なぜ主力商品は強くなるのかー成功企業に学ぶプロダクトミックス
皆さまは、自社商品の売上を伸ばすために、日々さまざまな工夫や努力を重ねていることでしょう。
しかし、その戦略は「たった一つの商品で売上を稼ごう」とするものになってはいないでしょうか。
もちろん、主力商品を育てることは重要です。
ですが、企業が継続的に売上を伸ばしていくためには、それだけでは不十分です。
必要になるのが、複数の商品を組み合わせて売上を最大化する考え方、すなわち「プロダクトミックス」です。
「プロダクトミックス? 聞いたことはあるけれど、正直よく分からない」そんな方も多いかもしれません。しかし、この考え方を理解し、正しく活用できるかどうかで、売上の伸び方やブランドの強さは大きく変わってきます。
本記事では、プロダクトミックスとは何か、なぜ今あらためて重要なのかを、分かりやすく解説していきます。売上を“点”ではなく“面”で伸ばしたいと考えている方は、ぜひ読み進めてみてください。
ペヤング「ミステリーやきそば」
まるか食品株式会社が発売した「ミステリーやきそば」をご存じでしょうか。
出所・引用:まるか食品株式会社ホームページより
『ペヤング ミステリーやきそば』を12月9日に発売いたします。
自分が買った商品は何味なのか?遊び心あふれる、ペヤングならではの商品が登場!
どんな味か食べてみるまでわからない…そんな”ミステリー”をお楽しみいただける商品です。
多くの人が一度は食べたことのある「ペヤングソースやきそば」とは対照的に、この商品名からは味の想像がまったくつきません。
“ミステリー”という言葉が示す通り、どんな味がするのか、開封するまで誰にも分からない――そんな不思議な商品です。
「ペヤングソースやきそば」ブランドサイト
まるか食品は過去にも「超超超超超超大盛」や「ペヨング」など、数々の個性派商品を世に送り出してきました。
なぜこのような一見奇抜な展開を続けるのでしょうか。
左「超超超超超超大盛」、右「ペヨング」
写真左「超超超超超超大盛」
ペヤングソースやきそばの約7.3倍という、ペヤング史上最大級のボリューム感マックスな超特大商品が登場!!※絶対に1人で食べないでください。
2020年11月2日(CVS先行発売)2020年11月16日(一般発売)
同社ホームページより引用
写真右「ペヨング」
通常よりも安い価格でソースやきそばを提供したいとの思いから「ペヨング」を開発したそうです。発売日:2016年3月14日|ペヤングの「ヤ」が「ヨ」に代わっています!
その理由は、実はとても戦略的です。
彼らが本当に売りたいのは“主力商品”である「ペヤングソースやきそば」。
奇抜な商品群は、主力商品への注目度を高めるための“呼び水”なのです。
思わず試してみたくなる商品が話題を生み、ネットやSNSで拡散されることで、「ペヤング」というブランド自体が再びクローズアップされます。そして消費者が一度“変化球”の商品に触れることで、逆に定番の良さを再認識するきっかけになります。
結果として、「やっぱり普通のペヤングが一番おいしい」と感じ、改めて手に取る。
この循環こそが、まるか食品の狙いなのです。
人間は我儘(わがまま)な生き物ですから、どんなに好きな食べ物でも、時折“刺激”や“変化”を求めます。
しかし、その欲求を他社商品に奪われてしまえば、ブランドからの離脱が起きてしまう。
ならばいっそ、自社内でその浮気心を受け止めよう。
その発想こそが、奇抜な商品の本質です。
顧客の好奇心を満たしつつ、最終的には主力商品に戻ってきてもらう。
まるか食品はこのサイクルを計算したうえで商品展開を行っているのです。
ただし、「奇抜な商品を出せば顧客の浮気心を受け止められる」という単純な話ではありません。
“お客様が本当に求めている驚き”を提供できてこそ、再びブランドに戻ってきてもらえるのです。
奇抜さは目的ではなく手段。
最終的には顧客の期待に応え続ける姿勢こそが、強いブランドを支えるのではないでしょうか。
オニツカタイガーが海外でも爆売れ
世界を席巻するスポーツブランドと聞くと、ナイキやアディダスといった海外メーカーを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし近年、日本のスポーツメーカーが海外ブランドを営業利益率で上回る活躍を見せています。その代表がアシックスとミズノの2社です。
株式会社アシックス ホームページ
ミズノ株式会社 ホームページ
<国内スポーツメーカーの営業利益率>
<海外スポーツメーカーの営業利益率>
数字だけを見ても、国内メーカーが世界トップブランドに食い込むどころか、利益率において上回る状況が生まれていることがわかります。
「オニツカタイガー」
アシックスの代表的ブランドはファッション性の高い「オニツカタイガー」です。
オニツカタイガー(ブランドサイト)

「オニツカタイガー」は、アシックスの前身である鬼塚株式会社を1949年に創業した鬼塚喜八郎氏(おにつか きはちろう氏)が立ち上げたスポーツシューズブランドです。
