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堀内香枝 について

女性の感性を活かした調査設計や市場動向の分析により、お客さまの深層心理「感性」の解明を得意とします。コンサルティングファームで食品メーカー、外食産業、エステティック産業、通販企業、冠婚葬祭業、工作機械メーカーなど幅広い業種のマーケティング・コンサルティング業務を経験しました。これまで培った経験を元に、一般社団法人 日本マーケティング・リテラシー協会(JMLA)設立に参画し、感性マーケティング『マーケティング解析士』講座カリキュラム策定に携わりました。現在は、『マーケティング解析士』講座の講師活動を行っています。同時に、企業様のマーケティング課題解決のサポート活動を継続しています。

わかる!シリーズ(1-4):ある日の相談風景(後編)

今回は、「WAKU LABO わかる!シリーズ」(動画)の「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」の解説4として、「ある日の相談風景(後編)」がテーマです。

相談風景(前編のふりかえり)

健康食品メーカーの社員2名の相談者から「”ミネバラ”という女性向けの健康食品が売れなくて困っているんです。」と(神田名誉教授に)相談が持ち込まれたという相談風景を、前回の前編でご紹介しましたので、相談内容を振り返ってみましょう。

 

女性向き健康食品「ミネバラ」が売れなくて困っているんです!

健康に関心のある女性向きの栄養補助食品でして、体内のミネラルのバランスを最適に調整して疲れにくい体を作るという狙いなのですが。。。。。。。いろいろな成分が入っています。

3回、社内の女性にグループインタビューをやって、学界の権威の先生にも相談して成分の調整もしたんですが。。。。。

コンセプトは研究開発で決めて、インタビューでは試作品を食べてもらい、そこで出た意見から本格的な開発を始めることができました。

部署内でブレーンストーミングした時に案が2、3ありましたが、いずれも弱かったし、他社の商品に似てきてしまうので、どうも。。。。

女性の人数は全体の4分の1でしょうか。でも事務的な仕事が多いですね。うちは大体女性の商品企画担当者は昔から少ないですね。。

 

 

 

「ミネバラ」売れない10の理由

  1. 商品「ミネラ」。濁音が女性向きでない。
  2. 健康食品と言っても味がまずいものは、長続きしないので売れない。
  3. パッケージデザインが普通すぎると売場でユーザーが手に取らない。
  4. 健康に関心のある女性は年齢を問わず極めて多いのでターゲットにならない
  5. ミネラルのバランス」というコンセプトがわかりにくい。
  6. 社内の女性のみのインタビューは顧客ニーズをつかめていない。
  7. 研究開発(シーズ)からの提案でコンセプトを決めるはニーズ不明で危険。
  8. 定量調査がなく、システマティックな方法になっていない。
  9. 2、3のアイデア出しは質・量共に失敗しやすい。
  10. 女性向き商品を男性主導では失敗しやすい。

 

 

現象と原因

相談風景という会話から10の問題が挙がりました。
よく見ると、その10の理由はさらに現象と原因に分けられます。

売れないという結果に対して、具体的な現象は、いくつか悪い点が挙げられています。

  • ターゲット
  • コンセプト
  • 商品名
  • パッケージデザイン

 

これら悪い現象を生み出した原因として考えられるのは、会話の中から5つピックアップできるのではないでしょうか。

 

  • ターゲットのニーズをきちんと理解していない、(技術優先で)ニーズ不在の商品開発を行っている
  • システマティックなプロセスを踏んで商品企画を行っていない
  • 調査対象者をきちんと設計できていない
  • アイデアの質が低く、量が少ない
  • 技術志向の開発を行っている

 

だんだんとどんな商品企画をするのがよいのか、見えてきた気がしませんか?

(つづく)

系統だった商品企画にご興味をお持ちになった方向けに、いくつかメニューをご用意していますので、ご活用ください。

すべてにおいてNeo P7という技術を用います。

 

システマティックな商品企画手法をしっかり習得セミナー 9/12~START!

 

 

 

「WAKU LABO わかる!シリーズ」(無料動画)

「WAKU LABO わかる!シリーズ」(無料動画)
動画はこちらよりご覧いただけます。

「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」を、5つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

1-1 商品企画体系Neo P7の紹介
1-2 商品開発の成功率が低い原因
1-3 ある日の相談風景(全編)
1-4 ある日の相談風景(後編)
1-5「売れない」理由と改良ポイント【まとめ】

「第2回:開発に失敗しないためには(約12分)」を、4つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

2-1 感動商品をシステマティックに創造する方法
2-2 システマティックなやり方を行う
2-3 定性的手法と定量的手法を巧みに組み合わせる
2-4 究極は3つのポイントをおさえる

「第3回:このようなプロセスでやってみよう(約20分)」の解説ブログもお楽しみに!

