スターバックスとバーガーキングから学ぶ、ミッション経営とかけがえのないブランドになる4ステップ

公開日:2025年06月06日最新更新日:2025年06月07日JMLA 事務局

「ブランド価値を高めたい」とどの企業も考えることだと思います。しかし、やり方が難しいと悩んでいらっしゃるリーダーや担当者の方が多いと思います。

今回は、そのヒントになる事例とブランドの構造、そしてブランドが目指すべき方向についてお話しします。

バーガーキングが出店戦略から得た思わぬ副産物~ファンの多い地域~

昨年から今年にかけてバーガーキングが堅調に店舗数を伸ばしているというニュースを幾度となく見ました。そこで見たのはとてもユニークな出店戦略でした。

(画像は筆者撮影)

バーガーキングのユニークな出店戦略とは、出店物件を一般消費者(ファン)に探してもらうというものです。

物件を提案してもらい、実際に出店できたら、お礼として10万円支払いますというものでした。その戦略は見事にはまり、12件ほど実際に出店できたそうです。

しかし、話はそこで終わりません。

出店物件探しに応募してくれた人というのは、謝礼が欲しいのは当然ですが、やはりバーガーキングの熱烈ファンであると考えられます。

そこで、出店のための物件応募者の住所をマッピングすることにより、ファンの多い地区、すなわち出店強化エリアを明確にすることができたというのです。

思わぬ副産物ですね。

バーガーキングが顧客とのコミュニティを創出することにより、成し遂げられたことです。

株式会社ビーケージャパンホールディングスのプレスリリースによると、今年は、昨年の2倍の20万円のようで、開催期間は、5月21日(水)11時~6月20日(金)15時までと記載されています。(公式サイト「バーガーキング® を増やそう シーズン2」より応募できます)

出店戦略とかえがえのないブランドになる戦略を上手に掛け合わせて相乗効果を出したバーガーキングの事例は、「ブランド価値をどのように高めるか」のヒントになるのではないでしょうか。

スターバックス好調のゆえん~ミッション経営の徹底~

次は、スターバックスです。

スターバックスは、北米や中国では苦戦しているようです。一方、日本では順調に売り上げを確保しています。

「リージョナル ランドマーク ストア」※1 と呼んでいる地域文化に合わせた店舗デザインや、地域文化そのものを発信する店舗展開、モバイルオーダー&ペイなどのデジタル対応強化などにより、顧客体験価値※2 を上げ、働く人ばかりでなく子連れや訪日外国人をも取り込んでいます。

(画像は筆者撮影)

日本のスターバックスが成功している一番の要因は、ミッション経営(次項)の徹底にあると考えます。

元々アメリカのスターバックスで実践されてきたミッション経営を、アメリカ本社以上に徹底して実践しているのが日本のスターバックスだと思います。

スターバックスが掲げるミッションは、

「この一杯から広がる、心かよわせる瞬間、それぞれのコミュニティとともに―人と人とのつながりを生み出す無限の可能性を信じ、育みます。」

というものです。

このミッションに基づき、コーヒー豆に関する社員教育に40時間以上かけ、それを現場で実行しているからこそ、顧客の心に響き、好調な売り上げを確保していると考えます。

スターバックスは、「コーヒー一杯から心かよわせる瞬間」をデザインし、「人と人とのつながりを生み出しコミュニティを創出する」ことをデザインし、豊かな顧客体験価値※2を作り出しています。

※2 顧客体験価値について、このページの一番下の参考記事からご参照いただけます。

※1「スターバックス リージョナル ランドマーク ストア」とは
日本の各地域の象徴となる場所に建築デザインされ、地域の文化を世界に発信する店舗の総称です。
訪れる人々がその地域の歴史や伝統工芸、文化、産業の素晴らしさを再発見し、その発見を通じて地域へ絆を感じられるよう、様々なローカルのデザインエレメントを織り込んでいます。
(定義及び下の画像はスターバックスのホームページより引用しています)

ファンがブランドの顧客体験価値について魅力的に発信してくれる例

ミッション経営を具現化し続けることと、かえがえのないブランドになる戦略が有機的に成果につながっているスターバックスの事例は、「ブランド価値をどのように高めるか」のヒントになるのではないでしょうか。

ミッション経営とは

ミッション経営とは、企業や組織の「ミッション(使命・存在意義)」を経営の中心に据え、そのミッションに基づいて意思決定や事業運営を行う経営スタイルのことです。

単に利益を追求するのではなく、社会的な意義や存在理由を重視し、長期的・持続的な価値を創造しようとする考え方です。

ミッション経営の主な特徴

企業が「なぜ存在するのか」「何のために事業をしているのか」という問いに答えるミッションを明確化し、それを経営判断の基準とする。

株主だけでなく、社員、顧客、地域社会、取引先など、あらゆる利害関係者の価値を考慮する。

短期的な利益よりも、ミッションに沿った長期的なビジョンや社会的価値の実現を優先する。

社員が企業のミッションに共感し、自らの仕事に意義を見いだせるようにする。これにより、モチベーションや創造性が向上する。

ブランドの構造と目指すべき姿~かけがえのないブランド~

さて、「ブランド価値を高めたい」ときに考えるべき、ブランドの構造についてです。

上図のブランド構造図は、弊協会スタッフたちがこれまでのマーケティング支援経験をもとにまとめた、かけがえのないブランドを目指す4ステップです。

ブランド価値を高めるには、ただ良い商品を作るだけでは不十分です。
お客様が「このブランドが好き」「このブランドを信頼している」と感じてもらえるよう、段階的に価値を積み重ねていくことが大切です。

