動画配信サブスクは巣ごもり需要を越えて安定期? 持続するサブスク事業とは

2022年05月04日堀内香枝

米国動画配信サービス大手のNetflix(ネットフリックス)が有料会員数減少したという先月のニュースから、サブスクリプション(サブスク)事業を持続的に成長させるには何が必要か?について考えてみたいと思います。

サブスクとは:サブスクリプション(subscription)の略で、定額利用サービスのことです。例えば「月額1000円で音楽が聴き放題」など、料金を支払うことにより、サービスや製品を一定期間利用できるという形式のサービスを意味します。

このような方に役立ちます。
  • これからサブスクを新規事業にしたいがサブスクリプションモデルは何に留意すべきか考えている
  • 顧客へ提供するサブスクのサービス内容に関して、サービス内容を決める良い方法はないか探している

         

BtoC形態のサブスク 定額制は購入するより安い?

生活回りの身近なサブスク(BtoC形態)は、いまや幅広いジャンルがあります。

BtoCとは:Business to Consumerの略で、企業(business)が一般消費者(Consumer)を対象に行うビジネス形態のことです。

さまざまなサブスク

映画・ドラマ・動画配信のサブスク
  • Netflix(ネットフリックス)
  • Amazonプライム・ビデオ
  • Disney+ (ディズニープラス)
  • Hulu(フール―)
  • Paravi(パラビ) など
ミュージック・音楽配信のサブスク
  • Prime Music(現Amazon Music Prime)
  • Spotify
  • Apple Music
  • LINE Music
  • AWA など
飲食に関するサブスク
  • nosh(ナッシュ)
  • ヨシケイ「シンプルミール」
  • Dr.つるかめキッチン など
家具・家電のサブスク
  • CLAS(クラス)
  • subsclife(サブスクライフ)
  • かして!どっとこむ
  • DMMいろいろレンタル など

家電のサブスクといえば、埼玉県戸田市が熱中症対策に、「エアコンのサブスク」(月額2000円~)を始めたことが話題になっていました。

       

その他、「本・雑誌・マンガのサブスク」、「服・ファッションのサブスク」、「子育て・おもちゃに関するサブスク」など。

       

サブスクの顧客価値とは 埼玉県戸田市の「エアコンのサブスク」

顧客価値(カスタマーバリュー)とは:商品の利用体験から顧客が得られる、顧客にとっての良い作用のことです。

「エアコンのサブスク」(月額2000円~)について、価値を感じられるでしょうか?みてみましょう。

埼玉県戸田市が始めた「エアコンのサブスク」は、募集数120世帯で上限があるようですが、初期費用を負担することなく、月額2000円~の負担で省エネ性能に優れた最新型のエアコンを設置することができるようです。

    

     

埼玉県戸田市の狙い(メリット)は、
  • 省エネ性能の高いエアコンを市民が導入することで、温室効果ガスの排出抑制に繋がること
  • 市民の適切なエアコン利用が熱中症予防に繋がること
「エアコンのサブスク」を導入する市民のメリットは、
  • 屋内での熱中症対策になる
  • 初期費用が高い理由で(高齢者が)エアコンを設置しない障壁がない
  • エアコンの修理費用は原則かからない
「エアコンのサブスク」を導入する市民のデメリットは、
  • エアコンをほとんど使用しない季節でも、月額利用料は同じ金額を払う

       

費用面だけでみた場合、市民のメリット/デメリットはどうでしょう?
提供されるエアコンは、1台35万円~45万円のもののようです。
2000円/月で、1台35万円と仮定すると、350,000円÷(2,000円×12ヶ月)=約14年6ヶ月、14年6ヶ月使用を継続すると、35万円になります。

サブスク期間(3年)が終了した後は「更新・買い取り・撤去」を選択でき、買い取りの金額は数千円程度を予定しているようです。
ということは、(2,000円×12ヶ月)×3年=72,000円、サブスク期間(3年)が終了した後は「買い取り」し、プラス数千円、総額80,000円未満で、35万円のエアコンを手に入れることが可能なわけです。

費用面だけでみると、市民にとって導入の価値がありそうです。

        

サブスク事業の成功と失敗 失敗しないための指標の適正化

では、今度はサブスク事業を展開する企業側の視点で、サブスク事業を成功させるためには、どのようなマーケティング上の考慮が必要か考えてみたいと思います。
サブスク事業の魅力は、ストック型の売上が見込めて、事業の収益が安定することです。

ストック型売上とは:毎月定額の収益を上げて、長期的に顧客と良好な関係を築き、事業を安定的に成長させるビジネスモデルのことです。反対に、フロー型売上とは、売り切りで新規顧客を獲得し続けるビジネスモデルのことです。

           

        

事業を安定的に成長させるには、収益性が成り立つ状態を持続させることが重要で、その指標に、

  1. 原価率/利益率
  2. 会員数
  3. LTV(ライフタイムバリュー)

