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森田 広一 について

広告代理店でマーケティング戦略立案、コンサルティングファームでデータ分析や各種のコンサルティング業務を経験。そこで培われたノウハウを元に人間の「感性」を紐解く独自の分析手法を確立し、そのノウハウを広く世の中に伝えるべく、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会を設立。目に見えない消費者の深層心理「感性」を数値化し分析することにより、消費者や企業の隠れた欲求を解明し、各種提案やマーケティング戦略立案に役立てる分析体系を教える講座を開設。現在、様々な業種、職種の受講者から評価を得て、大手コンサルティング企業などの昇格必須講座としても認定されている。同時に各種企業のマーケティング・コンサルタントとしても活動中で、現代企業の悩み解決の実質的なサポート活動も継続している。

【真のデジタルマーケッターとなるために】第9回:STP

標的(ターゲット)を明確にすることにより商品が売れる

前回の『SWOT』で、戦略の代替案を複数抽出できたはずです。その代替案の中には、「誰」に売るのかという要素も含まれている場合があるかと思います。

しかし、それらは、ある意味代替案の中の想定であり、自社の優位性を活かし現実的に販売数量を稼げるターゲットであるのかを検証し、改めて「真のターゲット」を決める必要があります。

『STP』は、自社が「誰に対して」「どのような価値を提供するのか」を決定するための方法論です。

 

STPとは

S(segmentation:市場の細分化)

T(targeting:標的市場)

P(positioning:自社の優位性の明確化)

の頭文字をとった言葉で、

「自社が、誰に、どのような価値を提供するのか。」を明確にするために行います。誰にでも受け入れられる製品やサービスを販売することは、顧客の満足度が低くなり、必ずしも良い結果を得られるとは限りません。自社の優位性を活かし、提供する価値を望んでいる顧客を見定める必要があります。

 

「Segmentation」

市場調査により、顧客のニーズ毎にグループ化する、つまり市場をセグメントすることです。

意味合い的に勘違いしないでもらいたいのは、セグメンテーションは、あくまで「市場の細分化」です。セグメントされた複数の塊の中から標的を決めるのは次のTargetingのステップです。

セグメンテーションに用いる変数は、

「人口動態変数(Demographic Variables)」

「地理的変数(Geographic Variables)」

「心理的変数(Psychographic Variables)」

「行動変数(Behavioral Variables)」

の4つが主に使用されます。

自社が販売しようとしている商品に対して、どのような要素が購買意欲に対して影響を及ぼすかを考え、セグメントする軸を決定していく必要があります。

年齢なのか、性別なのか、或いは可処分所得なのか、それとも趣味趣向が影響を及ぼすのか。様々な要因を調査からあぶり出し、もっとも強い要因をセグメンテーションのための軸に決定します。

 

 

 

「Targeting」

セグメントした結果、自社の強みを活かせたり、競合する他社が居ないセグメントを選択することです。

自社が提供する商品価値を最も強く受け入れてくれる顧客を絞るのです。

何歳くらいの女性なのか、アウトドアが好きな人か、健康に気を使う人なのかなどセグメントした塊の中から自社の商品価値を受け入れるターゲットを決定します。

 

 

 

「Positioning」

選択した顧客にとって、自社の提供するものにどのような「価値(優位性)」があるのかを明確にすることです。

「機能」ではなく、「ベネフィット(利益・恩恵)」でなくてはいけません。

 

 

 

STPの分析の順番

STPは、S→T→Pという流れで決定しなくてはいけないというものではありません。
自社の優位性(Positioning)と価値を受け入れてくれる顧客像(Targeting)を交互に考え行ったり来たりして、決めていけばよいのです。

Segmentationに用いる指標(軸)も自社の優位性(Positioning)と大きく関連性がありますから、STPそれぞれを個別に考えるのではなく、複合的にとらえ決定していきます。

※広告宣伝に使用される「キャッチコピー」は、自社の優位性を表現する言葉ですから、「ポジショニングを象徴する」言葉と言えます。

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。

ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第8回:SWOT

勝ち抜くためには、

自社の力と社会環境・顧客をマッチングさせることが重要

 

『3C分析』『PEST分析』と自社を取り巻く環境を整理分析する手法を学んできました。そろそろ自社の戦略はどのように考えればよいのかという思いが強くなってきていると思います。

今回のSWOTは、今まで収集し整理してきた情報を、強みと弱み、チャンスと脅威に区分けして整理し、そこから戦略代替案を抽出するものです。

 

SWOTとは

 内部資源の  

 Strength(強み)

  Weakness(弱み)

外部環境の

  Opportunity(機会)

  Threat(脅威)

の頭文字をとった言葉です。

自社の強み・弱み及び社会的機会・脅威を把握・分析し、自社の戦略代替案抽出に活用します。

 

「Strength」

自社の強みを実績やステークホルダー意見などから明確に把握します。

自社の強みとは技術力だけではありません。営業力、販売チャネル網、IT力、或いは顧客から信頼されている社員がいるなど様々なものがあります。

社内だけではなく、協力会社や顧客からヒアリングすることも自社が認識していない強みの発見につながったりします。

 

