早期退職と3C分析

2020年01月29日森田 広一

最近、早期退職者の失敗事例という記事を目にする。

経営体質のスリム化、不採算部門の切り捨てなどの理由から早期退職者を募る企業は増えている。単純リストラというわけではなく、非常に優秀な人材でも、当該の部門を必要としなくなったら所属する人材も必要ではなくなるという、就労者側からすると大変な時代になったということだろう。

そのように優秀な人材が早期退職する中、何故多くの失敗事例が挙げられるのだろうか。

それは、早期退職に踏み切る際に、3C分析が的確に行われなかったからと言い切れる。

3C分析というと、何から手をつけたらよいのかなどと身構えてしまい、戸惑う方や企業を多く見受けるので、今回は早期退職という事例を基に、その有用性を解説したい。

 

何故、早期退職に失敗するのか

そもそも何故、早期退職に失敗するのでしょうか?

それは、端的に行ってしまうと自分を理解していないからだと言えます。

所属していた企業の中では、それなりに活躍できていた人ほど、甘い罠に引っかかってしまいがちです。俺はこれだけの仕事をして会社に貢献していた、認められていた。他の会社でも同じように活躍できる、独立すれば今まで以上に収入を増やせるはずだ。などと安易に考えてしまうのです。

しかし、世の中そんなに甘くはありません。先日皆さんご存知の羽鳥アナウンサーが所属テレビ会社を辞める際の心境を素直に話していましたが、かなり悩んだそうです。当時世の中で認められていた羽鳥さんでさえそのような状況なのですから、一企業人である人間が移籍する、独立するというのは実は大変なかけだと言えるのです。

私も昔勤めていた会社から若くして独立して失敗したAさんという人間を目のあたりにしています。Aさんは、CM等の制作に携わっていました。多くのプロダクションやスタッフを使い、クライアントから評価されるCMを作っていたため、自分という存在を過信したのでしょう。独立してもっと自由に仕事をするという主旨で独立しました。しかし、結果は明白でした。クライアントから信頼を得ていた会社だから仕事の発注が有り、その企業に属する人間だから言うことを聞いていたプロダクションスタッフ。つまりAさんという人間一人の力が認められていたのではなく、所属する企業、そこに協力するスタッフという周りの力があったからこそ、Aさんの評価もあったのです。

その後、Aさんの消息はしばらく聞くことはありませんでした。

 

自分のスキル、社会環境、ライバルの存在を知ること

では、Aさんが失敗した理由をマーケティング的に分析していきましょう。

第一には、Aさんの勘違い。すなわち自分の力量・スキルを正しく把握していなかったことです。自分に力量が有り、スキルが高いから仕事が評価されていると勘違いしてしまったことです。実は所属する企業と周りの協力スタッフの力があったからこそ認められていたのに、それを理解できていなかったことです。

3C分析でいう、自社(Company)分析が的確にできていなかったということです。

二つ目は、クライアントのことを理解していなかったことです。クライアントと接するのは担当者であるAさんです。当然評価はAさんが聞くことになります。作品に対する良い評価。実はそのクライアントの評価は、Aさんに対する物ではなく、Aさんが所属する企業、或いは協力しているプロダクションスタッフ全員に対する賛辞、評価だったのですが、直接聞くAさんは自分自身に対する評価だと勘違いしてしまう。

3C分析でいう、顧客(Customer)の分析が未熟だったということです。

三つ目は、CMを制作しているプロダクションやクリエイターはとても多いのにそのことに目をつむってしまったことです。他にもCMを制作しているプロダクションやクリエイターが数多くいることは百も承知のはずだった。でも、それらの競争相手のことを深く考えずに、今まで通り、自分に発注をしてくれるはずと甘い考えに浸ってしまったのです。

3C分析でいう、競合相手(Competitor)を無視してしまったのです。

 

3C分析の有用性

3C分析とは、企業が変動する社会環境と競合との関係の中で、いかに適切な戦略を立てられるか。という命題を解決するために考えられた理論です。

一人の人間が社会の中でどのように活躍するべきかという課題の分析にも同じように適用できる分析手法だということです。

自社(Company)、顧客(Customer)、競合相手(Competitor)という三つのCを的確に分析すれば、自分が置かれた環境を適切に把握することができ、自分がどのような道(戦略)を選択すれば最も良いのかが判断できるのです。

このように、自信の企業が置かれた環境、競合の戦略・状況、そして自社の長所・短所を適切な情報収集の元に分析すれば、正しい道(戦略)を選択することが出来るのです。

皆さんも、おっくうがらず、戸惑うことなく、企業活動に3C分析を積極的に活用してください。

皆さまも「マーケティング」に興味を持ってみてはいかがですか。

必ずご自分のお仕事に活かされますよ。

 

参考:「3C、4P使いこなしていますか?」「3Cとは、SWOTとは」「5F(ファイブフォース)分析とは」「STP(ターゲティング)

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森田 広一
広告代理店でマーケティング戦略立案、コンサルティングファームでデータ分析や各種のコンサルティング業務を経験。そこで培われたノウハウを元に人間の「感性」を紐解く独自の分析手法を確立し、そのノウハウを広く世の中に伝えるべく、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会を設立。目に見えない消費者の深層心理「感性」を数値化し分析することにより、消費者や企業の隠れた欲求を解明し、各種提案やマーケティング戦略立案に役立てる分析体系を教える講座を開設。現在、様々な業種、職種の受講者から評価を得て、大手コンサルティング企業などの昇格必須講座としても認定されている。同時に各種企業のマーケティング・コンサルタントとしても活動中で、現代企業の悩み解決の実質的なサポート活動も継続している。