吉野家事件に隠されたマーケティング上の問題 顧客価値とは

2022年04月28日堀内香枝

吉野家常務の発言事件から時間が経ちましたが、落ち着いたところで改めてこの事件についてマーケティングの観点から考えてみたいと思います。

発言内容は録音されたものを直接聞いたわけではありませんが、大筋は紹介されているのでその内容を紐解くと実は大きなマーケティング上の問題が潜んでいます。

差別性・優位性を自ら否定していたというマーケティング戦略上の問題

「女性は男性から高級な美味しいものをご馳走されるようになったら、牛丼は食べなくなる」という認識のもとで、戦略的に若いうちから取り込むのだという趣旨の発言があったようです。

もっともだと感じられる発言と思われるかもしれませんが、この捉え方をすると、マーケティング戦略を誤ります。

何故でしょうか?

それは、自ら吉野家の牛丼は価格勝負の食べ物で、それ以外の価値は持っていないと言っていることになるからです。

    

マーケティングとは:顧客に価値を提供し企業収益を生む仕組み
戦略とは:中長期的計画、企業が持続的な成長を目指すための方向性

       

顧客価値を高める努力が必要

顧客価値(カスタマーバリュー)とは:商品の利用体験から顧客が得られる、顧客にとっての良い作用

確かに、牛丼という商品は、価格にも魅力があります。
しかし、それだけではありません。

私個人的には、吉野家が好きです。
理由は、味が好きだからと、牛丼が好きな人向けの「肉だく」メニューを提供してくれているからです。

店内には一人女性客もかなり頻繁に見受けます。

つまり、「吉野家に女性客を多く取り込むためには何が必要か」という顧客価値を高めることが肝要です。

    

        

顧客価値創造をかみくだくと 始め方

ではどのように顧客価値を創造すればよいのでしょうか?

その始め方、一言でいうと「調査・分析」を行うことです。
最も身近な方法は、マーケティングの基本フレームワーク(3C分析、5F分析、マーケティングミックス4Pなど)を使い、自分で情報収集し、調査し、情報を整理し、分析し、結論を導出する方法です。

最もシンプルで汎用的に用いられる3C分析に「吉野家」をあてはめて、分析ポイントを整理します。

【3C分析】:吉野家の3C分析のポイント

1. 「Customer(顧客)」

消費者は、外食に対して/牛丼チェーンに対して何を期待しているか、付加価値を求めているか

2. 「Company(自社)」

牛肉/牛丼チェーンの専門家として「吉野家」の運営の中で培ってきた知識やノウハウあるいは保有技術の中に、企業の個性と顧客の期待をつなげてより提供価値を強化できることは何か

3. 「Competitor(競合)」

競合の外食産業はどのような戦略をたてているか、そして1と2の合致する分野にはどのような競合が存在するのか。逆に、競合と競争するのではなく、共創・協業という視点も視野に入れる

        

上記の「3C」等のようなマーケティングの基本フレームワークを用いると、ミーシー(MECE)に、必要な要素を網羅し、かつ重複なく、検討でき効率的です。

ミーシー(MECE)とは:「モレなく、ダブりなく」という意味。Mutually(お互いに)、Exclusive(重複せず)、Collectively(全体に)、Exhaustive(漏れがない)の頭文字

        

まとめ

吉野家常務の問題発言から垣間見た、間違った思考でマーケティングを実行すると、顧客価値が損なわれ、それは企業に損失を招くリスクがあることを理解しました。
したがって、正しくマーケティングを実行し顧客価値を高めるためには、本質を追求することが大切です。
その本質を追求する始め方について、身近にできることとして、3C分析(Customer(顧客・市場)、Company(自社)、Competitor(競合))など、マーケティングの基本フレームワークを適宜組み合わせて用いると効率的に顧客価値創造に向けた課題を設定できます。

     

戦略を考える立場にいる方、またはそういう立場をこれから目指す方へ

事業戦略を立案する際も、自分の考えを整理する際も効率的に仕事が進む、汎用的なマーケティングの基本フレームワークを適宜組み合わせて、いつでもどこでも自在に使いこなせるようになる『JMLAベーシックパスポート』講座がございます。ご覧になって見てはいかがでしょうか。

       

商品戦略立案/新規事業に携わる方へ

新規事業の開発に着手される方へ、商品開発に携わっている方へ、系統的かつ再現性のあるプロセス(7プロセス)を5月14日から学んでみませんか。


マーケティングの中の「商品・サービス/新規事業」にフォーカスをした講座です。

The following two tabs change content below.
女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。