などがあり、それらの指標が適正である必要があります。

LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)とは: 顧客生涯価値を意味します。ある顧客から生涯に渡って得られる利益のことを指します。

      

サブスクモデルを構築する難しさをみてみます。

      

サブスク Netflix(ネットフリックス)  コンテンツ制作費と新規会員獲得費

米国動画配信サービス大手のNetflix(ネットフリックス)は、ライバル企業が増える中、他社に奪い取られないために、オリジナルのコンテンツを強みに多額の制作費をかけてきました。既存会員に継続してもらうために、コンテンツ制作費は年々膨らみました。一方、増加し続けていた新規加入会員数の伸びが鈍化し始めました。今後はコンテンツ制作費と新規会員獲得費との舵取りが鍵になります。

        

サブスク 牛角「食べ放題PASS」  機会ロスと来店頻度が増えるほど赤字

焼肉チェーン「牛角」は、1回あたり3,000円超の牛角コースを、月額10,000円超のサブスクにして販売していました。が、販売中止になりました。
理由は、

  • サブスク客が席を占有してしまい、通常客の機会ロス
  • サブスク客が1カ月間に一定回数以上通うと、赤字額増える

        

サブスク スーツのAOKI「suitsbox」 想定外のターゲットとニーズ

アパレルでは、スーツのAOKIが手がけたスーツのサブスク・サービス「suitsbox」が販売から半年でサービスを終了しました。内容は、月額約8,000円~、好みやサイズに合わせてスタイリストが選定したスーツやシャツ、ネクタイのセットが毎月1セット届くというもの。
サービス終了の理由は、

  • スーツ離れが進む20-30代の若者世代の利用を想定していたが、実際には店舗で購入している40代の顧客が多く、カニバリが起きてしまった
  • 豊富な品揃えを求めるユーザーの声に応えられなかった
  • システム構築費、倉庫、クリーニングなどのサービス運用コストがかさんだ

                          

上記の事例は、「原価率/利益率」「会員数」「LTV」のバランスを適正に保てなかったことが起因しています。

         

新規事業としてサブスク構築に向けて 開始前と定点検証で持続的なモデル構築へ

定額制のサービスは、「月額▲▲円で●●が■■放題」というメッセージが、利用者側にとって価値を感じ続けられる内容でなければなりません。

「価値を感じ続けられる」ことが肝心で、なかなかの難問です。

サブスクを開始する時点で顧客の期待を充足できること → 年月が経つと社会環境や競争環境が変わり、顧客ニーズも変わる → その時点で顧客の期待を充足できるサービス内容も変えていかねばなりません。

したがって、

  1. サブスクを開始する前のサービス開発のための創造と検証
    提供サービス=顧客の期待を充足できること
  2. ある一定期間が経過した時点のサービス見直しのための創造と検証

上記の「創造と検証」の繰り返すことが大事だということが解ります。
「創造と検証」の繰り返しにより、持続的な成長を目指すことができます。

    

    

サブスクを新規事業として開発し構築し持続化させるために、3つの指標、①原価率/利益率、②会員数、③LTV(ライフタイムバリュー)を挙げました。その中で、①原価率/利益率は、社内でコントロールする指標ですが、②会員数、③LTV(ライフタイムバリュー)は、顧客との関係の中で築き上げることです。

②会員数、③LTV(ライフタイムバリュー)を維持向上させるためには、サービス内容の「創造+検証」が欠かせません。①原価率/利益率に影響を与えるサービス機能の比較検証と、②③の「創造+検証」を可能にする方法としてお勧めするのが「Neo P7」(ネオピーセブン/ネオピーナナ)です。

               

新規事業としてサブスク構築に向けて 「創造+検証」を可能にする「Neo P7」

「Neo P7」は、7プロセスから構成される新規事業構築のための「創造+検証」システムです。

    

          

プロセスの1~7まで、どの工程においても顧客とのやり取りが行われ、徹底して顧客視点に立ったプロセスで、かつ、再現性があります。定性的手法(感覚的、言語的)と定量的手法(論理的、数値的)の両面を融合し、バランスのとれた体系です。

多くの企業で実践され、経験と研究成果を生かして改良を繰り返し完成したシステマティックな体系です。

「Neo P7」(ネオピーセブン/ネオピーナナ)は、①原価率/利益率に影響を与えるサービス機能の比較検証、②会員数と③LTVを維持向上させるサービス内容の「創造+検証」が可能です。

         

まとめ

企業規模に問わず、ストック型売上は魅力です。しかし、サブスクにすれば自社サービスの利用者が増えるとは限りません。

サブスクをこれから新規事業として始めようとしている方(あるいは企業)は、①原価率/利益率、②会員数、③LTVを最適化するプランニングが必要です。

その際、①原価率/利益率に影響を与えるサービス機能の比較検証、②会員数と③LTVを具体化するサービス内容を決める方法として「Neo P7」(顧客視点に立った新規事業構築に向けた7プロセス)をご紹介しました。

        

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。