「Weakness」

自社の弱みを実績やステークホルダー意見などから適格に把握します。

自社の弱みは、強みより良く理解している企業が多いと思いますが、いやなところに目をつぶらず、冷静に事実を見極めるように注意してください。

 

「Opportunity」

市場動向や競合動向から、自社にとっての機会・チャンスを把握します。

自社の業界だけでなく、人口動態や社会的現象、またオリンピックのような大きなイベントなども消費者や企業に影響を及ぼします。

広い視野を持って自社にとってプラスの影響を及ぼす可能性のある社会動向を把握するようにしてください。

 

「Threat」

市場動向や競合動向から、自社にとっての脅威を把握します。

自社にとっての脅威とは、目の前の同業他社だけではありません。

ゲームやスマホが日常生活に浸透したおかげで街の本屋さんが廃業に追い込まれていったことなどは、余暇市場の変化といえます。このような脅威に関しては第14回の『競争戦略』の回で詳しく解説します。

もちろん同業他社の動向や戦略はできるだけ詳細に情報収集に努めましょう。

 

SWOT分析のポイント

SWOTで気を付けていただきたいのは、この段階で戦略を決めつけないことです。SWOTでは、強みを生かしチャンスに乗る。強みにより脅威を押しのける。或いは弱みを克服しチャンスを活かす。などと様々な可能性のある戦略代替案をいかに抽出できるかが大切です。可能性の大きな代替案を見損なうことのないように注意してください。

 

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。

ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第7回:5F

企業は様々なフォース(力)に影響を受けている。

スターウォーズは空想の世界だが、我々は現実世界で戦わなくてはいけない。

 

「遠い昔、遥か彼方の銀河系」を舞台に展開するスターウォーズでは、

フォースとは、

銀河の万物をあまねく包み込んでいるエネルギー体。目には見えない空気のような概念だが、強い意思と精神集中によってその「流れ」を感じ取り自由に操作することで、身体能力や空間認識能力の強化に留まらず、未来予知、念力、心理操作、テレパシーなどの超感覚的な能力による現象を起こすことができる。使用者の感情に伴って性質は二つに別れ、ジェダイは穏やかで冷静な心から引き出される「ライトサイド(光明面)」、シスは怒りや憎しみといった負の感情によって引き出される「ダークサイド(暗黒面)」を用いる。 出所:ウィキペディア(Wikipedia)

と定義づけられていますが、現実の世界でのフォースとは力とか強さの意味ですね。

企業には、既存競合企業や新規参入企業、代替品、売り手、買い手などとの様々な力関係が生じ、企業活動に影響を与えます。

5F分析とは、

 既存競合企業同士の敵対関係

  新規参入企業の脅威

  代替品・サービスの脅威

  売り手の交渉力

  買い手の交渉力

という業界内の競争に影響を与える要因を5つに分類し、それぞれの力関係を分析することによって業界構造の特徴を明らかにする分析手法です。

自社の業績がなんだかよくない、原因が不明だ、などというときには、落ち着いて状況を整理する分析方法としてよいでしょう。

 

既存競合企業同士の敵対関係

 

 

既存競合同士の競争力の関係です。

同じ業種のライバルですね。自社と比較してどのような点が優れているのか。どんな強みを持っているのか。常にウォッチしておくべき相手です。

 

新規参入企業の脅威

 

 

参入障壁の低い業界が、注意すべき脅威です。

同業ではない業種から新規参入してきた競争相手です。それぞれの企業の強み(技術力や営業力、販売網など)を背景に進出してきますから、うかうかしていると一気に食われてしまう恐れがあります。市場における新規事業者の動向や売上などを的確に把握し対応策を決める必要があります。

 

代替品・サービスの脅威

 

 

自社製品と同じ価値を持つ製品やサービスのことです。

この競争相手が一番厄介かもしれません。何故なら一見すると見えない、気が付かない相手だからです。

例えば、町の本屋さんはどんどん廃業に追い込まれています。後継者がいないなどの問題があるかもしれませんが、売上が確保されていれば後継者に恵まれるはずです。ではなぜか?

「消費者が余暇を楽しく過ごす」という目的を果たす手段が、昔に比べて飛躍的に多くなったからです。

スマホやゲームの浸透に食われたのです。本そのものでさえ、スマホで読めてしまいます。同じ目的を解決する代替品ということです。

今、紙という媒体の持つ価値や新しい付加価値を提案する複合型の書店が見受けられますね。頑張ってほしいものです。

 

売り手の交渉力

 

 

供給業者(サプライヤー)の力です。

「買い手」の力と合わせて把握して置くべきものです。

扱う製品や時代背景などより、その力関係は変化しますので、『PEST分析』などと合わせて、慎重に見極めるべき力関係です。

 

買い手の交渉力

 

 

直接顧客(消費者)や、販売してくれる取引先(流通)のことです。

消費者は、ニーズの多様化や社会環境変化に敏感です。常にアンテナを張っていなくては対応を間違えます。

流通も、その力が強くなると消費者のようにわがままになります。特に価格に対する評価は厳しいものになります。自社の強みや付加価値を正しく理解したうえで対応しないと適正な利益確保が難しくなってしまいます。

どちらも手ごわいですね。

 

以上のように、企業活動は様々な圧力から影響を受けます。

単に同業他社を見ていればよいというものではありません。全方位で自社に対してどのような力が大きく影響しているのか。適切な情報収集と正しい分析、そして対応戦略が求められます。

 

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。

ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第6回:PEST

社会環境によって、人の感性も変化する。

インド人は、「ビーフカレー」を食べない。

今や日本の国民食ともいわれるカレーライスですが、そのルーツはインドのスパイス料理を総称するカレー料理だということは誰しもが知っていることと思います。

しかし、インドの人々がビーフカレーを食べないことを正しく認識している日本人は、どのくらいいるでしょうか?

