AI時代にマーケターが磨くべき「人間の力」とは?~顧客の感性を読み解くマーケティング~
人工知能(AI)という高機能で便利なツールが様々な分野で大活躍してくれています。
多くの企業がその機能に期待する一方、労働者側は自分の仕事が奪われるのではないかと戦々恐々としているのではないでしょうか。
今後AIという存在と人間はどのような関係を築くべきなのでしょうか。
そのヒントの一端を考えたいと思います。
「バルコニーなし」の住宅出現
2018年から2022年のセキスイハイムの戸建て住宅では、バルコニーを設けない割合が10.8%から30.6%に増加しているそうです。
土地価格や建築費の高騰という要因に加え、ライフスタイルの変化が大きいといいます。
共働き世帯の増加により、夜間に洗濯したり、乾燥機を使う家庭が増え、ランドリールーム(※)を設けて家事動線を効率化する間取りが望まれているということです。
ランドリールームとは
洗濯機を置くだけでなく、物干し竿を設置して室内干しが出来るスペースの事。
仕事や食事の準備、子育てなどに追われる毎日に、洗濯物をバルコニーに干し、取り入れるよりも、洗濯機の横に干して収納した方が負担が減るということです。

また、和室を設けない比率も2018年度の59.4%から2024年度は23.5%へ減少しているそうです。
来客や法事のためという用途で使われていた和室ですが、こうした用途は現在ではほとんどありません。限られた住空間を無駄なく使いたいという意識から日常的に使う空間を優先させるという考え方によるものです。
但し、畳という存在は、子供の遊び場、着替え、室内干し場など多目的に使えるから便利で、あった方が良いと回答しているそうです。
このように消費者のニーズは、社会環境やライフスタイルの変化により変化していきます
皆さんの会社の商品も時代背景を顧みて、対応できているか今一度考えることが重要でしょう。
参考:「潮流に乗る戦略を立てるために」「トレンドの表層と深層 潮流を読むマーケティング力 ”持続性”&”Why?”」
ところで、このような現象をAIは予測していたでしょうか?
正解は私にも分かりませんが、次のような現象が起きていることは現実です。
AIで人員削減した企業が再雇用促進
人工知能(AI)の進歩により、人員を削減したグローバル企業が、相次いで人の再雇用を始めているそうです。
AIの限界を経験し、人員削減計画を撤回するか採用を大幅に増やしているということです。

米国の世界的な自動車メーカーであるフォード社は、自動化システムが解決できなかった品質問題に対して、その問題対処のために、数百人の熟練エンジニアを再雇用したそうです。
幹部は、「AIは素晴らしいツールだが、訓練に使う情報の質を超えることはできない」と述べています。

オーストラリアの銀行最大手のコモンウェルス銀行(CBA)は、40人以上のカスタマーサービス担当者を解雇し、AI音声ボットを導入したが、結果、顧客の不満による通話量が急増するという事態に見舞われたということです。
CBAは「人員削減を発表した当時、関連するビジネス要素を充分に考慮していなかった。影響を受けた従業員に謝罪した。必要な役割に対する評価がより徹底されるべきだった」と過ちを認めたそうです。

グローバルIT企業のIBMも人事業務の約94%をAIに代行させたが、倫理的判断や複雑な例外情況を含む残り6%の問題は解決できず、結果新卒採用を3倍に増やすことを決定したそうです。
最高人事責任者は、「今、新卒採用への投資をやめれば、3年から5年後に何が起こるでしょうか? 後継者となる人材はもはや存在しなくなります」と警告したそうです。
専門家たちは、AI導入の過程で教育やアップスキリング(職務能力の強化)なしに、やみくもにコスト削減のための解雇を断行した企業が苦しむのは当然の成り行きだと指摘しています。
「人間を代替する技術」にのみ予算を割り当て、「教育投資」を怠った企業が、AIを監督すべき「中核人材」までも削減し、後悔する事例が多いと分析しています。
米国のキャピトル・テクノロジー大学の研究チームは、「AIが職場を変えているのは明らかだが、企業は今、人間の仕事をAIが完全に代替するよりも、人間とAIの協業体制を構築する方がはるかに価値があるという事実に気づき始めている」と診断したそうです。
また、アニタ・ウィリアムズ・ウーリー氏(米国のカーネギーメロン大学テッパー・スクール・オブ・ビジネスで組織行動学の教授を務める研究者)は、「AIは会議の要約には非常に優れているかもしれないが、部屋の雰囲気を感じ取ったり、議論のより広い文脈を把握したりするのは、やはり人間の役割だ」と述べています。
保護者の料理スキルが子供のレジリエンス向上

