感性と触覚、暮らしの中で触れて感じる生活用品~顧客ニーズを探る方法~

公開日:2022年01月11日最新更新日:2022年01月11日堀内香枝

毎日触れる日用品、何にこだわる?

ティッシュやラップなどの家事用消耗品、タオルや食器などの家事雑貨、石鹸や歯ブラシなどの理美容用品まで含めて、家の中を見渡すと非常に数多くの日用品があります。

それら全部にこだわって、“とことん追求してます” という人はあまりいないと思います。

全部をこだわりすぎると、いい金額になってしまいますし。
ある程度の妥協ラインで、価格との兼ね合いで購入しているのが現状でしょう。

そうはいっても、同じ価格で、例えば398円のティッシュでも、販売店によって置いてある品物は違います。
日用品は値頃なので、購入店を変えて品物を比較することもできます。
比較した中から、最も自分好みの商品に出会えると、もう変えられません、リピーターになります。

今日は、そんな日々の暮らしの中で使われる日用品について、その中でも、触れるという触覚に着目してみたいと思います。

    

         

五感の一つ、触覚とは

触覚は、人間の感覚器※である五感の一つです。

※感覚器は、外部からの刺激を受容し神経系に伝える器官の総称です。感覚器には、五感と呼ばれる視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚や、平衡感覚・痛覚・温度感覚・圧覚などがあります。

「触覚」、触れることによって感じるものには、肌触り、風の流れ、人の手のぬくもりなどさまざまです。
ときとして、何も説明がなくてもそっと触れるだけで、安心感を覚えたり、元気が出たり、肌を通して感じる感触は、心に影響を与えることが少なくありません。

そのため、日々の生活の中で使う日用品・消耗品について、単純に価格が安ければ安いほどよい、ということは無いでしょう。 

    

    

          

    

さまざまな日常の生活用品の「触れる」感覚

身の回りの物から、

<感性>触覚・触れる: ティッシュ

室内で使用するティッシュは、主にBOXタイプと、BOX無しタイプがありますが、同じ価格帯でも、販売店に置いている品物を購入してみると、手触りがそれぞれ違い、驚きました。

ざらざら、さらさら、カサカサ、しっとり、ふわふわ、と。

価格が高い付加価値商品なら、風合いが良いということは理解できますが、同じ値段で品物によって、風合いに大きな差があるとは!と、気に入った手触りのティッシュが近場で買えることを発見したときは、嬉しくなりました。

ティッシュは消耗品ですが、頻繁に使うため、肌触りが良いと気分が上がることに気づきました。

用途によって使い分ければよい、と思われるかもしれませんが、面倒なのでできれば1種類で幅広い用途をカバーしたい。鼻をかむ用、こぼれた液体を拭き取る用、汚れを拭き取る用、手拭き用、涙拭き用などなど。

     

<感性>触覚・触れる: 石けん

「石けん」はどうでしょう。石けん類はこだわりが分かれそうです。固形石鹼タイプ、ジェルタイプ、泡タイプ、パウダータイプ、液体ミルクタイプ、などなど。

   

<感性>触覚・触れる: マスク

今やマスクは欠かせません。肌荒れしないマスクを探し当てるまで時間がかかった、という人は多いと思います。私も、一日中つけていても肌荒れしないマスクを見つけてからは、それ以外選べません。

冬季や花粉の飛散が多い時期、風邪をひいたときだけでなく、コロナ禍以降は、一年中お世話になっているマスク。
肌荒れしないもの、お化粧崩れしないもの、喉が乾燥しないもの、顔に直接触れるものなので、慎重に選んでおられるでしょう。

肌質は千差万別なので、ためしてみないことには分からないですね。

    

<感性>触覚・触れる: フェイスタオル

ふんわりロングパイル、硬めショートパイル、なめらかなシャーリング、リッチな風合いジャガード、柔らかガーゼパイル、贈り物にも、頂き物としても、登場頻度が多いのがフェイスタオルではないでしょうか。我が家にも頂き物のフェイスタオルが沢山あり、織り方もさまざまです。家族の中でも好みの肌触りが分かれて、ルールを決めたわけではないのに、このタオルは誰用、あちらのタオルは誰用と、暗黙の了解でいつのまにか決まってしまいました。

   

<感性>触覚・触れる: ワセリン・保湿剤

近年注目度が上がっているワセリン。毎日の肌のお手入れに使うため、使い心地は大事な選択基準ではないでしょうか?のび、こすれ、べたつき、塗りの硬さ・柔らかさ、人それぞれの好みがあるでしょう。

     

<感性>触覚・触れる: スリッパ

スリッパもさまざまな風合いがありますよね。

     

     

    

顧客の新しいニーズ発掘のための感性分析

触覚は、触覚・感性計測機器などで数値化し見える化できます。
そのような方法はとても大事です。

一方、計測できる状態にないものについて、肌触りに関するニーズを探りたいときはどうしたらよいでしょうか。

例えば、スマートフォンのボディ素材、側面と背面の素材は、一般的に「金属系」や「樹脂系」ですが、もしも、もしもです、もしも、制約なしに、自由に素材を選べるとしたら?

スマートフォンのボディ素材を、自分好みの素材に自由に変えられる、そういう商品開発をしてみようというチャレンジをすることになったとしたら、そういうシーンを想像してみてください。

新たなニーズを顧客視点から探りたい、あるいは、マーケティング課題の観点から肌触りを探りたいというような場合、顧客の潜在ニーズを発掘するためのアンケート調査が有用です。

なぜならば、触覚=肌触りの好みは、人それぞれの手の大きさ、体格、肌質、用途、用いるシーン、ライフスタイルなども影響し、それらのバランスの中で選択されるからです。つまり、選択基準が触覚の数値1基準だけでは購入決定に至らないからです。

アンケートを設計するときは、課題に対して影響する要因は何かを事前に検討し、具体的な設問を設計する中に、フリーアンサー式(自由記述式)設問を加えると、顧客の新たなニーズ発掘に役立ちます。ただし、調査設計に際しては、「課題」→「仮説」→「設問設計」←「分析計画」の手順で組み立てるという具合に、準備をしっかり行うと失敗しない調査を実施できます。失敗しない調査とは、調査後のデータや分析結果が、目指す目標や事業課題に有効的に活用できるものであるということです。

フリーアンサーは、定性データと呼ばれます。
定性データを定量データと組み合わせて扱うと、洞察性に優れた分析が可能になり、事業の課題解決や戦略立案に非常に役立ちます。

     

      

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。