日本人の感性の象徴『湯のみ』
日常、何気なく過ごしていると感じること、考えることのない事実に、実はとっても重要なことが隠れて存在していることがあります。
皆さん、「『湯のみ』には、何故『取っ手』がついていないのでしょう?」と問われて、すぐに回答できますか?
言われてみると、ティーカップには取っ手がついている。コーヒーカップもマグカップもそうだ。
つまり、洋食器と和食器の差だよ。とでも答えるのでしょうか。
今日は、そんな日常の中から日本に必要なマーケティングを考えてみたいと思います。
『湯のみ』に取っ手がないのは何故でしょうか?
そもそも「湯のみ」というのは、「湯のみ茶わん」の略称です。
お茶を飲むための陶磁器として作られたものです。お茶を淹れるから「茶碗」ということで、分かりやすいですよね。しかし。現在「茶碗」というとご飯を盛る食器のことと考えてしまいますよね。時代が変わると言葉の意味もだんだんと変化するいい例かもしれません。
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では、そんな「湯のみ茶わん」に何故取っ手をつけなかったのでしょうか。
諸説ありますが、その一つが日本人の感性をよく表しているのでそれをご紹介しましょう。
それは、ティーカップやマグカップだと、熱い飲み物でも、取っ手を持って飲むので、手に熱さを感じずに済みます。しかし、反面熱い飲み物をそのまま口に入れてしまう、或は唇に触れさせてしまう危険があるということになります。
つまり、湯のみは、取っ手がないため、まずは手のひらで中の飲み物の温度を感じることができます。とても熱かったら少し冷ましてから飲もうという判断ができるのですね。
ちなみに、日本の煎茶をおいしく飲むためのお湯の温度は70度前後、紅茶は100度です。ちゃんと考えて作られているのですね。
そして、湯のみを手で持つことにより、湯のみそのものの質感を感じることができます。ざらっとしている湯のみやつるっとしている湯のみであったり、いろいろあります。そうすると改めて、どんな焼きものなのかなど見てしまったりします。日本の文化に触れるひと時が生まれるのです。
『ティーカップ』に取っ手がついているのは何故でしょうか?
では、一方、「ティーカップ」や「マグカップ」などには、何故取っ手がついているのでしょうか。
![](https://www.marketing-literacy.org/wp/wp-content/uploads/2019/04/ティーカップ.jpg)
17世紀ごろ、紅茶を飲む文化が広まったころは同じように取ってはついていなかったそうです。しかし、紅茶に砂糖を入れて飲む文化が広まると、砂糖を混ぜるために、カップを支える必要性が生じ、取っ手をつけるようになったそうです。そうすると熱い紅茶が入ったカップが持ちやすいという評価になり定着したそうです。
やはり、カップの取っ手も文化の象徴だったのです。
今、改めて考えるべき日本人の『感性』を大切にしたマーケティング
日本人は、このように日本独自の文化の中で育ってきました。
つまり、日本人独自の『感性』が育まれてきた。ということです。
そんな日本人ですから、価値観やニーズにも独自の考え方、捉え方があって当然です。
そんな日本人に対しては、日本独自の日本人のためのマーケティングが展開されるべきです。
今、四国に外国人が多く訪問しているそうです。
目的はもちろんお遍路さんです。四国88ヶ所霊場を巡拝する全行程1,400キロを超える道のりへのチャレンジです。
外国のお遍路体験者たちは、「お遍路をしながら本当の日本を見つけられて幸せ。」と語っているそうです。
また一番忘れられない思い出として、「疲れて歩けなくなっていたら、子供たちが駆け寄ってきてくれて、甘いお菓子を差し出してくれた時。」とも答えているそうです。
なにか、私たち日本人が忘れかけてしまっている日本の良さ、すばらしさを思い出させてくれるエピソードですよね。
世界で最も鋭敏な五感を持つ民族ともいわれる日本人です。
そんな日本人に寄り添うマーケティングが、絶対必要だと確信しています。
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