 

わかる!シリーズ(1-3):ある日の相談風景(前編)

今回は、「WAKU LABO わかる!シリーズ」(動画)の「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」の解説3として、「ある日の相談風景(前編)」がテーマです。

なぜ売れないのか第三者の観点を取り入れることは大切

ここからは、健康食品“ミネバラ”をつくっていらっしゃるメーカーさんが(神田名誉教授宛に)相談に来られた、ある日の相談風景をご紹介しながら商品企画になぜ失敗したのかを考えていきたいと思います。
実名の商品名ではありませんが、実際の悩みをリアルに再現し、動画内ではアニメーション仕立てにしています。
このアニメーションは、著書「神田教授の商品企画ゼミナール」第1章に基づいてつくられています。

その内容を、下記より静止画の読み物に展開します。

相談風景(前編)

「女性向けの健康食品“ミネバラ”が売れなくて困っています。社長に怒られてしまいました」と、ある日、健康食品メーカーの社員の方が2名で(神田名誉教授宛に)相談に来られました。

 

 

 

相談者:女性向き健康食品「ミネバラ」が売れなくて困っているんです!社長にもえらく叱られて。。。。。。
神田:うーーーん。

 

神田:
食べてみましょう。 (おいしくない!!)
何ですか、これは?パッケージも普通すぎる。。。。

ターゲットとコンセプトは何ですか?

 

 

相談者1:
ターゲットは、健康に関心のある女性です。。。。
コンセプトは、「体内のミネラルのバランスを最適に調整して疲れにくい体を作る」です。。。。
栄養補助食品で、いろいろな成分が入っています。。。。

相談者2:
去年、3回、社内の女性にグループインタビューを行い、
学界の権威の先生にも相談して成分の調整もしました。。。。

 

 

神田:グループインタビューからそのコンセプトを発見したのですか?

相談者:いえ、コンセプトは研究開発で決めて、インタビューでは試作品を食べてもらい、そこで出た意見から本格的な開発を始めました。

 

 

神田:他にアイデアはなかったのですか?

相談者1:そうですね。。。。部署内でブレーンストーミングした時に案が2、3ありましたが、いずれも弱かったし、他社の商品に似てきてしまうので,どうも。。。。

神田:部署に女性スタッフはどのくらいいますか?
相談者2:全体の4分の1でしょうか。でも事務的な仕事が多いですね。うちは大体女性の商品企画担当者は昔から少ないですね。。

 

 

 

神田:なるほど、売れない条件が見事に揃っていますね!
相談者1: え?
相談者2: はぁ

 

問題点はいくつ見つかったでしょうか?

ここまでお読みになって、「あれ?」なんかおかしいな、とお気づきの点はいくつありましたか?

答えはつづく後編をぜひご覧ください。

また、問題点がわかった後、どう改善すればよいか、その方法を理解しておくと、実際に行動に移せます。

系統だった商品企画にご興味をお持ちになった方向けに、いくつかメニューをご用意していますので、ご活用ください。

すべてにおいてNeo P7という技術を用います。

 

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「WAKU LABO わかる!シリーズ」(無料動画)

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動画はこちらよりご覧いただけます。

「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」を、5つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

1-1 商品企画体系Neo P7の紹介
1-2 商品開発の成功率が低い原因
1-3 ある日の相談風景(全編)
1-4 ある日の相談風景(後編)
1-5「売れない」理由と改良ポイント【まとめ】

「第2回:開発に失敗しないためには(約12分)」を、4つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

2-1 感動商品をシステマティックに創造する方法
2-2 システマティックなやり方を行う
2-3 定性的手法と定量的手法を巧みに組み合わせる
2-4 究極は3つのポイントをおさえる

「第3回:このようなプロセスでやってみよう(約20分)」の解説ブログもお楽しみに!

 

わかる!シリーズ(1-2):商品開発の成功率が低い原因

今回は、「WAKU LABO わかる!シリーズ」(動画)の「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」の解説2として、「商品開発の成功率が低い原因」がテーマです。

なかなか成功しない商品企画!?

中小企業白書(2017版)によると、新規事業に成功したかどうかの質問に7割超が「成功していない」と回答しています。その要因の第一位に必要なスキルやノウハウを持った人材不足が挙がっています。

それを直接的に「商品企画」の成否にあてはめることはできませんが、多くの企業では、商品開発の成功率はかなり低いといえます。

失敗する商品企画7つの原因

商品企画体系 Neo P7 を開発した神田名誉教授が、研究を通じた経験から、商品企画に失敗するのには必ず原因がある、それは7つあると言っています。

① 顧客のニーズを発見していない?

 

② アイデア・創造性に欠ける(面白くない)?

 

③ 十分に検証せずに発売してしまう?

 

④ 価格が高い?

 

⑤ 技術力が低い?

 

⑥ 品質レベルが低い?

 

⑦ 売り方が下手?

