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JMLA 事務局 について

一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)は、商品企画開発とマーケティング戦略立案の領域で、ヒトの感性を起点にマーケティングサイエンスで「売れる」を創り出す2つのソリューションを提供しています。 また、2つのソリューションに関する、人財育成(認定資格講座、企業研修)も行っています。商品企画領域では系統的なメソッド「Neo P7」を用いて再現性ある開発を推進する内製化支援を行っています。

マーケティング視点で見直す、商品企画4つの方針

ヒット商品が出ない、売れない──それは、商品の質や担当者の努力が足りないからでしょうか。あるいは、人材・組織・戦略・販売体制といった仕組みの問題でしょうか。

確かにそれらも一因ではありますが、本質的な原因は、実はもっと根深いところにあります。
それは、「商品企画のやり方」そのものです。

いま私たちは、将来の予測が困難な「VUCA時代」と呼ばれる環境にいます。さらに、生成AIの台頭顧客行動の多様化によって、かつての成功パターンが通用しなくなっています。

こうした変化のなかで、「ひらめき頼み」や「経験則だけ」による商品企画に限界がきているのです。
「やり方とはこんなもの」「あとは担当者の才能と努力でなんとかする」──そのような常識や固定観念が、実は最大の落とし穴なのです。

以下に、神田教授(Neo P7開発者、弊会会長)の書籍「神田教授の商品企画ゼミナール Neo P7 ヒット商品を生むシステム」を引用して、商品企画の方針を4つ挙げますので、チェックしてみてください。

VUCA時代とは?
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉。現代のように変化が激しく予測困難な時代を指します。

Neo P7 参考https://wakulabo.marketing-literacy.org/

【方針1】感動商品を目指す

私たちが本当に目指すべきは、「安いから売れる」商品ではありません。
そうではなく、「高くても売れる」──むしろ高いからこそ選ばれる、そんな商品です。

「高く売れる」というのは、単に価格設定がうまいという意味ではありません。
それは、「価格以上の価値がある」と顧客が感じているということ。つまり、その商品に感情を揺さぶられる体験があるということです。

たとえば、初めて手にしたときに「これ、すごくいい!」と直感的に思えるもの。
あるいは、使い続けるうちに「これは私の生活を変えてくれた」と感じるもの。
そのような商品には、「理屈を超えた感動」や「共感」が宿っています。

参考: 「感性とは、感性マーケティングとは」

しかし現場では、「競合商品との違いを埋める」「顧客の不満を解消する」といった「マイナスをゼロにする改善型の商品企画」に終始していないでしょうか?

もちろん改善は大切です。ですが、それだけでは人の心は動きません。
顧客が本当に欲しいのは、「困りごとを解決してくれる商品」ではなく、「思わず誰かに語りたくなる体験」なのです。

「この商品に出会えてよかった」と言ってもらえるような、プラスの感情を生む商品企画
それこそが、これからの時代に選ばれる「感動商品」なのです。

【方針2】システマティックに

ヒット商品は、「才能のある一部の人が、偶然ひらめいて生み出すもの」だと思っていませんか?
確かに、直感や創造性は商品企画に欠かせない要素です。ですが、それだけに頼っていては、一発屋で終わるリスクが極めて高いのです。

ヒット商品を立て続けに展開する組織は、誰が担当しても、ある一定の成果を出せる、そんな再現性のある仕組み=システムを持っています。

「なぜかうまくいった」「あのときはラッキーだった」では、
その成功は再現できませんし、人材が変わった途端に成果も失われてしまうのです。

企画とは、個人の感性で勝負する一発芸ではなく、「体系化できる“技術”」です。
商品企画を感覚任せではなく、「戦略としての技術」に昇華させること。
それが、これからの時代に求められるマーケティング型商品企画の姿だと言えるでしょう。

なお、こうした考え方をもとに構築された実践的なシステムの一例が、神田教授が開発した「Neo P7」です。
本記事で紹介する4つの方針も、その思想をベースにしています。

