吉野家の戦略、飲食業界の厳しさとマーケティングの重要性 

2020年02月29日森田 広一

ここ数年、飲食業界の業績はちょっと目を離すと大きく変化することが多い。

特に注目されるのが、比較しやすい「牛丼チェーン」と「餃子の王将、日高屋、幸楽苑といった中華系チェーン」、や「回転ずしチェーン」などであろうか。

そのような中、「吉野家」に注目したい。何故ならば、吉野家のマーケティング戦略がとても分かりやすく、シンプルだからである。

マーケティング戦略を実行する際、戦術はできるだけわかりやすくシンプルなほうが良い。そのほうが顧客に伝わりやすく響くからである。

吉野家のマーケティング戦略と具現化の実際を見ながら、マーケティングの重要性を考えていきたい。

吉野家の戦略は「新規客の獲得と既存客の満足度向上」の実行

現在の吉野家のメニュー構成を拝見すると、明らかな戦略が理解できる。

ひとつは、「新規顧客の開拓」である

利用者の8割がたが男性客であった吉野家。
女性客の獲得は重要な課題であった。
女性客が増えれば新規顧客が増えることになり、業績に明らかに貢献することは明白である。

しかし、既存の顧客層が醸し出す雰囲気とメニュー構成ではなかなか実現できずにいた。

そこで、店自体のイメージを変えるという思い切った策を実行した。
「クッキング&コンフォート」と呼ぶ女性客でも店内でゆっくりと過ごしやすいレイアウトやテーブルを設け更にはコーヒーまで提供するというスタイルだ。

更には、もともと女性客が多かったテイクアウト客に対するアプローチだ。
夕食主婦層などに利用してもらいやすいようにテイクアウトの割引キャンペーンを実施した。
主婦が1回利用すれば、その便利さからその後利用する顧客が増えるのを見越した戦略だ。

これは、「うまい、やすい、はやい。」という吉野家の武器(自社の強み)を最大限活用した戦略といえる。
これらの策が功を奏して、女性の利用が増加し、業績向上に貢献している。

二つ目は「既存顧客の満足度向上」である

社会的に見ても、また吉野家の歴史から考えても既存客の年齢は上がっている。

肉は食べたい、牛丼は安くてうまいから食べたい。でも、カロリーは気になるし、そもそも食自体が細くなったという顧客が増えていたはずである。

そこに目をつけて実行したのが、「小盛」だ。

結果、サラダなどのサイドメニューと組み合わせて注文する客が増え、客単価が上がった。

更に「ライザップ」との提携である。「ライザップ牛サラダ」とコンセプトの伝わりやすい命名をし、顧客のニーズにこたえた。

一方で、がっつり食べたいというニーズへの対応も忘れてはいない。
「超特盛」と「W定食」だ。特に「W定食」は、夕食利用の向上にも貢献しているはずである。

これらの策により、既存客の満足度はかなり向上したことであろう。
顧客満足度は、利用頻度に直結する。それは売上向上にも直結するということだ。

顧客ニーズを分析し、ぶれずに新しい感動を提供し続けること

そして何より素晴らしいのは、基本のマーケティング戦略は変えないということだ。

うまくいっているときは顧客が満足している時だから商品や方針を変える必要はない。
ただし、時代の変化にともなって顧客のニーズは変化する。
このニーズの変化の見極めさえ間違えなければ、業績は維持し続けることができる。

そのためには、顧客のニーズを把握するリサーチや社会環境分析を怠らないことだ。
そしてその結果を分析し、戦略化するマーケティング力を身に着けることだろう。

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森田 広一
広告代理店でマーケティング戦略立案、コンサルティングファームでデータ分析や各種のコンサルティング業務を経験。そこで培われたノウハウを元に人間の「感性」を紐解く独自の分析手法を確立し、そのノウハウを広く世の中に伝えるべく、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会を設立。目に見えない消費者の深層心理「感性」を数値化し分析することにより、消費者や企業の隠れた欲求を解明し、各種提案やマーケティング戦略立案に役立てる分析体系を教える講座を開設。現在、様々な業種、職種の受講者から評価を得て、大手コンサルティング企業などの昇格必須講座としても認定されている。同時に各種企業のマーケティング・コンサルタントとしても活動中で、現代企業の悩み解決の実質的なサポート活動も継続している。