インドの方が営むインド料理屋さんへ行ったことのある方は思い出してください。チキン、ポーク、野菜、豆等様々なカレーがメニューに並んでいてもビーフだけは決して目にしたことがないと思います。

それは宗教上の問題だからです。ヒンドゥー教徒の人たちにとって、牛は聖なる生き物ですから、食すことは禁忌となっているのです。

食に関する代表的な例ですが、このように文化や政治、社会環境、技術インフラなどが異なると、そこに生活する人々の感性や企業の判断基準は異なります。そのことをよく理解しないまま企業がその国に進出しようとしても失敗に終わるのです。

このことは、国というエリアだけではなく、日本国内でも起こることです。

 

「PEST分析」とは

Politics(政治)

Economy(経済)

Society(社会)

Technology(技術)

 

の頭文字をとった言葉です。

環境の変化や影響を把握・分析し、自社のとってどのような影響を及ぼすのかを理解したうえで、自社の戦略立案に反映させるための分析理論です。

冒頭の牛肉の例や、社会インフラや技術が未発達の国の人々が求めているものと成熟社会で生活している人たちの求めるものは当然違います。

進出しようとしている国やエリアのことを充分分析理解したうえで、市場参入をしないと手痛い結果を生んでしまうことになりますから、注意しましょう。

 

Politics

法律・社会的規制など、市場のルールを変化させる要因を把握します。

法律や社会的規制は国によって大きく異なります。

ある国では違法なものも、違う国では容認されているものもあります。また、商品にかかる関税も違えば、税関上の扱いも違ってきます。

政治判断により、企業活動が大きく左右されることがありますから慎重に分析するべきです。

 

Economy

経済成長や所得など、価値連鎖に影響を与える要因を把握します。

消費者や企業がものを購入する際には、資金が必要です。自分が保有する、使えるお金がどのくらいあるかによって、何をどのくらい購入するかという判断が違ってくるのは当たり前のことです。

その国の経済がどのくらい成長しているのかによって、基本的な生活用品が必要なのか、或いは生活を楽しくするものが求められているのかが違ってきます。企業活動は利益を生み出す経済活動ですので、冷静な判断が必要です。

 

Society

人口動態・流行など、需要構造に影響を与える因を把握します。

日本においても人口の大都市集中などという問題があります。企業としては人口の多い大都市をターゲットとして活動をしたいと思うことが多いでしょう。

しかし、小規模企業にとっては、競争の激しい大都市で勝負するより地方でその優位性を発揮して商売した方が効率的だということもあります。

更に、流行というものは人々の購買行動に大きく反映されます。時代時代の流行りを敏感に察知し、対応することも必要です。

 

Technology

ITなど、ビジネス環境に影響を与える要因を把握します。

ひと時代前、遠く離れた人とのコミュニケーションは固定電話によってなされていました。連絡を取りたいときには固定電話の前に行って電話をかけなくてはいけませんでしたが、今や携帯端末の出現によってありとあらゆる場所において人とのコミュニケーションがとれるようになりました。まさしく技術革新による人間の行動変化です。

世界的傾向とは別に、国によっては水道や電気、ガスといった社会インフラが未整備の国もあります。交通網や物流体制なども同じです。

このような技術力の差によって生じる生活環境の違いも人々や企業の判断に影響を及ぼすのは明白です。

 

以上のように、社会環境によって企業活動は大きく左右されます。日本国内でもカレーに入れる肉は違いがあるくらいです。

消費者や顧客企業だけを見ていてもその背景となっている社会環境を理解していないと現象を見誤ることが起きます。そんな社会環境の分析に必要なのがPEST分析です。

 

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。

ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。

 

 

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第5回:3C

意外に使いこなせていない「3C分析」の使い方

現代社会における「3C分析」の正しい使い方

「3C分析」とは、

 「ustomer(市場・顧客)

 ompany(自社)

 ompetitor(競合)

の頭文字をとった言葉で、自社がどのような経営環境に置かれているのかを分析する手法です。古くからある分析手法で、使いやすく便利なため多くの方が使われていると思います。

しかし、古くからあるがため、現代マーケティングにおいて重要な視点での情報が抜け落ちたまま使用され、マーケティング戦略に齟齬が生じている場合を垣間見受けることがあります。

そこで今回は、で「3C分析」を正しく使えるようになるヒントをお話しします。

 

「Customer=顧客は人だけど・・・

「Customer」は、顧客のニーズや購買動向を把握するパートです。

社会の変化が激しく顧客ニーズもどんどん変化しますから、顧客の隠れたニーズを把握することが大切になります。

ということは、「Customer」のパートでは、直接的な人の購買動向だけを把握していても、顧客の後追いになってしまう危険性があります。そうです。顧客の購買行動から発想して商品を市場に送り出したころにはもうブームが終わっているということになりかねないということです。

ではどうしたらよいのでしょうか?