Neo P7 参考https://wakulabo.marketing-literacy.org/

【方針3】定性的手法+定量的手法のバランス

商品企画において「何を根拠に判断するか」は非常に重要です。
そのときに使われるのが、以下の2種類のアプローチです。

  • 定性的手法:感覚や言葉など、顧客の声や行動から直感的にニーズを読み取る方法
  • 定量的手法:数値データに基づき、論理的に傾向や効果を分析する方法

この2つは対立するものではなく、補完し合う関係にあります。

定性的な観察は、「なぜその行動をとるのか」「どんな価値観が背景にあるのか」といった意味の理解に役立ちます。
一方、定量的なデータは、仮説の検証や成果の裏付けに必要な信頼性と客観性をもたらします。

つまり、「感覚で気づき、数字で確かめる」という両輪がそろってはじめて、説得力と再現性のある商品企画が可能になるのです。
どちらか一方だけでは、思い込みに引っ張られたり、数字に振り回されたりしてしまうリスクがあります。

そして実は、この2つをバランスよく活用するための考え方や手法は、きちんと体系化されているのです。
手法を学べば、「現場で定性+定量を組み合わせて使う」ことは決して難しいことではありません。
むしろ、ある程度の型を身につけることで、誰でも実践可能になります。

参考:感性データをマーケティングに活用できる手法

直感と分析を両立できる人材は、マーケティングにおいて極めて貴重な存在です。

【方針4】顧客の意見を最初から最後まで活用

「顧客の声を聞こう」という考え方は、今やマーケティングの常識です。
しかし、多くの場合その「声」は企画の初期段階だけでしか活用されていません。

最初にニーズ調査を行って満足してしまい、そこからは自社の仮説や主観に頼って進めてしまう。
その結果、「作り手にとっては良くできた商品」でも、「顧客にとってはピンとこない商品」になってしまうケースは少なくありません。

本当に顧客の声を活かすなら、企画の初期だけでなく、開発の途中、そしてリリース直前の最終検証まで、継続的に取り入れるべきです。

  • 初期:どんな課題や欲求があるか、言葉にならない不満を探る
  • 中盤:アイデアやコンセプトがきちんと顧客の期待に沿っているか検証する
  • 終盤:具体的な仕様や打ち出し方が、実際に「買いたい」と思わせるか確認する

特に重要なのが「最後」です。商品リリース直前のタイミングで顧客の意見を聞くことで、市場とのズレを最小限に抑え、完成度を大きく引き上げることができます。

商品企画は最後まで「顧客とのコラボレーション(共創)」の徹底した意識が大切です。

さて、以上の4つの方針についていかがでしたでしょうか。

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大相撲春場所から学ぶ企業の存在意義

大相撲春場所が無事終了した。取組後の協会挨拶では八角理事長がファンや関係者に対する感謝の念からか声を詰まらせる場面もあった。
このような時期に、無観客とはいえ無事場所を終えたことはとても良かったと思っている。
テレビで見えるコロナ対策では、力水を受ける際に柄杓には口をつけていないなどの具体的対応が行われていたが、それ以外にも表に見えない関係者の入り口、明け荷を運ぶ同線、力士が行き帰りに使うタクシーの待機場所や運行ルートなど、密集による接触や混乱を回避するなど考えうるあらゆる方法を実行したそうだ。
他のスポーツ競技が、開催中止や延期をしている中開かれた大相撲。いまだ賛否はあるだろうが、なぜそこまでして開催に踏み切ったのか。
企業人として見習うべき点をマーケティング視点で見ていきたい。

八角理事長の挨拶にみられる企業として考えるべきこと

取組後の八角理事長のあいさつに、「相撲は平安を祈願するために行われて参りました。力士の体は健康な体の象徴とされ、四股を踏み、相撲を取るその所作は先人によって脈々と受け継がれてきました。」という言葉があった。
どんな企業にも理念があり、創業者や跡を継いだ人たちによって存続してきたはずだ。そして社会の役に立ってきた。つまり企業人として、自分たちの存在意義を常に考え、先人たちが残してきてくれた財産をどのように活用し、社会に貢献すべきかを考え実行していくことが何より大切ということだ。
八角理事長の最後の言葉にもその決意がしっかりと語られていた。
「伝統文化を継承し、100年先も愛される国技・大相撲を目指してまいります。」と。

