感性マーケティングとは

2019年05月25日堀内香枝

自己肯定感という感性

自己肯定感とは、「自己」の価値や存在意義を「肯定」できる感情です。

感情を物差しで測ることは難しいですが、興味深い調査結果を見つけました。

青少年教育に関する調査研究をしている独立行政法人 国立青少年教育振興機構が、日本、米国、中国、韓国の4か国の高校生を対象として、生活や目標、社会や国への考え方、自己意識(自己肯定感)などについて意識を調査しています。

「高校生の生活と意識に関する調査報告書(2015年)」の中から「自分はダメな人間だと思うことがある」という1つの結果だけ引用したのが下図です。

ご覧の通り、日本の高校生の約70%が「自分はダメな人間だと思うことがある」と回答しています。
米国は約45%、中国は約55%、韓国は約35%。
問いに対してどう回答するか、この結果から、各国の高校生の感性の違いがみてとれ、国民性の違いに結びつくのだと想像できます。

この問いに+α、回答理由を聴くフリーアンサーがあったら、否定的な回答をした具体的な感性を把握することができるでしょう。

感性の違いがニーズの多様化を生む

感性とは、外界からの刺激を感覚で受容し判断・解釈し表現する能力です。

上図は、
日本感性工学会・会報誌『感性工学』
第16巻3号 2018年9月30日発行
「感性工学と感性評価と経験価値」特集ページ
4.1感性
図1 情報処理論心理学的な感性の情報処理プロセスと定義
の図を当会にて簡略的に編集した図です。

上図にあてはめて例を考えてみます。

「家族と散歩の途中、公園の桜が満開になっているのを目にして、公園の中に入った」

〔刺激〕光の量や波長、空気の振動(音波)、匂い物質など
〔感覚〕眼や耳、鼻などの感覚器でそれぞれ情報を受容し
〔知覚〕情報を統合して、自分から近い距離に公園があり桜が満開の状態
〔認知〕(知覚した情報を判断して)
「満開の状態は一瞬だから今ここで見ておくべき、
毎年同じように家族と花見をしてきたから今年もそうしよう」
〔感情〕「キレイ」「美しい」「(家族とこの時間を過ごすことが)楽しい」
(家族と一緒に共感できる時間を楽しいと思う)
〔表現〕「満開の桜がキレイ、公園の中に入って花見しながら散歩しましょうよ」(と言葉にし家族を誘う)
この一連の情報処理プロセスが「感性」です。

「キレイね」と、家族や友人と共有する人もいれば、一人で過ごす人もいるでしょう。
大勢で共有したい感性の持ち主、または、一人で楽しみたい感性の持ち主、
同じ桜の花を見ても、感性の違いが生じます。
感性の違いが生じることで、感性を表現(出力)するのに必要なモノ(≒ニーズ)が細かく枝分かれし多様化します。
散歩に向くスニーカーを買う、バーベキューをする、お弁当を買う、カフェに行き窓際から眺める、絵を描く、歌を歌いながら演奏する・・・、多岐にわたります。

何かの刺激を受けたときに、どう思い、どう反応〔表現〕するか、人の感性の分類以上にニーズは多様化します。

表層的ニーズの多様性と深層的感性の不偏性

物溢れの成熟時代、ニーズの多様化とか、One to One対応と言われていますが、一人ひとり異なり変化し続けるニーズに企業が対応することは、とても大変なことですよね。

一方で、感性はニーズより普遍性があり、ニーズを訴求するより、感性に訴えかけ動機付けさせた方が行動を促しやすいという効果があります。
感性は、企業が戦略を検討する上で(分析手法等によって)分類可能です。
勿論、一人ひとりの感性は人生を歩む中で変化しますが、企業それぞれに得意分野があるため、企業はターゲットを設定する場合がほとんどです。
そのため、感性は不偏性が高い情報といえます。

経営戦略や事業戦略、マーケティング戦略、営業戦略など、戦略を考える際、顧客の「感性」を分析することによって、表層的なニーズ(何・いつ・どこ等の定量情報の分析)だけでは見えてこない探索や戦略の糸口発見を可能にし、経営の意思決定を力強くサポートします。

顧客の表層的ニーズだけを追いかけていると機会損失のリスクが発生するでしょう。

このような考え方に立脚しているマーケティングを、当会では、感性マーケティングと定義しています。

 
感性マーケティングに興味を持ってくださった方、当会では講座を開催していますので是非ご覧ください。
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また、顧客起点の感性マーケティングを核とした事業支援もさせていただいております。お悩みや課題をお持ちの方はこちらこちらをご覧ください。
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堀内香枝
女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。