社会環境の変化により、顧客がどのような心理になるのか、どのような状況になるとどのようなものが求められるのか。顧客を取り巻く社会環境顧客のニーズや購買行動を併せて把握することにより、顧客の心理変化を理解することができます。

つまり「Customer」のパートの情報には、顧客のニーズや購買行動に関する情報に加えて、社会環境に関する情報も入れる必要があるということです。

 

「Company」=自社は定量的評価だけではない

「Company」は、自社の経営資源や活動状況について把握するパートです。

経営資源や活動状況といわれると、集める情報は定量的データとなりがちです。

資金力、技術力、売上、利益率、社員数等々、いろいろなデータがあります。

しかし、このような定量的データだけだと、実は自社の長所・強みを見落とすことが起きてしまいます。

社員数が少なくても何かに秀でた優秀な人材がそろっていれば、大きな強みです。或いは営業マンが顧客からとても信頼されているということも強みです。

単に技術力だけでなく、サポートが素晴らしいという評価も強みです。

つまり、「Company」のパートでは、定量的情報だけでなく、定性的評価情報も重要だということです。

自社の提供する機能的品質評価だけでなく、顧客が感じる知覚品質評価(顧客が他と比較して優位と感じた品質)も行う必要があるということです。

 

「Competitor」=競合は目の前の相手ばかりではない

「Competitor」は、他社との競争状況について把握するパートです。

 

競争相手の強みや弱み、どんな商品をいくらでどのくらい販売しているのか。主な顧客は誰か。どのようなルートで売っているのか。資金力は営業マン数は等々、このパートも必要な情報は沢山ありますね。

しかし、このような競争相手の情報を収集分析しても、自社の課題が的確に把握できない場合があります。

「競争相手より自社の方が絶対に優位だ。それなのに売上が落ちてきている。」ということが時々起きてしまいます。

そのような時は、直接目の前にいる競争相手ではない競争相手が出現している可能性が大きいのです。

町の本屋さんが衰退してしまった理由は、直接的な競争相手である書店が脅威になったわけではありませんでした。「本」というものを紙で読まなくてもスマホで読めるようになった。或いは、本を読むという時間そのものをスマホのゲームを楽しむという時間に奪われてしまったというのが現実でしょう。

そうです。「Competitor」のパートでは、直接的な競争相手だけではなく、間接的競合(隠れた競合)も視野に入れなくてはいけないということです。

自社の商品と同じ「顧客価値」を持つ競争相手が出現していないかという情報が大事だということです。

 

いかがでしたでしょうか。マーケティングには、様々な理論や分析手法があります。それらの根本的目的や意味合いは変化することはありませんが、必要な情報や使い方などは、社会環境により変化しているのです。

今のマーケティングに適応した使い方を正しく理解することが必要ですね。

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。

ビジネススキルの基本の一つが、マーケティングの知識と活用力です。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第4回:マーケティングの仕組み

マーケティング理論は使う場所を理解することが大事

マーケティングには、様々な用語や理論が存在します。

残念なことに多くの理論が欧米で考えられ確立されたおかげで用語や理論の名称は英語です。多くの日本人にとっては、英語を日本語として翻訳し、そこからその意味を理解するという二段階が発生してしまいます。もちろん現在では英語に堪能な方も多くいらっしゃるとは思いますが。

どちらにしろ、様々な理論が存在するために、重要な理論さえ、その使い方を正しく理解している人が少ないというのが問題なのです。
そこで、マーケティング理論をどのような場面で使えばよいかという体系的なお話しをします。

マーケティング戦略を策定する際には「データ」が不可欠

最初に、理解しておいてほしいことがあります。
それは、マーケティング戦略を策定するためには、『データ』=事実の確認が絶対に不可欠だということです。

このことが真に理解されていないため、事実を無視した推測や経験・感などに頼った戦略が立てられ失敗するのです。

マーケティングには様々な理論がありますが、そのどれもが『データ』の存在を前提としています。
ですから、マーケティング戦略を策定する際には、まずデータの収集=事実の確認を行うための『リサーチ』が不可欠だということを理解してください。『リサーチ』に関しては、後日詳しく解説しますが、今日は情報収集=事実の確認無くしてマーケティングは成り立たないということを理解してください。

まず、「ビジョン・目標」を持ちましょう

目的のない戦略など存在しません。
そしてそのためには自分たちは、自社はどうなりたいのかというビジョンを描くことから始めましょう。

ビジョンを持てば、自然と現在とのギャップに気が付きます。
そこから第一段階に達成すべき目標を決めるのです。
戦略の目的が明確になります。

そして現状と目標の差=ギャップが何故発生しているのかを正確に把握するために、データ=事実の認識が必要になるのです。

「情報整理、分析」のフェーズ

そして、それら収集された情報の整理、分析を行うのが『情報整理、分析』のフェーズになります。

事実把握のために必要なデータが漏れなく収集されているか、偏りがないかを確認しながら情報を整理するのに便利な理論が『3C』です。
『3C』は次回詳しく解説します。

或いは、『5F』という理論もあります。
5つの力関係がどのようになっているのかを確認する、どちらかというと製造業に向いている分析理論です。『5F』に関しては、シリーズ第7回で解説を予定しています。

