ファイブフォース分析とは

2019年09月28日堀内香枝

苦労すれば報われる?

業績向上、成長発展は、企業の共通する願いですが、従来通り業務遂行しているのに業績が上がらないということは起きていませんか?
そのような場合、5F(※)分析を行ってみてはいかがでしょうか。

「5F」(※)という、業界動向や変化を分析し、利益を生むポテンシャルを明らかにする戦略フレームがあります。

※5F: 5 Forces(ファイブフォース), 5つの競争要因分析。5Fは、マイケル・ポーター(アメリカの経営学者)が提唱した戦略フレームワークです。

1、業界内の既存企業間競争
業界内既存企業の間で競争が激化すればするほど、利益ポテンシャルは低くなります。
値下げ競争、広告戦争、サービス競争、新商品開発、などどのような施策を行っても
業界全体の市場規模が拡大しない場合、企業間のシェア争奪競争を引き起こします。

2、新規参入の脅威
新規参入の脅威が大きければ大きいほど、既存企業の利益ポテンシャルは低くなります。
新規参入企業が多いと、業界全体の生産能力が高まり、規模拡大を目指す企業が競争を仕掛けてくる危険が増加します。商品価値を高めたり価格設定の見直しなどが必要かもしれません。

3、買い手の競争力
商品やサービスを利用する顧客の交渉力が強くなればなるほど、既存企業の利益ポテンシャルは低くなります。
顧客からの、値引き要求やもっと良いサービスを要求する行動が増加すると、その要求を押し返すだけのパワーがなければ、利益ポテンシャルは低くなります。顧客のスイッチングコスト(金銭・手間・心理)の高低により左右されます。

4、供給業者の供給力
供給業者(仕入れ先)の交渉力が大きければ大きいほど、既存企業の利益ポテンシャルは低くなります。
スーパーマーケットという流通業態が登場した当初は、メーカー(供給業者)の方が立場が上でしたが、今では逆転しています。野菜等の原材料を仕入れて加工品を製造販売している企業は、天候の変動によって仕入れ値が左右されますが、販売価格を毎日変動させることは難しいです。

5、代替品の脅威
代替品により、既存の商品・サービスの市場が奪われる可能性がある場合、既存企業の利益ポテンシャルは低くなります。代替品と違う価値を検討する必要があるかもしれません。

サイゼリヤを例に5Fを解説します

イタリアンワイン&カフェレストラン「サイゼリヤ」を例に、イタリアンレストラン市場をファイブフォース分析してみます。

1、業界内の既存企業間競争
既存のイタリアンレストランチェーンは、サイゼリヤをはじめ、イタリアントマト、洋麺屋 五右衛門、ポポラマーマ、ラ・パウザ、PASTA壁の穴、ピエトロ、マンマパスタ、カプリチョーザ等多数あります。サイゼリヤの店舗数は国内外1,500店舗と最大で、また独自のキッチン戦略をとり、業界のリーダーカンパニーです。

2、新規参入の脅威
「俺のイタリアン」は、古本買取販売の「ブックオフ」創業者・坂本孝氏が俺の株式会社を創業し、今までにないビジネスコンセプトで飲食業界に参入しました。
しかし、店舗数は「サイゼリヤ」の方が多く、また、ビジネスコンセプトにも差異性があります。「サイゼリヤ」は顧客視点「毎日食べられる体にいいおいしい食」、「俺のイタリアン」は職人視点「職人が生き生き働ける店」です。

他に、ミシュランに選ばれたラーメン「ドゥエイタリアン」、都市型ワイナリー「清澄白河フジマル醸造所」「深川ワイナリー」、日本各地の生産者やイタリア食材をつなぐレストラン「QUINDI(クインディ)」など希少性に富んだ新規参入は存在しますが、「サイゼリヤ」を脅かす規模ではありません。

3、買い手の交渉力
顧客は「サイゼリヤ」以外のイタリアンレストランを利用したいと思ったとき、「サイゼリヤ」に解約金などのコストを支払うことなしに、他のイタリアンレストランを利用できます。そのためスイッチングコストは低いです。
けれども、「サイゼリヤ」のメニューは、パスタは299円から、グラスワインは100円と低価格で、かつ原材料にこだわったメニューを提供し、「安い」「おいしい」という顧客ニーズに応え続けています。「これほどコストパフォーマンスの高いイタリアンレストランはない」と顧客に思わせるポジションを築いています。

4、供給業者の供給力
直輸入のワインや、天候に左右されやすい食材を自社生産するなど、自社でコントロールしやすい供給体制を構築しています。

5、代替品の脅威
代替品は非常の多いといえます。
冷凍のパスタ:日清製粉「オーマイ」、日清「スパ王」「もちっと生パスタ」、日清フーズ「マ・マー」「青の洞窟」、
コンビニのパスタ―商品、
スーパーマーケットのイタリアン総菜・弁当、
宅配ピザ:ピザハット、ドミノピザ、ピザーラ、ナポリの窯、ファミリーレストランのパスタやピザなどイタリアンメニュー、等です。
「サイゼリヤ」は現在国内では、この代替品の脅威に晒されているといえるかもしれません。

情報整理の方法

5F分析に取り掛かる場合、ターゲティングでも説明しましたが、まず中央の対象企業(自社)と分析対象範囲(業界)を設定することが大切です。
中央の対象とする企業と業界を設定することで、残りの4つのFに入れる情報の基準ができます。

前項「サイゼリヤを例に5Fを解説します」に入れた情報は、粗い情報です。
意思決定のためには、より深い客観的データを用います。

自社の情報について、意思決定に必要な分析を行うための情報が整備されていない場合は、将来のためにも準備を始めると良いでしょう。
競合情報もなかなか取得が困難です。

まず、世の中に公開されている二次情報から収集するのがスムーズです。次に、競合調査(顧客が自社と他社を利用している場合、自社の情報も他社の情報も調査可能)を実施し、一次情報を収集するというステップを踏むと、時間的・経済的に効率的です。

まとめ
5F分析は、自社が属する業界が変化しているとき、一方引いた(俯瞰した)ところから、外的環境を把握し、このまま事業を継続して収益を上げ続けることができるのかについて知ること、あるいは、収益を上げるにはどうすべきかを検討するうえで役立つ分析手法です。もしくは、これから参入の検討をしている業界でも、収益性の検証に重要な分析手法です。

ただし、5F分析1つで全ての答えが出るわけではありません。また、客観的データを収集しないと判断を誤ります。情報の取捨選択スキルや変化するビジネス環境を分析して見極めるスキルを普段からトレーニングしておくことが大切といえます。

参考:「3Cとは、SWOTとは」「3C、4P使いこなしていますか?」「営業や提案をする立場になる人が必要なスキル

マーケティングの基本戦略フレームのトレーニングは、『JMLAベーシックパスポート
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堀内香枝
女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。