「お客様がうれしくなること」を実行する大変さ

この言葉にどれだけの日本人が勇気づけられたであろうか。もし途中でコロナ感染が発覚したらその時点で即中止ということを決められていたということだが、様々な困難を乗り切り場所を無事終了させた努力は賛辞に値することだと思う。
企業活動を実行していく上でも様々な困難や難題にぶち当たる。ともすると安易な解決策に走ってしまうことも多いのではないだろうか。しかし、安易な方法に走った先には大概失敗が待ち受けている。
おかれた状況を正しく分析し、自社の持つ社会的意義を見つめなおし、真正面から課題を解決する策を考えなくては、企業としての存在意義を無くし、自ら衰退の道を歩むこととなる。

時代の変化と顧客の変化により、顧客の具体的なニーズは変化する。しかし、企業の存在意義はその理念とともに不変であるはずだ。
ニーズの変化の見極めさえ間違えなければ、業績は維持し続けることができる。
そのためには、顧客のニーズを把握するリサーチや社会環境分析を怠らないことだ。そしてその結果を分析し、戦略化するマーケティング力を身に着けることだろう。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

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ヒット商品を絶対に出せないやり方とは

本日は、講座で使用するテキスト※から、売れない商品のつくり方について引用し、それを反転させる方法が、ヒット商品の生み出し方であることを学びたいと思います。

※テキスト「神田教授の商品企画ゼミナール Neo P7 ヒット商品を生むシステム」(神田範明著、日科技連)

市場(しじょう)を見ないで市場(いちば)を見る

Market Research:現在の売買の状況を捉えて「何が売れていて、何がうれていないか」を調べる、いわが「いちば」を見る。

Marketing Researcn:顧客ニーズを捉えて今後どう動くか、どう意思決定(開発~販売まで含む)したらよいかを調べる。いわば「しじょう」を見る。

「市場調査」を今動いている「いちば」のみの調査と捉えるか、今後動くであろう「しじょう」を見越した調査と捉えるかでずいぶん話が変わります。

片手で数えられるアイデアから何となく選択

商品開発の現場の悩みでよく聞かれるのが「良いアイデアが乏しい」という現実です。
少なくとも10件以上の(ワクワクするような)アイデア・仮説案のなかから客観的に選ばれたコンセプトならまだしも、片手で数えられる程度の、わずかしかない案から(しかも適当に)決定したものは、うまくいきません。

アイデアの出し方自体が確立されておらず、「顧客から」ではなく「技術から」考えた(=使えそうな技術を活用する)アイデアや、ふと思いついたアイデアで突っ走る人がどれほど多いことか、たとえ運良くうまくいっても、
次もうまくいくというものではありません。

最終決定も感覚的に

たとえ良いアイデアがでたとしても、最後の決定を適当に行うようでは、確実な成果を上げることはできません。

例えば、ここに大きく異なる(しかし有望そうな)A,B,Cという3つの案があるとします。
それぞれについて、さらに、デザイン、性能、機能、価格などで微妙に変化できます。
皆さんはどのように決定しますか?

ひょっとして、チーム内の多数決で得票の最多のものにしますか?
判断を上司やトップに丸投げして責任を転嫁しますか?
いずれも極めて危険です。

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日本語が持つ豊かさと感性マーケティング「湯」

「湯」という言葉があります。日本人なら誰もがこの単語を見聞きすればその意味するところを理解できます。

しかし、世界を見回すと「湯」に相当する単語は見当たりません。英語では「ホットウォーター」つまり「熱い水」です。唯一同じ「湯(トウ)」という単語を持つ中国でさえ、現在では「湯(トウ)」はスープを意味し、お湯のことは「熱水(レシュイ)」などと表現しています。

何故なのでしょうか?

