アンケート調査をするときの10ポイント(3)調査手法・期間・費用

公開日:2020年08月13日最新更新日:2021年12月16日堀内香枝

さて今回は、「調査手法」「調査期間」「調査費用」についてご説明します。

  

アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画       

         

調査手法の種類

アンケート調査の方法は大きく4分類されます。

質問法

回答者に質問形式で調査を行う方法です。

インターネット調査:回答者(モニター)募集式調査の代表的な方法です。消費者調査でよく利用されます。
郵送調査、同梱ハガキ調査:調査票を対象者に郵送して、回答後、投函する方法です。
訪問面接調査:対象者と直接会って、調査員が対面で聴き取る方法です。
グループインタビュー:調査条件に適合する対象者を集め、モデレーターの進行に合わせて座談会形式で意見交換を行う方法です。
など

傾聴法

生活者の自発的な発言を横から傾聴してデータを収集する方法です。

ソーシャルメディア(だれもが参加できる双方向なインターネットサービス)上の会話データを収集する方法です。ブログ、SNS、動画投稿サイト、Wikipediaなどのオンライン百科事典、価格.comや@cosme(アットコスメ)のような口コミサイト、
掲示板などが含まれます。

観察法

対象を観察して調査を行う方法です。

ミステリーショッパー:覆面調査とも呼ばれます。お客のふりをした調査員が店舗を訪問し、接客、品揃え、店舗など、ありのままの状況を評価する方法です。
アイトラッキング:ユーザーの視線を測定し、Webサイトのどこを見て(どこを見ないで)操作に至っているかを確認する方法です。
ユーザーテスト:被験者が課題を実行する過程を観察し、被験者の行動からユーザーインターフェース上の問題点を発見する評価法です。
など

実験法

対象に対して各種マーケティング手法を実践しその反応を調査する方法です。

会場アンケート調査:CLT(セントラルロケーションテスト)とも呼ばれます。新製品を試したり、試作広告・CM評価などを行います。
A/Bテスト:クリエイティブをA/Bパターン用意し、ユーザーを2区分し、より高い反応を得られるパターンをテストします。
など

調査期間の設定方法

リサーチをいつするか、調査目的に沿って決めます。

商品開発のためであれば、開発スケジュールに沿って調査を実施する必要があります。
広告効果測定のためであれば、Before(広告前の実態)ー広告ーAfter(広告後の態度変容)、広告のタイミングに合わせて事前事後2回調査を計画します。
事業戦略を取締役会で報告する必要があるのであれば、それに向けたスケジューリングが必要です。

調査期間は、選択した調査手法によって変動します。
1週間以内でデータ収集できるインターネット調査から、数か月間かかる郵送調査まで幅があります。調査目的と全体スケジュールとのバランスをとりながら適切な調査手法を選択します。

調査費用

調査費用は、調査対象者と回収サンプル数、調査手法、分析方法(後述)、調査会社を活用する否かなど条件によって大きく変動します。工程ごとに費用を積算しましょう。

費用の積算項目

  • 課題整理~調査目的設定
  • 調査設計
  • 実査
  • 集計~分析
  • 社内外へ報告、PR、戦略立案、開発など調査を踏まえたアクション

すべての項目を社内で行うことが可能な事案か、一部を外部に委託した方が成果が得られる事案か、検討します。すべてを外部に委託するのは意味がありません。社内でよく考えながら取り組むプロセスを社内のノウハウとして蓄積していくことはとても大切です。

調査にコストがかかるし調査してもしなくても結果はたいして変わらないという偏った志向は排除した方がよいでしょう。もちろん、無駄に経費をかける必要はありませんが、客観的な評価データは、意思決定に貢献するだけでなく、目的達成にも大きく影響します。

      

「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。

       

(つづく)

        

      

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女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。