創業からわずか15年後、1964年の東京オリンピックで日本代表選手に提供され、その機能性とデザイン性が国内外で高く評価されました。活躍する選手の足元を支えるブランドとして知名度を高め、若者を中心に“憧れのシューズ”として人気に火がついたのです。
しかし、注目すべきはその後の歩みです。
当時の成功体験に安住するのではなく、アシックスはランニングシューズや日常履きのスニーカーといった幅広い市場に本気で取り組みました。
単に販路を広げたのではなく、「アスリートが本気で使うレベルの機能性」を維持したまま、ライフスタイル領域にも展開したことが特徴です。
この姿勢こそが、過去最高の売上・最高益という成果につながっています。
アシックス(ランニング特集TOP)
「スポーツスタイルシューズ」
同様にミズノも、長年にわたり“学校のスポーツ用品ブランド”として圧倒的な信頼を獲得してきました。
しかし、そこで立ち止まることなく、女性や若年層がファッションとして楽しめるスポーツスタイルシューズを開発。
結果として、従来の顧客層の満足を維持しながら、新たな顧客層を獲得することに成功しています。
スクールスポーツ(ミズノ公式オンライン)
ファッション性の高いスポーツスタイルシューズ(ミズノ公式オンライン)
この2社(「アシックス」、「ミズノ」)に共通する最も重要なポイントは、「アスリートのためのスポーツブランド」という原点を崩さなかったことです。
アスリートが求める厳しい基準に応え続けることで、高い品質と機能性を備えた商品が生まれる。
そしてその信頼が一般ユーザーにも広がり、「どうせ買うなら本物を選びたい」という心理に働きかけるのです。
いわば “本物であること”がブランドを支え、付加価値と利益を生み続けている のです。
単に流行を追うのではありません。
自社の独自性である“アスリート向けの高機能性”を守り抜き、さらに磨く。
その積み重ねがブランドの厚みを増し、結果としてファン層の拡大や業績向上につながっています。
この構造は、どの業界でも応用可能といえます。
自社の核となる価値を見失うことなく、時代や顧客の変化に合わせて展開の幅を広げる。
この姿勢こそが、継続的なブランド成長の条件と言えるのではないでしょうか。
プロダクトミックスの基本
ここまで事例をご紹介しました。
それぞれ自社商品に合った独自のプロダクトミックスを実行されています。
この項では、プロダクトミックスの基本を学んでおきましょう。
プロダクトミックスは、3+1の要素で組み立てられます。
1.商品ラインの深さ(バリエーション)
2.商品ラインの長さ(アイテム数)
3.商品ミックスの幅(ライン数)
プロダクトミックス

皆さんになじみの深いコカコーラ社を例にとって考えると、
1.商品ラインの深さ(バリエーション)
「コカコーラ」が好きな人でも飲む場面などにより、普通サイズが欲しいとき、大容量が欲しいときがありますよね。それに対応するのがバリエーションの考え方です。
2.商品ラインの長さ(アイテム数)
「ペヤング」の例でも述べましたが、「コカコーラ」が大好きな人でも、たまには違った”炭酸”飲料が飲みたいと思うときがあるはずです。その欲求にこたえるのが「スプライト」や「ファンタ」などになります。それがアイテム数の考え方です。
3.商品ミックスの幅(ライン数)
そして、飲むときや季節などへの対応です。スポーツで汗を流した後には適したスポーツ飲料を求めます。それが「アクエリアス」です。更には酷暑のような、とても暑い日には水が最も飲みたくなります。それが「いろはす」や「森の水だより」になります。これがライン数の考え方です。
4.整合性
3+1の要素の「1」にあたるのが、「整合性」です。
忘れてはいけないことは、全体の整合性を保つことです。
つまり「何屋」なのかを明確にして逸脱してはいけないということです。
コカコーラ社でいえば、飲料メーカーであるということが自社のドメインとなります。
まとめ
ペヤングの奇抜な商品展開や、アシックス・ミズノのブランド戦略に共通しているのは、「主力となる価値を明確に保ったまま、商品群で顧客をつなぎとめている」という点です。
話題性のある商品や新しい切り口は、あくまで主力商品やブランドの価値を際立たせるための手段にすぎません。プロダクトミックスとは、売れそうな商品を増やすことではなく、顧客の欲求や利用シーンを理解し、自社の強みの範囲内で最適に組み立てることです。
「何屋なのか」という軸を守りながら、顧客の選択肢を広げることこそが、長期的なブランド成長と安定した売上につながるのです。
では、自社にとって最適なプロダクトミックスは、どのように考えればよいのでしょうか。
その答えの出発点は、顧客の声にあります。
なぜ選ばれるのか、なぜ迷うのか、どんな場面で別の商品に目移りするのか。
こうした感性や本音は、数値データだけでは見えてきません。
マーケティング戦略の基礎を押さえながら、顧客の声という定性データを読み解き、商品やブランド戦略に落とし込むことが大切です。
勘や経験に頼らず、「なぜその商品構成なのか」を説明できる力を身につけたい方に、JMLAが主催する
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