トレンドの表層と深層 潮流を読むマーケティング力 ”持続性”&”Why?”

公開日:2021年09月19日最新更新日:2021年09月19日堀内香枝

世の中の潮流を読む 表層と深層の違い

コロナ過が継続している現在、巣ごもりマーケティングなどという言葉も生まれていますが、マーケティングにおいて重要なことは世の中の潮流を読むことです。


潮流を読むというと、現在は外出ができないから家の中で楽しくラクに過ごせるようなもの(商品やサービス)、あいは、家の中の整理や見栄えをよくするもの (商品やサービス) を売れば売れるだろうと、安易に考えてしまうと、表層にだけ対応してしまいます。

それだけでは世の中の人に長く受け入れてもらえません。深層を捉える必要があります。

では、どうすればよいのでしょう。

    

家の中で過ごさざるを得ない人がどのような気持ちになっているのかを理解する

家の中で一日中過ごさなくてはいけない人は、最初はデリバリー食を楽しんだり、DIYをやってみたりしているかもしれません。

そして、そのニーズに対応した商品が売れます。


しかし、それらのニーズ(デリバリー食やDIYを、流行りだからと始めた人たちのすべて)は長続きするでしょうか?

DIYは最初は楽しいかもしれませんが、継続できる人がどれほどいるでしょうか。デリバリー食もおいしいしラクだし便利だし楽しい。しかし、濃い味や印象に残る味が連続すると、飽きがくるし、先のことを考えるとコスト面も気になり始め、頻度が落ちるでしょう。


このような一過性のニーズを追って対応すると、すぐに飽きられてしまうリスクも大きいです。


コロナ過により、人々は家の中で過ごすことが多くなり、それにより、ライフスタイルも変化したでしょう。リモートワークを含め、今までの生活スタイルとは異なるスタイルで、生活していけることを人々は学んだでしょう。

例えば、家族と一緒に料理を作ることで絆が深まることに改めて気づかされて、料理作りの時間の過ごし方が変わった、それにより、食材の選び方や調理器具の選び方に変化が生まれた、このような本質的な価値観を企業が掴むことが新しい事業の芽を見つけることに繋がります。

消費者や顧客の本質的な価値観(本質的なニーズ)は、言い換えると、「トレンドの深層」です。

    

    

          

本質的なニーズを理解するために 深層を浮き彫りにするリサーチ

では、その本質的なニーズを理解するためには何が必要でしょう?

それは、調査しかないのです。

調査といっても会社の規模により実現可能な方法で実施すればよいでしょう。大企業であれば多くの人に受け入れられ多く売れる商品やサービスを生み出す必要があるので、専門の調査会社を活用して大規模なアンケート調査を行う必要があるでしょうし、街の商店や中小企業などは予算によって、自社のターゲット層や顧客、さらに小さい規模としては知り合いや親族に聴くことによって気づきやヒントが得られるでしょう。

本質的なニーズ(深層)には潮流があるので、1回きりで終えず、定期的にモニタリングする(1年に1度とか2年に1度とかシーズンに影響を受ける場合はシーズンごとなどでアンケート調査をする)ことが望ましいです。


「いま、何に困っているか」を2年前と今それから2年後、きっと変化するでしょう。それが何人か集まると傾向をつまめます。10年の間に社会の変化に合わせて人のニーズが変化します。調査とはこれらのことを言い、中長期のスパンで変化するのが「トレンドの深層」です。

今だけにフォーカスしすぎてもアンケート調査で、「どのような物やサービスがあったら良いか」などを聞き出すことが多いですが、ストレートに聞いても人はなかなか自分の真のニーズに思い当たりにくいことが多いです。

調査も聴取方法や聴く内容だけでなく、”持続性”も重要になってきます。

    

     

     

          

本質的なニーズを理解するために 人の深層ニーズを引き出す設計

調査でよくある「次の中から選んで答えてください」という「選択肢=プリコード」による設問・回答方法は、設問設計者、つまり何かを聞き出したい側が設計しています。

このことは何を意味しているかというと、設計者が既に既知の知識として持っている仮説の範囲内しか出てこないということで、新しい発見に繋がりにくいデメリットがあります。

ではどうしららよいのか。自由回答(フリーアンサー)を活用することです。

回答してくれる人たちが、自分の本音に気がつくような設問を設計します。

設計方法としては、初心者でも取り組みやすいのは、「なぜ?なぜ?なぜ?」と深堀りして聴く方法です。

なぜ?」(Why?)とう問いかけは、問題発見の基本中の基本で、問題だけでなく、「なぜ?」(Why?)と問いかけられると視野が広がり、新たな発見に気づきやすくなります。

真のニーズを引き出す方法や、回答者が日頃思っていることを自由に(フリー)答えてもらい、その文章の中からキーワードを抽出する方法などいくつかの方法がある。何を知りたいかテーマを具体的に考えていくことで、どのような設問を設計すればよいか、聴きたいことの取捨選択もしやすくなります。

このアンケート調査を設計する際に、自分で考える、考え抜くという行為も大変重要です。

世の中を何気なく見ていると自社にとっても大きなヒントとなることを見逃してしまいます。マーケッターとして、常に意識をもって世の中の動きを把握することが大切です。

そのために、アンケート調査という便利で役に立つ手法を学んでおくことは、仕事にも有用です。

顧客ニーズを理解するアンケート調査に今日をお持ちの方は、こちら⇒「マーケティングの基本 JMLAベーシックパスポートをご覧になってみてはいかがでしょうか。


必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

    

参考:「リサーチの役割」「アンケート調査10のポイント」はこちらからご覧ください。

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。