そして3C理論や『5F』に則り収集された情報から、戦略代替案(戦略仮説)を導き出す理論が『SWOT』です。
シリーズ第8回で予定しています。

このように、情報収集、分析のフェーズでも様々な理論が存在します。
それぞれの特徴、使い方を正しく理解し、自社に合った使いやすい理論を使用するとよいです。
これらの分析を踏まえ、自社の『ドメイン(事業領域)』や『ターゲット』を確定していくのです。

「戦略策定」のフェーズ

確定した『ドメイン(事業領域)』のなかで、同じく設定した『ターゲット』に対し、どのように購買まで導くのかを決めていく行為を『戦略策定』と呼ぶのです。

戦略策定を行う際に抜け漏れがなくターゲットにアプローチできるように組み立てられた理論が『4P』です。

「どのような商品を」「いくらで」「どんな場所で」「どのような方法で伝えるのか」という4つのカテゴリーを決めることにより、マーケティング戦略は成り立つのです。

なんとなくこんな製品が売れるだろう。今はネット広告の時代だ。などというアバウトな考えでは、商品やサービスは売れません。正しいマーケティング戦略策定のステップと必要な理論を正確に理解し、的確な・売れるマーケティング戦略を策定する実力を身につけてください。

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。
ビジネスで成功するためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。
皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第3回:ブランドが果たす役割

今日は「ブランド」の本質的価値と、どのようにして成長させるのかについてお話ししたいと思います。

ブランディングって何?

近年のマーケティングにおいては、「ブランディング」が大切とよく言われます。
自社や自社商品に対し良いイメージを持ってもらい、購買促進を図ろうという考え方ですね。

ところで、皆さんは「ブランド」が果たす本当の意味での役割、そして「ブランド」はどのようにして目的を果たすまで進化するのかを、正しく理解されていますか?

そう、「ブランドは大切」「お客様に愛されなくてはいけない。そのためにはブランディングが必要だ」とは言っているものの、なぜブランドが大切なのか? ブランドはどのようにして成り立っていくのか? 正しく理解されている方は少ないのではないでしょうか。

今日はそんな「ブランド」の本質的価値をどのようにして成長させるのかをお話しします。

ブランドは「利益を生み出す」源泉

日本の企業は欧米の企業と比較して、ブランディングが下手だと言われます。
それには日本企業特有の環境と歴史が影響していると思います。

日本の多くの企業は高度成長時代にその根幹を構築してきました。
そして高度成長時代には日本は足りないもの、欲しいものが沢山あったのです。
ですから、機能の良いものをつくりさえすれば他社より多く売れたのです。
そして日本国内の需要に応えるだけで日本企業は潤ってきました。

つまり技術力という基本的強みと生産効率を上げるという社内的改善力を持った企業が大きく成長してきたのです。

ある意味技術力による差別化と呼べるかもしれません。

しかし、バブルは弾け、周りを見渡すと海外企業の進出が加速していました。
それらの海外企業も優れた技術力を持つようになっていたり、既に海外で「ブランド」を確立していました。

新たな差別化の必要性を強く認識したのが、日本企業は、欧米の企業に後れを取っていたということです。

さて、では本題の『ブランドが果たす役割』です。

何故、『ブランド力』を上げなくてはいけないのでしょうか?!

「お客様に選んでいただくために」「売り上げを上げられるから」「周りの競合と差別化できるから」そのとおりですね。

では質問です。

お客様に他社と比較して自社を選んでいただき購買していただきやすくすると、企業にとってはどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
ここが本質的問題です。

それは、【利益】を上げられるからです。

お客様が他社と比較しても自社を選んでくれるということは、要らぬ価格競争をしなくてよいということになります。
すると商品発売時に設定した【適正な価格】で売ることができ、【適正な利益】を得られるのです。

この【利益を上げる力】こそが、ブランドの持つ価値なのです。

ブランドの特性

では、ブランドにはどのような特性があるのか整理しましょう。

1、 ブランドは、〔無形性〕です。

ブランドは、「顧客の心」の中の存在であり、他の人からは見えないものです。

2、 ブランドは、〔間接性〕により構築されます。

商品を販売する際に、(顧客に)この商品は「〇〇なメージ」を持つブランドです。などと直接的に訴えないですよね。
広告やパブリシティまたは(購入した顧客が)商品の利用を通して、間接的にその商品の顧客価値を伝えていくことにより、ごく自然と顧客の心の中に一つのブランドとして認識されるのです。

3、 ブランドは、〔多層性〕により成り立っています。

顧客価値を生むためには、やはり基本的機能は満たしていなくてはいけません。
食品なら、安全品質は基本機能です。
自動車なら、走る・止まる・曲がるは基本機能です。
そのうえで、ちょっとユニークな味とか乗り心地が良いなどの付加価値、情緒的な満足を与えることが必要です。
この情緒的価値を高めることにより、顧客価値を絶対のものにするのです。

