地域愛はどう生まれるのか~カードゲームに学ぶマーケティングの本質

公開日:2026年04月23日最新更新日:2026年04月23日JMLA 事務局

『さがみヒーローズ』というカードゲームをご存じでしょうか?
詳しくはホームページを見ていただくとして、地域振興を目的として開発されたカードゲームです。
相模原市内の企業や名産品・人物などをカード化し、遊びながら相模原市のことを知ることができるという、地域の人々の交流を深め、つながりの輪を広げることで地域活性化を目指すという趣旨で生まれたものです。
既に地元の有力企業も賛同し、参加されています。

さまざまなカードゲームが遊ばれている中、有意義で面白い試みだと思います。
カードゲームの歴史を振り返りながら、カードゲームが秘める力と魅力を探りたいと思います。

日本における「カードゲーム」の歴史

日本のカードゲームは、安土桃山時代にポルトガル人が持ち込んだカードゲームが、「かるた」の原型になったと言われています。
トランプに似せた絵札を用いた遊びが、日本の文化や和歌と結びついて、百人一首かるたや、いろはかるたなど教育要素を併せ持つ日本独自のカード遊びへと発展してきました。

江戸時代には、かるたや花札が庶民の娯楽として広まり、賭博的な要素も含んだ遊びとして定着していきます。

明治時代以降は、トランプも普及し広く遊ばれるようになりました。

昭和時代になると、歴史や地理などを学べる学習かるたや人物かるたなど、遊びながら知識を身につける教材としての側面を持つ教育色の強いカードゲームが学校や家庭で使われるようになりました。

1990年代になると、アメリカ発の「マジック:ザ・ギャザリング」というトレーディングカードゲームが日本でも一気に認知され、これが日本におけるトレーディングカードゲーム(TCG)ブームの先駆けとなりました。その後「遊戯王」や「ポケモンカード」など、アニメやマンガを題材としたTCGがオタク文化やホビーショップ文化(※1)と結びついて大きな市場を作っていきます。

(※1)ホビーショップ(文化)とは
趣味の商品を提供する販売店機能だけでなく、初心者から愛好家まで楽しめる、人々が集うコミュニティ機能を併せ持つ場。

2000年代以降は、アーケードゲーム(※2)や家庭用ゲーム機、スマホ上でのデジタルカードゲームが増え、コレクション要素とオンライン対戦を組み合わせた作品が多数登場しています。また日本史や世界史などをテーマにした「歴史カードゲーム」も作られ、歴史や文化を学ぶ教材ホビーとしても展開されています。

(※2)アーケードゲームとは
ゲームセンターや商業施設などの公共の場に設置されたお金を支払って遊ぶゲーム機。

社会背景とカードゲームの変遷

一方、昭和初期には鹿児島新聞社主催の「南九州歌留多大会」が開催され、鹿児島・熊本・福岡の三県から出場者を募って実施されました。
優勝カップや賞品は、鹿児島天文館周辺の商店が提供しました。
この開催趣旨は、「かるたを介して人と地域が一体となるイベント」というものでした。

今でいう地域振興のイベントであったといえます。
「かるた」というカードゲームを媒体として、地域と人のコミュニケーションを深め、地域活性化を図る大きなイベントだったのでしょう。

まさに「さがみヒーローズ」のルーツともいえる取り組みですね。

一方、1983年版「レジャー白書」によれば、「トランプ、オセロ、カルタ、花札など」で遊ぶ参加人口は4,740万人だったのが、2008年には2,910万人に減少しています。
この背景には、社会変化による「人間関係の希薄化」が存在しているとされています。

「さがみヒーローズ」も地元愛を醸成させる

そのように人間関係の希薄化が問題視される今だからこそ「さがみヒーローズ」の活動が多くの人や企業に認められているのではないでしょうか。

20世紀末からみられるようになった子供の生活習慣の変化や、新型コロナウィルスの世界的なパンデミック(2019年12月~2023年5月)が「物理的に他人と接触しない社会」をつくり出しました。

グローバル化や高度情報化はますます発展し人々の関心も技術革新や大きな社会課題の話題へ向くでしょうが、同時に「個人と個人」「個人と世界」が心から繋がっていると感じられる安心感や愛着心を醸成する重要性も高まると思います。そして「個人と世界」の間に「地域」を介在させることも重要だと考えます。

まとめ:地域愛はどう生まれるのか~カードゲームに学ぶマーケティングの本質

さまざまな遊びは、繰り返しながら受け継がれていきます。遊びがどのような方向に向かうのかを決定するのは人間です。【学び】が存在する遊びを創り伝えることは人に課せられた重要な使命だと感じています。

マーケティング活動も同様です。
人のため、人に役立つ商品やサービスをお客様に届けるという使命を全うするからこそ、顧客の自我(認識、感情、意思など)を呼び起こし、顧客にとってかけがいのない商品となり、企業のブランド評価をも高め、収益を向上させる結果につながるのです。

その思考力や実行力を高めるためには、正しいマーケティングの基礎知識を学び、なおかつその知識を実際に使いこなす力が重要になります。

地域振興における「さがみヒーローズ」のような取り組みは、単なる娯楽にとどまらず、人の感情や行動を動かす“仕組みづくり”そのものです。

なぜ人はそのカードに惹かれるのか、なぜ地域への関心や愛着が生まれるのか——そこには、偶然ではなく明確な構造があります。
地域資源をどのように切り取り、どのようなストーリーや体験として設計するかによって、参加者の共感や愛着の深さは大きく変わります。

これはまさにマーケティングの本質であり、「人の心を理解し、価値として届ける力」が問われる領域です。

さらに、こうした活動を一過性のイベントで終わらせず、継続的な価値へと昇華させるためには、感覚や経験だけに頼るのではなく、再現性のある理論と分析力が必要になります。

地域愛を醸成する仕掛けを意図的に設計し、成果につなげていくためには、顧客理解・市場理解・価値設計を体系的に学び、実践できる力が欠かせません。だからこそ今、感性と論理の両面からマーケティングを捉え、実務に活かす力を身につけることがとても大切です。

当協会(JMLA:日本マーケティング・リテラシー協会)では、、感性と論理の両面からマーケティングを捉え、実務に活かす力を身につける資格講座をご用意しています。

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JMLA 事務局

一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)は、商品企画開発とマーケティング戦略立案の領域で、ヒトの感性を起点にマーケティングサイエンスで「売れる」を創り出す2つのソリューションを提供しています。 また、2つのソリューションに関する、人財育成(認定資格講座、企業研修)も行っています。商品企画領域では系統的なメソッド「Neo P7」を用いて再現性ある開発を推進する内製化支援を行っています。