新社会人との接し方をマーケティング視点で考える

公開日:2022年03月31日最新更新日:2022年03月31日堀内香枝

明日は4月1日、新社会人は、今日1日をどのような気持ちで過ごしているだろうか。

一昔前、ブラック企業という言葉が生まれ、過度の残業廃止や社員への接し方などが改善されてきました。

現在その改善が行き過ぎ、新入社員が会社に対し物足りなさを感じ、「自分が成長できない」という理由で早期退職してしまう人が多くなってしまっているようです。

この問題をマーケティングの視点で考えてみたいと思います。

昔の新社会人、今の新社会人、先輩の存在が変わった

先日、ある企業の方と会話した際に、上司と部下の関係性の変化が窺えました。

         

 

<上司の方> ご自身が新社会人だった頃の想い出、

「先輩から怒鳴られながら仕事を教わったよ。」

 

<部下の方> 今の上司に対する感想と態度、

「上司が自分に気を使って相談してくるので、自分は上司を持ち上げてあげています。」

       

昔は、第二次世界大戦後の復興からバブル崩壊の1990年までは、年功序列で給与も年齢が上がるにつれ金額が上がる終身雇用型の主従関係の中、上司も部下もずっと一緒に仕事をしていくことを前提にコミュニケーションが成り立っていました。

今は、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方の推奨、雇用形態に関わらず公正な待遇といった昔は考えもしなかった就業環境をつくることが義務となり、個人尊重型の対等関係に変わってきました。明らかに組織運営の仕組みが変わり、上司と部下との関係性も変わりました。

今の40代後半から60代の上司は、自分が新社会人だった頃、自分が体験した先輩の背中とは違う態度で、自分が上司として部下との関係を築く必要があり、職場環境の変化に戸惑っているのは実は、若手社員より上司の方かもしれません。

    

         

自分が新社会人のとき先輩が教えてくれた方法で、今の新社会人を教えることができないのです。

どうやって後輩を指導したらよいのか、実は、試行錯誤だったりします。「背中を見て覚えろ」という時代ではなくなりました。だからといってPCやスマホを通して「AIマニュアル」だけで新社会人を指導できるはずはありません。人と人との関係性をつくっていかなければ信頼関係は築けませんから。

      

いきなりステーキ社内報の炎上はマーケティング知識の欠如が原因

いきなりステーキの新年社内報で、一ノ瀬社長が社員に向けたメッセージが報道され、SNSなどで大炎上しました。内容は、お客様からのクレームを発生させた社員を「ネガティブ従業員」と決めつけ、批判したというものです。SNSで批判が起きた理由は、「経営側の責任を従業員に押し付けている」という至極当然のものでした。


この時は、あるべき接客業の姿や社長の社員に対する姿勢が問題視されましたが、この社長はこの問題だけではなく、経営に関する判断で何度も問題視されています。問題点に関して考えてみます。

第一に言えることは、経営者が自身の経験と勘による経営判断を行ってしまったということです。
接客であろうと事業戦略であろうと、基本は顧客を理解し、自社が提供する価値を見極め判断することが必須です。

第二に、そのためには、正しいマーケティング知識が求められます。

経営者自身が現場で得た経験は大切ですが、時代は移り変わり社会環境も変化します。
経営者や事業のトップに立つ責任者やリーダーの経験や勘だけで判断し、周りの評価や不安をも無視し、度胸だけで進めてしまうことは自殺行為につながるリスクもあります。誤った判断により、業績の不振、事業の縮小、下手をすれば倒産にも結び付きかねません。

データ分析を包含したマーケティング知識をしっかりと持っていれば、社員に対しても顧客と同様の接し方が考えられたでしょう。

「BtoB(Business to Business:企業間取引)では、BtoBの先にはC(Customer:消費者・お客様)がいると考えなさい」よく言われますが、その逆も真なりで、お客様と直接接するのは社員です。社員に正しい知識を持って良い状態のモチベーション保って仕事をしてもらわねば、顧客満足は得られません。

     

       

顧客満足を得るには社員満足が大事、新社会人と信頼関係を築き課題解決力を高める3つの質問

社員が良い状態のモチベーションを保っている、とは会社がどういう状態のときでしょうか?

会社の進む方向が定まっていて、その方向に向かって一生懸命進んでいけば、会社の業績も良くなり、または、安定し、働く社員の心も充足し、社員に何がしかの還元があることが想像できる状態のときです。

そのためには、

  1.  社員ができること
  2.  その中で自分ができること
  3.  会社にやってほしいこと

を、真摯に話し合い、真摯に問題解決をしていくという真の課題解決能力を、社員そして経営者も持つことこそ、これからの社会を生き抜く力だといえます。

上記の3つの質問から始まり、問題を発見し、課題を設定し、解決してゆくために、マーケティングという企業経営のベースとなる知識が必須となるのです。

    

              

社内の人間関係も一方的な思いだけではうまくいきません。新社会人、若手社員、全従業員が、何を求め、何をしたいのか、そして何を目指したいのか、その方向を会社の課題と摺り合わせることができているか。必要な手立てを考える力=『真の人間教育力』が求められる時代になったといえるでしょう。

仕事を進めていく中て、必要な手立てを考える力を養う機会を、どれだけ多く与えてもらえるかということと、社員自身が自らそういう機会を積極的に見つけてチャレンジする、そのどちらも真の人間力を養うためには必要なことです。

古くからの教えにも学ぶことがあり、近代において考え出された学問や理論などもどんどん学び吸収していくべきです。
そして、社会人にとって基本となるマーケティングの考え方は必須の学びだと思います。

弊会(JMLA:日本マーケティング・リテラシー協会)では、マーケティングの基礎、データ分析を包含したマーケティングのプロフェッショナルレベルまで体系化された学びのための資格講座を開設しています。

マーケティング/商品開発のスキルアップを目指しながら、課題解決力を養うカリキュラム構成です。
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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。