4、 ブランドは、〔関係性〕を構築することが重要です。

顧客は移り気です。
何か目新しいものが出てくるとそちらを試してみたくなります。
その顧客の心を留めておくことが必要になるのです。
第1回の「マーケティングの役割と目的」でお話しした「顧客を維持する」のです。
これが出来れば、顧客は永続的なファンになってくれます。

「かけがえのない存在」になることを目指す

ブランドの特性を理解したところで、どのように進化させるべきかを理解しましょう。

1、 機能としてのブランド(良い製品)

前節でも書きましたように、まずは機能がしっかりしていなくてはいけません。たとえ低価格であったとしても、安かろう、悪かろうでは今の時代顧客は相手にしてくれません。

2、 好みとしてのブランド(好きな製品)

機能が良いだけでは、たくさん存在する競合に勝てません。顧客が望むデザインや使用感などに応えることが必要です。

3、 社会評価としてのブランド(評判の良い製品)

機能がしっかりしており、デザインや使用感もよいとなると世間の評判を生みます。安心感や憧れを持っていただくことが出来ます。
しかし、ここで満足してはいけないのです。

4、 意味的価値としてのブランド(かけがえのない製品)

顧客は浮気者です。同じように機能がしっかりしていてデザインや使用感が良い製品が出てくると、そちらを試してみたくなるものです。それをさせないためには、顧客との関係性を強化し。顧客にとってなくてはならない存在に高めることが重要なのです。

我々ビジネス社会に生きるものとしても、社会的に「あのブランド」は私にとってなくてはならない、かけがえのない製品だ、と言われたいものです。

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。
ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。
皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第2回:現代マーケティングに重要なデータ

デモグラフィック、ジオグラフィック、ビヘイビアは、結果のデータ。結果を生み出した背景となるサイコグラフィックデータこそ最も重要。

デジタルマーケティング(AI)で活用されているデータの限界

現在、マーケティングの世界では、AIの急速な進歩により、膨大なデータを使用した推論と最適化によるデジタルマーケティングが主流となっている。
何か興味のあることを検索すると、次から次へと同じようなものが表示されたりする。確かにその人の興味にフィットすれば購入してくれるかもしれない。

しかし、多くの場合はずれる。なぜだろうか。

それは、AIの投入されているデータが、過去の事例を蓄積したデータであり、その人の趣味嗜好を把握したデータではないからだ。

広告やショッピングサイトのヒット率を上げる為には非常に有効な手法であり、活用すべきデータではある。しかし、企業がマーケティング戦略を構築する際には、それらのデータだけでは戦略は立てられない。なぜならば、そもそも自社のターゲットに即した商品戦略やコミュニケーション戦略を構築しない限り、最初に興味を持ってくれたり、最初の1個を購入してくれたりはされないからだ。最初の接触が起きない限りそのあとの手法は使えない。

つまり、第1回でお話ししたように、まずは「人の琴線に触れる、エモーショナル(感情的)な側面」を充足したマーケティング戦略が立てられない限り、企業は利益を上げられないのだ。

そもそも「AI」とは

そもそもAIとはいったい何者なのだろうか?「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略で、日本語では人工知能ということだ。確かにそのとうりです。

では、AIはいつ生まれ、いつごろから普及したのだろうか。そして今、何ができるのだろうか。これを正しく説明できる人は何人いるのだろうか。

AIの歴史と、その本質、そして今何ができているのかを整理してみたい。
AIという概念は、実は古代の神話に登場している。
人が人工の物に知性や考える力を与えたいという、“神”を人の手でつくりあげたい、という欲望から生まれたものだと考えられる。
映画のインディジョーンズの世界のようですね。
とにもかくにも、AIという概念は近年のものではなく、古くからある人類の望みのような存在なのです。

一方、現在の技術としてAIが普及したのは、みなさんご存じ21世紀に入ってからです。ビッグデータという大量のデータを集約・分析する技術が確立され、機械学習が実用化されたからです。更に、ディープラーニングという機械学習によりAI自らが人間と同じ判断を下すことができるようになり、現在のように、デジタルマーケティングの世界で活用されるようになったのです。

では、現在AIはどのようなことができるのでしょうか。大きく5つの分野に区分けできると思います。

 一つ目の分野は、「制御」です。
データをもとに、機械の制御や操作を行う。今現実化している自動車の自動運転や、エアコンなどの家電製品の自動システム化技術です。

 二つ目の分野は、「言語」です。
文章の意味を理解し、同じ内容の物を選択したり文章を作成する。自動翻訳機やテキストマイニングツールの世界です。

 三つめの分野は、「音声」です
人の声を解析し、文章に変換する。あるいは音声合成をする。科学捜査研究所の世界ですかね。

 四つ目の分野は、「画像」です。
画像や映像を認識し、加工することができる。写メ加工や画像加工アプリです。アパレルの世界でも活用され始めていますね。

 そして五つ目の分野が、お待たせしました「推論と最適化」です。
過去の事例を大量に蓄積することで、関連するデータの分析を行い予測し、最適な判断を下すことができるAIです。この技術が現在、広告の最適化やショッピングサイトのおすすめ表示などのデジタルマーケティングの主要な武器として活用されているのです。この技術は、囲碁や将棋の世界でも活用されていますね、人間に勝ったコンピュータも話題になりましたね。

