「安全」と「安心」日本人の感性が生む言葉

公開日:2019年05月18日最新更新日:2025年01月06日森田 広一

「安全」と「安心」という言葉、日常生活で何気なく使っていますが、その違いを意識したことはありますか?

たとえば、地震に備えて家具を固定することで「安全」を確保できますが、それだけで「安心」できるとは限りません。
この2つは似ているようで、実は異なる意味を持つのです。

「安全」の英訳は「Safety」とされますが、「安心」を直接意味する英単語は存在しません。

あえて表現するなら、「心の平穏」(Peace of Mind)や「心配のない環境」(Secure Environment)が近いでしょう。

ここからも、「安心」は日本人特有の感覚を反映した独自の言葉であることがわかります。

「安心」と「安全」の違いとは? 科学技術基本計画に見る日本人の価値観

平成7年に「科学技術基本法」が制定され、科学技術政策を長期的かつ体系的に推進するための「科学技術基本計画」が策定されました。

この計画は現在、第5期に進み、「Society5.0」という超スマート社会の実現を目指していることが特徴ですが、今回着目するのは、第2期基本計画の理念の一つである「安心・安全で質の高い生活のできる国」の内容です。これには「知による豊かな社会の創生」が言及されています。

この理念「安心・安全で質の高い生活のできる国」と一緒にサブタイトルに「-知による豊かな社会の創生-」と記載されており、具体的な説明として「高齢社会において健康に生活できるよう疾病の治療、予防能力を飛躍的に向上させることにより、~(中略)~、人々が安心して心豊かに、質の高い生活を営むことのできる国」と明記されています。

理念のタイトルには、「安心・安全」という単語が使われ、本文中には、「安心」という単語のみ使われています。

この二つの単語にこそ、日本人の感性を理解するヒントがあると考えます。

「安全」は外部的環境の状態、「安心」は心の状態

「安全」を意味するSafetyは「物理的に危険が無く安全な状態」であり、同じようにSecurityは「危険から守られている安全な状態」と説明されています。
どちらも、外的要因からなる状態を意味しています。

しかし、「安心」を意味する単語は存在しないのです。

つまり、「安心」という言葉は、日本独自の概念なのです。とても主観的で定性的(感性的)です。「安全度**%」などというように、そのレベルを数値として区分けできる定量的な言葉ではありません。

その人により、感覚的に判断されるものであり、人それぞれに判断基準や判断材料が違ってくるでしょう。

このような単語で、日本人は物事を判断することを共有できる民族なのです。

日本の文化とブランド

このように日本の文化は、物事を物理的に判断し、多数決的に判断していくという欧米的考え方ではなく、人それぞれの主観的判断を、総合的に理解し、国民全員が満足できるように考えていこうという考え方が根底にあるのです。

ブランドの考え方の中にも、「機能的価値」と「情緒的価値」という言葉があります。

「機能的価値」とは、製品・サービスの基本的価値で、「情緒的価値」とは、顧客にとってそのブランドがもたらす情緒的(感性的)満足感のことを言います。

現在の成熟社会では製品・サービスの基本的価値だけで差別化することは難しく、いかに情緒的価値を創出できるかが企業にとって重要な課題となっています。ここにも人の『感性』の重要さが存在します。
更に、ブランドは、顧客の様々なリスクを低減・回避することが出来ます。それがまさしく、「安心できる」という人の心理的な判断によるものです。

皆さまも日本人独特の「感性」に興味を持ってください。
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広告代理店でマーケティング戦略立案、コンサルティングファームでデータ分析や各種のコンサルティング業務を経験。そこで培われたノウハウを元に人間の「感性」を紐解く独自の分析手法を確立し、そのノウハウを広く世の中に伝えるべく、一般社団法人日本マーケティング・リテラシー協会を設立。目に見えない消費者の深層心理「感性」を数値化し分析することにより、消費者や企業の隠れた欲求を解明し、各種提案やマーケティング戦略立案に役立てる分析体系を教える講座を開設。現在、様々な業種、職種の受講者から評価を得て、大手コンサルティング企業などの昇格必須講座としても認定されている。同時に各種企業のマーケティング・コンサルタントとしても活動中で、現代企業の悩み解決の実質的なサポート活動も継続している。