【真のデジタルマーケッターとなるために】第2回:現代マーケティングに重要なデータ

2020年07月01日森田 広一

デモグラフィック、ジオグラフィック、ビヘイビアは、結果のデータ。結果を生み出した背景となるサイコグラフィックデータこそ最も重要。

デジタルマーケティング(AI)で活用されているデータの限界

現在、マーケティングの世界では、AIの急速な進歩により、膨大なデータを使用した推論と最適化によるデジタルマーケティングが主流となっている。
何か興味のあることを検索すると、次から次へと同じようなものが表示されたりする。確かにその人の興味にフィットすれば購入してくれるかもしれない。

しかし、多くの場合はずれる。なぜだろうか。

それは、AIの投入されているデータが、過去の事例を蓄積したデータであり、その人の趣味嗜好を把握したデータではないからだ。

広告やショッピングサイトのヒット率を上げる為には非常に有効な手法であり、活用すべきデータではある。しかし、企業がマーケティング戦略を構築する際には、それらのデータだけでは戦略は立てられない。なぜならば、そもそも自社のターゲットに即した商品戦略やコミュニケーション戦略を構築しない限り、最初に興味を持ってくれたり、最初の1個を購入してくれたりはされないからだ。最初の接触が起きない限りそのあとの手法は使えない。

つまり、第1回でお話ししたように、まずは「人の琴線に触れる、エモーショナル(感情的)な側面」を充足したマーケティング戦略が立てられない限り、企業は利益を上げられないのだ。

そもそも「AI」とは

そもそもAIとはいったい何者なのだろうか?「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略で、日本語では人工知能ということだ。確かにそのとうりです。

では、AIはいつ生まれ、いつごろから普及したのだろうか。そして今、何ができるのだろうか。これを正しく説明できる人は何人いるのだろうか。

AIの歴史と、その本質、そして今何ができているのかを整理してみたい。
AIという概念は、実は古代の神話に登場している。
人が人工の物に知性や考える力を与えたいという、“神”を人の手でつくりあげたい、という欲望から生まれたものだと考えられる。
映画のインディジョーンズの世界のようですね。
とにもかくにも、AIという概念は近年のものではなく、古くからある人類の望みのような存在なのです。

一方、現在の技術としてAIが普及したのは、みなさんご存じ21世紀に入ってからです。ビッグデータという大量のデータを集約・分析する技術が確立され、機械学習が実用化されたからです。更に、ディープラーニングという機械学習によりAI自らが人間と同じ判断を下すことができるようになり、現在のように、デジタルマーケティングの世界で活用されるようになったのです。

では、現在AIはどのようなことができるのでしょうか。大きく5つの分野に区分けできると思います。

 一つ目の分野は、「制御」です。
データをもとに、機械の制御や操作を行う。今現実化している自動車の自動運転や、エアコンなどの家電製品の自動システム化技術です。

 二つ目の分野は、「言語」です。
文章の意味を理解し、同じ内容の物を選択したり文章を作成する。自動翻訳機やテキストマイニングツールの世界です。

 三つめの分野は、「音声」です
人の声を解析し、文章に変換する。あるいは音声合成をする。科学捜査研究所の世界ですかね。

 四つ目の分野は、「画像」です。
画像や映像を認識し、加工することができる。写メ加工や画像加工アプリです。アパレルの世界でも活用され始めていますね。

 そして五つ目の分野が、お待たせしました「推論と最適化」です。
過去の事例を大量に蓄積することで、関連するデータの分析を行い予測し、最適な判断を下すことができるAIです。この技術が現在、広告の最適化やショッピングサイトのおすすめ表示などのデジタルマーケティングの主要な武器として活用されているのです。この技術は、囲碁や将棋の世界でも活用されていますね、人間に勝ったコンピュータも話題になりましたね。

どの分野も、計算機による知的な情報処理システムの設計や実現に関する専門分野ということになります。いかに質が良いデータを多く確保できるかが、肝であることは変わりません。

そして重要なことは、AIという概念は、人間と同じように周りからの刺激を捉え、考えたり理解したり判断したり行動できることを目指しているということです。つまり、現在のAIは発展途上のツールだということです。