どの分野も、計算機による知的な情報処理システムの設計や実現に関する専門分野ということになります。いかに質が良いデータを多く確保できるかが、肝であることは変わりません。

そして重要なことは、AIという概念は、人間と同じように周りからの刺激を捉え、考えたり理解したり判断したり行動できることを目指しているということです。つまり、現在のAIは発展途上のツールだということです。

現代マーケティングに重要なデータ

さて、マーケティング戦略を策定する際には、3C分析が良く使われます。

顧客(Customer)、自社(Company)、競合相手(Competitor)の3つのカテゴリーの頭文字をとって3C分析と呼ばれます。

この3C分析の中の顧客データに関しては、
デモグラフィック変数(Demographic)人口統計変数(年齢、性別、職業、など)
ジオグラフィック変数(Geographic)地理的変数(住居、勤務地域、位置情報など)
が数値化しやすくベースとして使用されます。

そして現在便利な数値データとして活用されているのが、
ビヘイヴィア変数(Behavior)行動変数(アクセス履歴、購買履歴など)です。

しかし、冷静に考えるとこれらの3種のデータは、過去・結果のデータであり、顧客の思考背景を把握することはできません。過去のデータをもとに推測や予測を行い、いわば後追いの戦略を立てることはできますが、これだけ消費変化が激しく商品サイクルが短い現代において、顧客の先回りをして次の一手を打つ戦略はたてられません。

そこで必要なデータが、
サイコグラフィック変数(Psychographic)心理的変数(感性、価値観、など)です。

顧客がなぜその商品を選択したのか、なぜそのサービスを利用したのか。顧客が発言や行動を起こした背景となる『感性』(切望していること、目標、これからやりたいことなど意志、大切にしている価値観など)を把握できるデータが必要となるのです。

『感性』データは定性データなので、一見データ分析には活用できなく、人がそれこそ感性で理解するのに留まると捉えれらがちですが、実はある分析体系を使用すれば数値化でき、データに加工でき分析ができるのです。
このサイコグラフィックデータ=感性データこそ、「顧客の琴線に触れる」ために最も重要なデータとなるのです。つまり、マーケティング戦略を策定する際のキーとなるデータということです。

企業として売上を上げる為には、顧客を創造し、顧客を維持する活動が必要です。
顧客を創造するためには、「顧客の琴線に触れる」ことが必要だと第1回で説明しました。
そしてそのためには顧客(消費者も顧客企業とも)の一人一人の価値観、生活において大切に思っていることを理解することが必要です。
確かに行動変数を分析することによりその一端は見えてきます。しかし、その人や企業の本質的ニーズを理解したとは言い難いのです。

顧客の価値観や生活において大切に思っていることの本質を把握することができれば、企業側は、顧客の一歩先をついた仕掛けや、商品を提供することができるはずです。

企業に必要だということは、皆様マーケティングにかかわる企業人にとっても必要だということになります。
マーケティングの目的とその役割、そしてマーケティング理論を正しく理解し、実務において使いこなせる知識を習得することは、これからのデジタルマーケッターには必須のことだと考えます。

今こそ、マーケティングに携わる人は、マーケティングの本質を理解し、自由に使いこなせるようになることが必須のこととなってきていると思う。
このシリーズでは、そのような方々とご一緒にマーケティングの本質を考えたり気づきを得ていきたいと思います。

次回もお楽しみに。

 

「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

マーケティングの基本理論を使いこなす『JMLAベーシックパスポート

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

【真のデジタルマーケッターとなるために】第1回:マーケティングとは

コロナウィルス拡大に伴うデジタル化で考えるべきこと

コロナウィルスの拡大に伴い、企業のデジタル化への移行が急加速的に進んだ。今まで躊躇していた企業や、自分の業種には違和感があるなどと言っていた企業も否応なくデジタル化を進めなくてはいけないようになった。

デジタルマーケティングに携わる企業にとっては、大変なチャンスだといえよう。

しかし、なぜ多くの企業が“躊躇”していたのだろうか?!

それは、「人との機微に触れるコミュニケーションが取りづらい。」ということに尽きるだろう。実はこれこそマーケティングに必要な基本要素につながるからだと思う。

マネジメントという考え方の祖であるピーター・ドラッカーが「マーケティングとは顧客を想像すること」であり、「顧客を十分に理解し、顧客に合った商品やサービスが自然に売れるようにすること」、そして顧客を魅了する企業になるためには、「持続的に成長し、利益を上げていく合理的な側面」「人の琴線に触れる、エモーショナル(感情的)な側面」の両面を併せ持つことが必要だと唱えている。そしてこれを成し遂げるための企業活動の武器こそがマーケティングだと言い切っている。