 

合理的な言葉

考えてみれば「湯」とは、物質としては「水」です。ですからその温度が高いものは「熱い水」と表現されるのは合理的です。フランスやドイツやその他の外国の多くの国の言葉はこのように合理的に組み立てられています。

この事実を知ると、そちらの方が合理的でわかりやすいような気もしてきてしまいます。

 

日本人の感性を感じる言葉

しかし、改めて「湯」という言葉から感じることを思うと「温泉」という言葉、情景に直結します。日本には全国いたるところに温泉があります。日本人なら誰しもが温かい温泉に浸かったことがあり、身体だけでなく、心まで温かくなった経験を心の中に持っていることでしょう。言い換えれば、水を沸かすことなく自然の中に温かい水「湯」が存在していたのです。

人間が生まれた昔から日本人はそのような自然に触れることが出来、その「湯」を大切に思う心が育まれたのでしょう。それこそが日本人の持つ「感性」だと言えます。

 

日本には日本人に響くマーケティングが必要

だからこそ、日本におけるマーケティングには、「合理的な側面」と「情緒的な側面」の両面が必要なのです。その「情緒的な側面」を把握し、分析し、戦略化させることのできるマーケティング体系が「感性マーケティング」です。

 

皆さまも「感性マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

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コロナから閑話休題 ⅱ「不確かさ」と「あいまいさ」、そして「感性」

我々は、日常生活において不確かなこと、わからないことに出くわす。そのために失敗を起こすこともよく起きる。今回のコロナ騒動もある意味「分からないこと」「不確かなこと」に対し、あいまいな状況のまま、大雑把に物事を判断した失敗がないとは言えない。やはり【事実:Fact】をしっかりと把握することが、いついかなる時も重要である。
しかし、日常生活を送るうえで、我々人間は「あいまい」な環境にどっぷりとつかっている。あいまいな状況のままでも何かを決心したり、大雑把に物事を理解したりしている。そしてそこには柔軟性があり、自由性がある。
あいまいであることは、よくないこと、悪いことと決めつけられない世界がそこには存在する。
(※科学的判断、政治的判断においてあいまいさを肯定するものではない)
今回は、「あいまいさ」に関して考えてみたい。

「0」か「1」だけでは片付かない

コンピューターが、「0」と「1」だけを使う二進法によって成り立っていることはご存じの事と思う。当初は計算のための機械として開発されたコンピューターだが、次第にデータ処理の機械としての比重が大きくなり、現在では数値情報だけでなく、文字などの記号情報も取り扱うようになった。
この開発思想と進歩の過程で問題が生じており、現在様々な研究と試みが行われている。それが「AI・コンピュータが人間を越せるのか?!」という問いであろう。この問題に関しては、専門家に任せるとして、「0」と「1」では、判断しきれない「あいまいさ」に対してマーケッターとしてどのようにアプローチするべきかを述べたい。

人間は「感性」の生き物である

われわれ人間は、わからないことやあいまいなことに対しても、大雑把に物事を把握したり、何かを決心することができることは前述した。それが何故できるかというと、人間は「感性」を持っているからである。
論理学を集大成したといわれるアリストテレスもイエスともノートも言えない命題を認めていたそうだ。
阿部広太郎というコピーライターは、「素敵」という言葉を使うことを自身で禁じているそうだ。何故ならば、「素敵」という言葉は便利で多くのことの表現に使えてしまうからである。コピーライターとして、その奥にある気持ちを正確に把握し判断し表現することが重要だと理解されているからだ。
つまり我々は、物事を真正面からとらえようとすれば、目の前で起きている物事の本質を理解できる能力=「感性」を持っているということにつながる。

人の言動を分析し、事業に活用する「感性マーケティング」

この人間が持つ「感性」を正確に把握し、分析し事業戦略に活用できるように組み立てたのが「感性マーケティング」である。


人が発した言葉や言動をコンピューターが理解できる数値に変換し、分析することができる分析手法を活用することにより可能となっている。
世の中の不確かさやあいまいさをすべて扱うことができるわけではないが、マーケティングの世界において人間=顧客の言葉や言動の奥に存在する隠れたニーズ・心理を分析、理解することができる。
このことによって、企業として次の一手、顧客の潜在心理を満足させるアプローチができるようになるのだ。

皆さまも「感性マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。