼のおけるビジョン・目標設定が成されれば、周りは安心して協力できます。
関連記事:日刊工業新聞「半導体製造に新潮流を作り出す、「ミニマルファブ」を知っていますか?」
ここからはマーケティングの話に変わります。
自分たちは何が出来て何が出来ないかを正しく理解し、自分たちではできないことは外部の協力を仰ぐことは、協力してくれる周囲に対するビジョンの浸透のスピードと事業推進を早めます。信頼のおけるビジョン・目標設定が成されれば、周りは安心して協力できます。
これは、マーケティングの世界でもまったく同様です。
事業を推進していくうえで、まず行わなくてはいけないのがビジョンの設定です。
目標が不明確では、何を行えばよいかも不明確になってしまいます。
事業を成功させるには正しい手順がある
よく見受けるのが、技術力により、まず、製品をつくってから、つくった後、どうやって売ればよいかと悩む企業の多さです。
事業を成功、拡大させる確率を高めるためには、どこにニーズがあるのかを先に検討してから、製品をつくるという逆の順番を踏むことが大切です。
今一度、マーケティングの基本を学びなおしてみてはいかがでしょうか。
今さらだけどマーケティングの基礎を理解しておきたい方は、こちらをご覧になってみてください。↓
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