以下では、ブランド価値を構成する4つのレベルと、それぞれをどう高めていくかを詳しく解説します。

ブランド価値を高める ステップ1:モノ的価値(機能としてのブランド)

レベル1は、「良い製品だ」と感じてもらうための基本的な価値です。
例えば、品質が良い、使いやすい、価格が手頃。

  • 品質:壊れにくい、長持ちする、安定しているなど
  • 性能:目的をしっかり果たすなど
  • 素材、サイズ:肌触り、伸縮性、サイズ展開など
  • 価格:コストパフォーマンスが良いなど

この段階は「選ばれるための土台」です。
お客様はこの価値を基に「買っても損しないか?」を判断します。

ブランド価値を高める ステップ2: 表示的価値(好みとしてのブランド)

レベル2は、商品の「感覚的な魅力」や「印象」で好きになってもらう段階です。
例えば、デザインが好み、名前がオシャレ、見た目が良い。

  • ネーミングやロゴ:覚えやすい、個性的、イメージが湧くなど
  • パッケージやデザイン:SNSで共有したくなる、使うだけで気分が上がるなど
  • ブランドの世界観:ナチュラル、シンプル、ラグジュアリーなど

この段階は「このブランド、なんか好き!」と思ってもらえることが狙いです。
感情に訴えかけることで、選ばれる確率が上がります。

ブランド価値を高める ステップ3: 社会的価値(社会評価としてのブランド)

レベル3では、 「他人からどう見られるか」「社会的にどう評価されているか」が軸となります。
例えば、評判が良い、安心感がある、高級に見える、あこがれる存在。

  • 口コミ・レビューの評価:他人の意見が安心材料に
  • 信頼できる会社が作っている、実績がある:ブランドの裏付け
  • ブランドイメージ:上質、信頼感、誠実、最先端など
  • メディア露出・インフルエンサーとの提携:世間に浸透し、価値が高まる

「このブランドを使っていると、信頼できる人に見える」と感じさせる段階です。
ここから“選ばれる理由”がより強固になります。

ブランド価値を高める ステップ4: 意味的価値(かけがえのない存在としてのブランド)

レベル4では、ブランドが「自分の一部」や「人生の一部」になります。
例えば、愛着がある、信頼している、自己表現の一部になっている。

  • 愛着:何度もリピートしている/ないと困る
  • 信頼:このブランドなら間違いないという確信
  • 自己表現:ブランドを通じて自分らしさを表現。例:環境配慮、美意識、健康志向
  • ストーリーや共感性:ブランドの背景や理念に共感している

レベル4に達すると、多少高くても選ばれ続けます。
お客様にとって「他には代えがたい存在」になるのです。

一般的に、レベル3の社会評価が上がれば、ブランド価値が高まり、売上が伸びると考えられています。

しかしそれだけでは、他のブランドが評価を高めてきたらブランドスィッチを起こされてしまいます。

社会的評価を得たところで安心するのではなく、レベル4までブランド力を高め、一人一人の顧客にとって「かけがえのないブランド」とならなければいけないと考えています。

バーガーキングもスターバックスも形こそ違え、顧客にとってかけがえのないブランドとなっているからこそ、顧客に愛され続け、利用され続けるのだと思います。

世の中の動向、地域の特性、人々の心の動きを把握し、対応していくことがブランド価値を向上させます。

世の中の動向、地域の特性、人々の心の動きを把握するためには、マーケティングや感性マーケティングの知識とスキルが欠かせません。

顧客の感性を分析し「もっと売れる!」を実現する感性マーケティング

ここからは、弊会の感性マーケティングの内容に変わります。

感性マーケティングは、企業側(つくり手)の思いだけではなく、顧客側(使い手)の価値観を理解する、共に創る「共創」という考え方が欠かせません。「共創」という考え方を実践すると「付加価値」が高まります。その「付加価値」が「経済価値」を生み出します。

感性が経済価値を生む_JMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)編集図

一人一人違う顧客の感性を理解しながら適切に対応することにより、「もっと売れる!」を実現することが出来ます。商売繁盛をもたらすものが『感性マーケティング』です。

具体的には、「声」から深層心理を分析し、分析結果をマーケティング戦略立案や事業目標達成に有効活用します。

「声」には、顧客や消費者、社員、事業のリーザ―、経営者など様々ありますが、目的に沿って必要な「声」という感性データ(定性データ)を収集し分析します。目的に沿ってどのような「声」を収集するかという最初の設計がとても重要です。

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ブランド価値向上の活動に、マーケティングの知識とスキルは欠かせません。
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参考記事:「感性マーケティングとは」
・顧客体験価値「顧客の本音を知る!~顧客は自分の本音を理解しているわけではない~」
・顧客体験価値「地域力の相乗効果!ー5つの顧客経験価値を充足させる地域イベントー」
「アンケートの重要性と課題に対応する調査方法:調査の目的と課題、アンケートの作り方、回答率を上げるコツ、集計・分析のポイント、調査結果の役立て方」

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