社内の常識を覆し枠にとらわれない発想で成功した商品開発

公開日:2026年02月28日最新更新日:2026年02月28日JMLA 事務局

「日本ハムシャウエッセン夜味」、「花王メリーズ」、「ドムドムハンバーガー丸ごとカニバーガー」は、どれも各市場においてヒットした商品です。これらには、ある共通した要素があるのはご存じでしょうか?
3商品とも、取締役たちからの酷評や社内のタブーなどを打ち破って商品化にこぎつけたものなのです。
社内に存在する暗黙の常識や、既成概念は時として消費者ニーズから取り残されているかもしれません。

今回は、これら3商品を取り上げて、ヒット商品を生み出すヒントを学びたいと思います。

日本ハム「シャウエッセン」

2025年に発売40周年を迎えたシャウエッセンは、日本ハムの主力商品です。
そのシャウエッセンの売上が2024年に約800億円と過去最高額を記録しました。
その記録を達成した背景には「シャウエッセン®夜味」の投入があります。

「シャウエッセン®夜味」は、30代から40代男性をターゲットとして「フライパン一つで夕食の一品として調理しやすい焼き料理商品」という位置づけで開発された商品です。

シャウエッセンはロングセラー商品だけに、購買層が60代以上が中心になっていました。
ですから若年層の取り込みがマーケティング部門の課題でした。

そこで、「朝食ではなく夕食に、フライパンで簡単に調理できる」をコンセプトに開発に臨んだのです。もちろん主力商品の改良版を出すわけですから、消費者調査を入念に行い、ニーズに応えどう訴求すべきかというプロモーション展開まで踏み込んで商品開発を行いました。

ところが、市場投入の前に大きな壁が立ちはだかりました。

それは社内に、「シャウエッセンは、ボイル調理のみ、焼くべからず、切るべからず、味を変えるべからず」というタブーが存在していたのです。

皮に閉じ込められた肉汁の旨味やパリッとした食感へのこだわりから、シャウエッセンは発売当時から、ウインナーと言えば「焼く」が主流だった時代にあえて「ゆでる」スタイルを訴求して大成功した商品だったのです。

この成功体験により社内のタブーは決して破られるものではなかったのです。

しかし、開発チームは目標達成のためには絶対新しい商品が必要でした。
そこでチームは面白い作戦に出ました。

社内アンケートをとったのです。無記名でアンケートを行ったところ、社員・役員とも「焼いたことがある」という回答が88%もあったそうです。
この結果と、入念に行った消費者調査の結果を基に役員会を説得し、市場投入にこぎつけました。

市場投入の際には「社員も焼いたことがある」という事実を公表したプロモーションも功を制して発売当初から売り上げを大きく伸ばしたのです。
実際若い層からは、「焼いちゃいけないなんて知らなかった。」という声も聞かれたそうです。

発売後、30代から40代男性の購入割合も増え、夜に食べるという食シーンも拡大できました。

社内のタブーは、消費者ニーズに取り残されていたということでしょう。

花王「メリーズ」

メリーズという紙おむつの商品改良においても、同じように社内上層部の思い込みというものが存在しました。

紙おむつは「もれない」ことが最大重要要素だ。改良も漏れないようにすることが絶対条件だ。という考え方が上層部から開発チームへのお仕着せとして存在していました。

しかし、開発チームは違うのではないか、今の時代どこのメーカーの紙おむつでも漏れないことは常識になっている。ユーザーは何か違う要素を求めているのではないかと考えていました。

そこでユーザーの心をつかむ改良商品を出そうとプロジェクトを組みました。

ユーザーニーズを掴み、会社の上層部にも納得してもらうためには、強力な後ろ盾となるデータが必要です。プロジェクトチームは様々な調査手法や商品開発手法を探しました。そこで出会ったのが『P7(商品企画七つ道具)』という商品企画メソッドだったのです。

※『P7(商品企画七つ道具)』『Neo P7(新・商品企画七つ道具)』とは
感覚・感性中心の定性的(文系的)マーケティング手法に加えて、多変量解析、実験計画法などの定量的(科学的分析)手法を巧みに組み合わせて、消費者ニーズの方向性を適確に把握することができるシステマティックな商品企画法。

P7手法を用いて調査分析した結果、ユーザーのニーズの中心は「肌にやさしい」というものでした。

この「肌へのやさしさ」という調査の裏付けデータを基に役員提案を乗り越え、『肌に一番やさしいメリーズ』をコンセプトキーワードとして発売したところ、売上シェアもブランド評価も格段に上昇しました。

これも社内の常識がユーザーニーズと乖離していた一例でしょう。

ドムドムバーガー「丸ごと!!カニバーガー」

皆さんは、「丸ごと!!カニバーガー」という商品を食べたことがあるでしょうか?ソフトシェルという脱皮直後の柔らかいカニをバンズに挟んだものです。

現在期間や店舗限定商品となっているので、食べたことや見たことが無い方も多いでしょう。そんな方は一度ドムドムバーガーのホームページを見てください。バンズからカニの顔とはさみが飛び出していて、その斬新さに驚かれることでしょう。

「バンズからカニの顔とはさみが飛び出している」その見た目に対する社内評価も同様でした。
「見た目がシュールだ」「原価が高くて売値が千円位になる」など「変わりすぎていてハンバーガーではない」という評価だったのです。

ところが、全員に試食してもらったところ、「思わず笑ってしまうほどおいしかった」のです。これには役員会もGOサインを出さざるを得ませんでした。
もちろん、価格もできるだけ抑える、クオリティも保つという問題をクリアしながら発売にこぎつけました。
発売と同時に店舗に行列ができ、品切れを起こす店が続出し、大ヒット商品となりました。

この背景には、「普通ではないことに挑むのがドムドムらしく、変わり種に挑戦する遊び心はドムドムの精神だ」という社長の考え方がありました。

既成概念にとらわれず、チャレンジ精神をもって、商品開発に臨むことの大切さを教えてくれます。

まとめ

今回の既成概念を疑って成功!した商品開発の事例のように、自社の顧客が期待していることは何か、心のなかの望みを把握し、対応していく姿勢がヒット商品を生み出すためには、不可欠であることが解りました。
ヒット商品のパワーは、顧客に自我を呼び起こさせ、顧客にとってかけがえのない商品として、顧客の心の中を自社商品のブランドで占有することができます。
それはすなわち、企業のブランド評価を高め、収益を向上させる結果につながります。
ヒット商品を生み出す能力を養うためには、マーケティング戦略の基礎知識は欠かせません。
基礎を学び、なおかつその知識を実際に使いこなす力が重要になります。

当協会(JMLA:日本マーケティング・リテラシー協会)では、ヒット商品を生み出す力を養う3つの資格講座をご用意しています。
1. マーケティング戦略の基礎知識を身につける
2. 消費者や顧客のニーズを深く知る
3. 顧客ニーズに応じた感動商品を科学的に創出する

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1. マーケティング戦略の基礎知識を身につける

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JMLA 事務局

一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)は、商品企画開発とマーケティング戦略立案の領域で、ヒトの感性を起点にマーケティングサイエンスで「売れる」を創り出す2つのソリューションを提供しています。 また、2つのソリューションに関する、人財育成(認定資格講座、企業研修)も行っています。商品企画領域では系統的なメソッド「Neo P7」を用いて再現性ある開発を推進する内製化支援を行っています。