【真のデジタルマーケッターとなるために】第6回:PEST

2020年07月31日森田 広一

社会環境によって、人の感性も変化する。

インド人は、「ビーフカレー」を食べない。

今や日本の国民食ともいわれるカレーライスですが、そのルーツはインドのスパイス料理を総称するカレー料理だということは誰しもが知っていることと思います。

しかし、インドの人々がビーフカレーを食べないことを正しく認識している日本人は、どのくらいいるでしょうか?

インドの方が営むインド料理屋さんへ行ったことのある方は思い出してください。チキン、ポーク、野菜、豆等様々なカレーがメニューに並んでいてもビーフだけは決して目にしたことがないと思います。

それは宗教上の問題だからです。ヒンドゥー教徒の人たちにとって、牛は聖なる生き物ですから、食すことは禁忌となっているのです。

食に関する代表的な例ですが、このように文化や政治、社会環境、技術インフラなどが異なると、そこに生活する人々の感性や企業の判断基準は異なります。そのことをよく理解しないまま企業がその国に進出しようとしても失敗に終わるのです。

このことは、国というエリアだけではなく、日本国内でも起こることです。

 

「PEST分析」とは

Politics(政治)

Economy(経済)

Society(社会)

Technology(技術)

 

の頭文字をとった言葉です。

環境の変化や影響を把握・分析し、自社のとってどのような影響を及ぼすのかを理解したうえで、自社の戦略立案に反映させるための分析理論です。

冒頭の牛肉の例や、社会インフラや技術が未発達の国の人々が求めているものと成熟社会で生活している人たちの求めるものは当然違います。

進出しようとしている国やエリアのことを充分分析理解したうえで、市場参入をしないと手痛い結果を生んでしまうことになりますから、注意しましょう。

 

Politics

法律・社会的規制など、市場のルールを変化させる要因を把握します。

法律や社会的規制は国によって大きく異なります。

ある国では違法なものも、違う国では容認されているものもあります。また、商品にかかる関税も違えば、税関上の扱いも違ってきます。

政治判断により、企業活動が大きく左右されることがありますから慎重に分析するべきです。

 

Economy

経済成長や所得など、価値連鎖に影響を与える要因を把握します。

消費者や企業がものを購入する際には、資金が必要です。自分が保有する、使えるお金がどのくらいあるかによって、何をどのくらい購入するかという判断が違ってくるのは当たり前のことです。

その国の経済がどのくらい成長しているのかによって、基本的な生活用品が必要なのか、或いは生活を楽しくするものが求められているのかが違ってきます。企業活動は利益を生み出す経済活動ですので、冷静な判断が必要です。

 

Society

人口動態・流行など、需要構造に影響を与える因を把握します。

日本においても人口の大都市集中などという問題があります。企業としては人口の多い大都市をターゲットとして活動をしたいと思うことが多いでしょう。

しかし、小規模企業にとっては、競争の激しい大都市で勝負するより地方でその優位性を発揮して商売した方が効率的だということもあります。

更に、流行というものは人々の購買行動に大きく反映されます。時代時代の流行りを敏感に察知し、対応することも必要です。

 

Technology

ITなど、ビジネス環境に影響を与える要因を把握します。

ひと時代前、遠く離れた人とのコミュニケーションは固定電話によってなされていました。連絡を取りたいときには固定電話の前に行って電話をかけなくてはいけませんでしたが、今や携帯端末の出現によってありとあらゆる場所において人とのコミュニケーションがとれるようになりました。まさしく技術革新による人間の行動変化です。

世界的傾向とは別に、国によっては水道や電気、ガスといった社会インフラが未整備の国もあります。交通網や物流体制なども同じです。

このような技術力の差によって生じる生活環境の違いも人々や企業の判断に影響を及ぼすのは明白です。

 

以上のように、社会環境によって企業活動は大きく左右されます。日本国内でもカレーに入れる肉は違いがあるくらいです。

消費者や顧客企業だけを見ていてもその背景となっている社会環境を理解していないと現象を見誤ることが起きます。そんな社会環境の分析に必要なのがPEST分析です。

 

自らが求める目標達成には、それなりの準備と戦略が必要です。ただやみくもにやればよいというものではありません。

ビジネス社会で成功させるためには、マーケティングの知識と活用力は重要です。

 

 

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

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森田 広一
広告代理店でマーケティング戦略立案、コンサルティングファームでデータ分析や各種のコンサルティング業務を経験。そこで培われたノウハウを元に人間の「感性」を紐解く独自の分析手法を確立し、そのノウハウを広く世の中に伝えるべく、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会を設立。目に見えない消費者の深層心理「感性」を数値化し分析することにより、消費者や企業の隠れた欲求を解明し、各種提案やマーケティング戦略立案に役立てる分析体系を教える講座を開設。現在、様々な業種、職種の受講者から評価を得て、大手コンサルティング企業などの昇格必須講座としても認定されている。同時に各種企業のマーケティング・コンサルタントとしても活動中で、現代企業の悩み解決の実質的なサポート活動も継続している。