グループで回覧版のように書き出す発想法【新商品企画・新事業企画】

公開日:2020年05月31日最新更新日:2020年08月22日堀内香枝

Neo P7の2つ目のアイデア発想法のうち、ブレインライティング法をご紹介したいと思います。

ブレインライティングの意義

「ブレインストーミング」は、ビジネスパーソンであればどなたでもご存知でしょう。
日常的にやられているでしょうから。

数名が集まってミーティング形式で口頭でアイデアや意見を出す手法ですよね。

ここでご紹介するのは、「ブレインライティング」です。「・・・ライティング」の部分が違います。「・・・ライティング」というとおり、書きながらアイデアを出す手法です。

ホリゲル(Holiger)は「人前でどんどん話すタイプではない」ドイツ人には、確報がやりやすいことから「紙にアイデアを記述する」形式の発想法を1968年に考案し、「635法」と名付けました。6人が3個の発想の種を下記、それを5分ごとに展開していく、という意味です。さらに、ドイツのハッテル記念研究所はこれに「5分ごとに紙を回す」という工夫を加えて、他の人の創意がどんどん加わる仕掛けをつくりました。

引用:WAKULABO講座テキスト「神田教授の商品企画ゼミナール」(神田範明著)

このように、話すのが苦手であったり、口頭だと宙に飛んでしまうという場合に、グループで楽しくきちんとアイデアを出すのに最適な発想法です。

別名635法をやってみよう

ここでは「観光案内所」を例にやってみましょう。

Step1: メンバーを揃え、準備する
・人数・・・ 原則6名ですが、3名以上なら大丈夫です。
・用紙・・・ 下表のような記入用紙を人数分用意し、配布します。

Step2: それぞれの人が、1行目(№1)に3個ずつ願望・ウォンツを記入する
Step3: 5分後に全員が左手(または右手)の人に記入用紙を回し、2行目(№2)を記入する
Step4: 同様に5分ごとに記入用紙を回し、回ってきた用紙に次々に記入する
Step5: 6行目まで記入し終わったシートを、№1を書いた人(最初の人)に返す
Step6: 良いアイデアを絞り込み、グループ内で発表する

3人で「観光案内所」をテーマにしたブレインライティングをやった例で、Aさんのシートのイメージです。

どうでしょうか、最初と最後では、だいぶ異なったアイデンアが展開されていますね。

ブレインライティング実施のポイント

  1.  メンバーはできるだけ自分と違う人を集め、多様な意見がでるようにする
  2.   ジャンプやストップもOK
    ・上図の矢印のように前の人の意見が気に入らなかったら飛ばしてもOK
    ・追加も変更もできないと思ったら、太い線を引き、自分はまた違う願望を記入して再スタートさせることができる(ストップ)

前々回(焦点発想法)、前回(アナロジー発想法)、今回(ブレインライティング)と3つのシステマティックな発想法をご紹介しました。
初めてのケースだと、アイデアを出すのに時間がかかったり、なかなかアイデアが出ないこともあるかもしれません。
何度か練習して慣れると良いでしょう。

また、どの手法も、商品企画や事業企画のときだけでなく、マーケティング活動でも、戦略立案でも、営業活動でも、生産現場でも役に立つ手法だと思います。一度慣れておくと、どんなシーンでも活用できそうですね。

 

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。