現代マーケティングに重要なデータ

さて、マーケティング戦略を策定する際には、3C分析が良く使われます。

顧客(Customer)、自社(Company)、競合相手(Competitor)の3つのカテゴリーの頭文字をとって3C分析と呼ばれます。

この3C分析の中の顧客データに関しては、
デモグラフィック変数(Demographic)人口統計変数(年齢、性別、職業、など)
ジオグラフィック変数(Geographic)地理的変数(住居、勤務地域、位置情報など)
が数値化しやすくベースとして使用されます。

そして現在便利な数値データとして活用されているのが、
ビヘイヴィア変数(Behavior)行動変数(アクセス履歴、購買履歴など)です。

しかし、冷静に考えるとこれらの3種のデータは、過去・結果のデータであり、顧客の思考背景を把握することはできません。過去のデータをもとに推測や予測を行い、いわば後追いの戦略を立てることはできますが、これだけ消費変化が激しく商品サイクルが短い現代において、顧客の先回りをして次の一手を打つ戦略はたてられません。

そこで必要なデータが、
サイコグラフィック変数(Psychographic)心理的変数(感性、価値観、など)です。

顧客がなぜその商品を選択したのか、なぜそのサービスを利用したのか。顧客が発言や行動を起こした背景となる『感性』(切望していること、目標、これからやりたいことなど意志、大切にしている価値観など)を把握できるデータが必要となるのです。

『感性』データは定性データなので、一見データ分析には活用できなく、人がそれこそ感性で理解するのに留まると捉えれらがちですが、実はある分析体系を使用すれば数値化でき、データに加工でき分析ができるのです。
このサイコグラフィックデータ=感性データこそ、「顧客の琴線に触れる」ために最も重要なデータとなるのです。つまり、マーケティング戦略を策定する際のキーとなるデータということです。

企業として売上を上げる為には、顧客を創造し、顧客を維持する活動が必要です。
顧客を創造するためには、「顧客の琴線に触れる」ことが必要だと第1回で説明しました。
そしてそのためには顧客(消費者も顧客企業とも)の一人一人の価値観、生活において大切に思っていることを理解することが必要です。
確かに行動変数を分析することによりその一端は見えてきます。しかし、その人や企業の本質的ニーズを理解したとは言い難いのです。

顧客の価値観や生活において大切に思っていることの本質を把握することができれば、企業側は、顧客の一歩先をついた仕掛けや、商品を提供することができるはずです。

企業に必要だということは、皆様マーケティングにかかわる企業人にとっても必要だということになります。
マーケティングの目的とその役割、そしてマーケティング理論を正しく理解し、実務において使いこなせる知識を習得することは、これからのデジタルマーケッターには必須のことだと考えます。

今こそ、マーケティングに携わる人は、マーケティングの本質を理解し、自由に使いこなせるようになることが必須のこととなってきていると思う。
このシリーズでは、そのような方々とご一緒にマーケティングの本質を考えたり気づきを得ていきたいと思います。

次回もお楽しみに。

 

「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。
必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

マーケティングの基本理論を使いこなす『JMLAベーシックパスポート

 

【真のデジタルマーケッターとなるために】シリーズ
第1回:マーケティングとは
第2回:現代マーケティングに重要なデータ
第3回:ブランドが果たす役割
第4回:マーケティングの仕組み
第5回:3C
第6回:PEST
第7回:5F
第8回:SWOT
第9回:STP
第10回:ブルーオーシャン戦略
第11回:リサーチの役割
第12回:集計と分析
第13回:戦略ドメインとコンセプト設計
第14回:競争戦略と隠れた競合
第15回:百年ブランドとなるために

 

参考:「3Cとは、SWOTとは」「強みを生かす!『SWOT』分析」「3C、4P、使いこなしていますか?!」「STP、ターゲティングの成功事例」「ファイブフォース分析とは」「JMLAベーシックパスポートの魅力

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森田 広一
広告代理店でマーケティング戦略立案、コンサルティングファームでデータ分析や各種のコンサルティング業務を経験。そこで培われたノウハウを元に人間の「感性」を紐解く独自の分析手法を確立し、そのノウハウを広く世の中に伝えるべく、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会を設立。目に見えない消費者の深層心理「感性」を数値化し分析することにより、消費者や企業の隠れた欲求を解明し、各種提案やマーケティング戦略立案に役立てる分析体系を教える講座を開設。現在、様々な業種、職種の受講者から評価を得て、大手コンサルティング企業などの昇格必須講座としても認定されている。同時に各種企業のマーケティング・コンサルタントとしても活動中で、現代企業の悩み解決の実質的なサポート活動も継続している。