一方、家庭内における仕事を考えてみると、興味深い研究結果が発表されています。
東京科学大学の研究による【保護者の料理スキルが高いほど子供のレジリエンスや向社会的行動が向上する】という論文が発表されました。
日本の小学4年生とその保護者3,641組を2年間追跡調査したところ、保護者の調理技術が高いほど2年後の子供の「困難に対処する力(レジリエンス※)」や「人にやさしく接する行動(向社会的行動※)」が高いことが判明したそうです。
※レジリエンスとは
レジリエンスとは、逆境やストレスから立ち直り、適応して成長する力を指す言葉です。
心理学では「心の回復力」、ビジネスでは「危機からの復元力・適応力」として使われます。
※向社会的行動とは
向社会的行動とは、他者や社会の利益になることを意図した行動のことで、人にやさしく接する行動力です。
研究によると、保護者の調理技術は、家庭のつながりや、健康的な食習慣を通じて、子供の精神的発達に大きく影響を及ぼすということです。
「保護者の調理技術向上は、次世代の健全で前向きな心の発達に大きく貢献すると期待される」と結んでいます。
現在、家庭・職場を問わず、AIという素晴らしいツールが多様に使われていますが、AIと共存し、適切な協業体制を構築するためにも、それを使いこなす知識や能力は、これからますます重要なこととなっていくでしょう。
マーケティングの仕事も”AI vs 人間” ではなく ”人間 × AI”

マーケティングも、AIに任せればすべてが解決するわけではありません。
市場データの分析や情報収集、アイデアの発想など、AIが得意とする領域は積極的に活用すべきでしょう。
一方で、「なぜ今、この商品が求められているのか」「顧客は何に困り、何を感じているのか」といった問いに答えるには、データの背景にある生活や価値観を読み解く力が欠かせません。
特に、顧客自身も言葉にできていない「なんとなく嫌」「こうだったらうれしい」といった感覚を捉えることは、マーケターの重要な役割です。
AIを便利なツールとして使いこなしながら、人間ならではの「考える力」「感じ取る力」「意味を見いだす力」を掛け合わせることが、これからのマーケティングにはますます重要になるのではないでしょうか。
まとめ
AIは、これまで人間が時間をかけて行ってきた仕事を、速く、効率的に進めてくれる強力なツールです。
しかし、AIに任せるほど、人間には「何を考えるべきか」「何を大切にするべきか」を判断する力が求められます。
マーケティングにおいても、知識を持っているだけでは十分ではありません。AIを使いこなしながら、顧客の変化を捉え、データの背景を読み解き、新たな価値を考える力が必要です。
そのためには、マーケティングの基本を体系的に学び、さらに顧客の「感性」まで読み解く力を身につけることが重要です。
AI時代にマーケターが磨くべき「人間の力」とは、顧客の感性を読み解くマーケティング力です。
そのための学びの場として、JMLA(日本マーケティング・リテラシー協会)では、「基本知識」を学ぶ資格講座と「感性を読み解く力」をより高める資格講座をご用意しています。
1.マーケティングの基本を体系的に学ぶ →JMLAベーシックパスポート
2.データだけでは捉えにくい顧客の感性を分析する → JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性
1. マーケティングの基本を体系的に学ぶ
「JMLAベーシックパスポート」は、マーケティング戦略の基礎理論を使いこなせるようになる資格講座です。
2. データだけでは捉えにくい顧客の感性を分析する
「JMLAマーケティング解析士プロフェッショナル 感性」は、お客様の声から売り伸ばし戦略を立案できるスキルを習得する資格講座です。
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