現在、デジタルマーケティングの手法やツールは急速に進化し、企業にとっても、消費者にとっても生活に欠かせないものとなっている。しかし、現在のデジタルマーケティングの考え方にかけているのが、「人の琴線に触れる、エモーショナル(感情的)な側面」であろう。膨大なビヘイヴィアデータ(アクセス履歴、購買履歴などの行動変数)を活用することにより消費者の行動予測をもとにした企業側のアクションは消費者の行動に影響を与えている。

しかし、消費者が「どうしてその商品を買ったのか?」「何が気に入ってそのサービスを選択したのか?」「そもそもその人の生活や価値観の何に役立っているのか?」ということは理解されず、単に行動履歴により判断されているにとどまっているのではないだろうか。

コロナウィルスの拡大によって、デジタル化が急拡大し、多くの人々が参加してくるということは、それだけ価値観の違う人々が参加するということだ。

そんな世界で勝ち残るためには、やはり「人の琴線に触れる、エモーショナル(感情的)な側面」というものをいかに取り入れられるかということが必要になってくると思う。

今こそ、マーケティングに携わる人は、マーケティングの本質を理解し、自由に使いこなせるようになることが必須のこととなってきていると思う。

 

「顧客を創造すること」を実行する大変さ

企業として売上を上げる為には、顧客を創造し、顧客を維持する活動が必要です。このうち顧客を維持する活動は、現在のデジタルマーケティングの最も得意とすることであろう。しかし、顧客を創造する活動はどうであろうか?

顧客を創造するためには、「顧客の琴線に触れる」ことが必要だ。そしてそのためには顧客(消費者も顧客企業とも)の一人一人に価値観、生活において大切に思っていることを理解することが必要だ。確かに行動変数を分析することによりその一端は見えてくる。しかし、その人や企業の本質的ニーズを理解したとは言い難い。

つまり、企業側は顧客の行動変数=【結果のデータ】を把握してからしか行動を起こせていないということになる。

顧客の価値観や生活において大切に思っていることの本質を把握することができれば、企業側は、顧客の一歩先をついた仕掛けや、商品を提供することができるはずです。

そのためには、マーケティングの本質、様々な理論、戦略を考えるために必要なデータの種類などをしっかりと学び理解し、自分のものとされるとよいでしょう。

 

「売れる仕組み」を作って企業の社会的責任を果たす

企業の社会的責任は、利益を出すことです。

そのためには、利益を出し続けられる仕組み作りが重要です。
そして、ブランド価値向上も同じ意味で重要です。
これらのことを成し遂げるのが、マーケティングです。

企業に必要だということは、皆様マーケティングにかかわる企業人にとっても必要だということになります。

マーケティングの目的とその役割、そしてマーケティング理論を正しく理解し、実務において使いこなせる知識を習得することは、これからのデジタルマーケッターには必須のことだと考えます。

これから15回シリーズで、マーケティング、感性マーケティングに関してお伝えしていきたいと思っています。
どうぞ、お楽しみに。

 

★マーケティングの基本理論を使えるようにする『JMLAベーシックパスポート

☆参考:感性とは

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

コロナチャンスに伸るか反るかはあなた次第

 

コロナとの共生は、今後かなりの期間続きそうです。

コロナウィルスが生まれた理由や、人類のウィルスとの闘いの歴史などは専門家に任せるとして、我々マーケッターが今考え行動すべきことを述べたいと思います。

 

コロナは人類に不幸と災いをもたらしたが、一方でチャンスももたらした。

コロナに感染した人、なくなってしまった人など数多く、人間として悲しくつらい出来事を持たらしているコロナ。経済にも大打撃を与え、倒産する企業も多い。

しかし、一方でこのコロナにより売り上げを伸ばしている企業も存在する。マスクなどの必需品だけでなく、化粧品なども伸びているのだ。

そこには人のニーズが存在するのは明確だ。

 

社会環境が変化し、人のニーズも変化する

今まで東京に住み、仕事をするのが多くの人のニーズとしてあった。

しかし今、企業活動の多くは在宅でも可能なことが現場でも経営者にも解ってきてしまった。

となると、何も家賃が高く、空気の悪い東京に住む必要もない。かえって自然の多い地方都市で仕事場を確保する方が良いと考える人や企業も増えてきている。この需要を捕まえるのはどこの県や都市であろうか。既に自治体として取り組んでいるところがあるようだ。

一方、企業としては何を考え準備し実行するべきか?!

それは取りも直さず、新需要を取り込める新事業や新商品開発であろう。

人々のニーズ、企業のニーズを的確に把握し、自社の資産と合致させる真意事業や新商品開発こそコロナがもたらしたチャンスを生かすものである。

 

WAKU WAKU 創造 LABO

協会では、昨年度から計画し今年度立ち上げたWAKUWAKU創造LABOというプロジェクトがある。

*新規事業や新商品開発を企画したいがやり方がわからない

*今まで新商品をたくさん作ったがほとんどうまくいかなかった

*何か体系的に新商品を作る方法はないのだろうか

等といったお悩みに応えるべく立ち上げたプロジェクトだが、今まさに必要とされていると感じる。

コロナに打ち勝つ手段にお悩みの経営者、企業ご担当者は悩むことなく一度ご相談ください。貴社、あなたにピッタリの方法でその方法をお教えしたり、企業支援をいたします。

お待ちしています!