 

 

「企画」段階に問題があることを見落としている

これら7つの原因をご覧になって、製品をつくってしまってから売り方を考えるということはありませんか?
製品をつくると製品のままでしかなく、商品にはなりません。

失敗する7つの原因のうち、企画段階に絞ると4つ。

  1. 顧客のニーズを発見していない
  2. アイデア・創造性に欠ける
  3. 検証せずに発売してしまう
  4. 価格が高い

どうでしょうか。あてはまることはありますでしょうか。

 

 

商品改良の際、または、新規商品の開発の際、企画に入る前に一寸立ち止まって、どのようなプロセスで企画するか計画を立ててみてください。企画のやり方がわからないという場合は、商品開発の「WAKUラボ」へお気軽にお問合せください。

 

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「WAKU LABO わかる!シリーズ」(無料動画)

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動画はこちらよりご覧いただけます。

「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」を、5つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

1-1 商品企画体系Neo P7の紹介
1-2 商品開発の成功率が低い原因
1-3 ある日の相談風景(全編)
1-4 ある日の相談風景(後編)
1-5「売れない」理由と改良ポイント【まとめ】

「第2回:開発に失敗しないためには(約12分)」を、4つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

2-1 感動商品をシステマティックに創造する方法
2-2 システマティックなやり方を行う
2-3 定性的手法と定量的手法を巧みに組み合わせる
2-4 究極は3つのポイントをおさえる

「第3回:このようなプロセスでやってみよう(約20分)」の解説ブログもお楽しみに!

 

わかる!シリーズ(1-1):商品企画体系Neo P7の紹介

「WAKU LABO わかる!シリーズ」について

「WAKU LABO わかる!シリーズ」は、商品企画体系Neo P7 についてメソッド開発者・神田 範明(成城大学 名誉教授)が解説している、Neo P7 紹介動画(無料)です。

こちらは、動画の内容に沿ってブログ形式に編集した情報を掲載しております。
動画も併せてご覧になってみてください。

「WAKU LABO わかる!シリーズ」の動画は3つに分かれています。
第1回  :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)
第2回 :開発に失敗しないためには(約11分)
第3回 :このようなプロセスでやってみよう(約20分)

 

ブログでは、まず「第1回  :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」を、5つに分けて解説します。
1-1 商品企画体系Neo P7の紹介
1-2 商品開発の成功率が低い原因
1-3 ある日の相談風景(全編)
1-4 ある日の相談風景(後編)
1-5 「売れない」ポイントとまとめ

 

今回は、「1-1 商品企画体系Neo P7の紹介」です。
次より、プロフィール、書籍紹介、目標の順にお話しします。

 

Neo P7開発者プロフィール

商品企画体系Neo P7を開発した、神田 範明(現 成城大学 名誉教授)はどんな人でしょう。

27年間、成城大学経済学部で日本一の商品企画ゼミ を実践。

授業やゼミの他、産学協同研究などで多数の企業と実践する中から開発した手法Neo P7(旧「商品企画七つ道具(P7)」)は多くの企業に活用され、ヒット商品を生み出して来ました。

Neo P7に関する講演や研修を実施してくださった企業、活用・導入してくださった企業は200社以上、
産学協同研究は毎年4~6社、計100社以上です。

なぜ様々な企業で活用できるかというと、

  • 誰でもできるアイデア発想法
  • 組織的で巧みな仮説発掘法
  • 科学的なデータ解析手法

を融合して体系化されているからです。

加えて、画期的であるのは、単なる失敗しない商品企画を目指しているのではなく、「感動商品」を企画することを目指した体系であることです。コスト削減ではなく、誰しも難易度が高いと感じてなかなか取り組むことが難しい「顧客価値をいかに高めるか」というテーマに真摯に向き合い、研究と実績を積み重ねて実証された体系がNeo P7です。

神田範明は、成城大学を2020年3月に定年退職し、4月より『WAKU WAKU 創造 LABO』(WAKU LABO)のチーフアドバイザーとして、企業様の商品開発支援、産学協同研究の実施、商品企画の学びコースの講師を務めます。

 

 

書籍紹介

<主な著書>
「神田教授の商品企画ゼミナール」(日科技連出版)
「失敗しない商品企画教えます」(日科技連出版)

「商品企画七つ道具実践シリーズ(全3巻)」 (同上)
「顧客価値創造ハンドブック」  (同上)
「革新のための七つの手法」 (日経BP社)
「商品企画のための統計分析―Rによるヒット商品開発手法」 (オーム社)
「文科系のためのデータ分析入門」 (同文舘) など

 

 

Neo P7の目標

Neo P7は、 「感動商品」の創造・提案が、どんな商品でも、誰でも確実にできるようにする!!
ことを目標に開発された体系です。

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「WAKU LABO わかる!シリーズ」(無料動画)

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動画はこちらよりご覧いただけます。

「第1回 :なぜ商品開発に失敗するのか?(約14分)」を、5つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

1-1 商品企画体系Neo P7の紹介
1-2 商品開発の成功率が低い原因
1-3 ある日の相談風景(全編)
1-4 ある日の相談風景(後編)
1-5「売れない」理由と改良ポイント【まとめ】

「第2回:開発に失敗しないためには(約12分)」を、4つに分けてブログで解説しています。順番にご覧ください。

2-1 感動商品をシステマティックに創造する方法
2-2 システマティックなやり方を行う
2-3 定性的手法と定量的手法を巧みに組み合わせる
2-4 究極は3つのポイントをおさえる

「第3回:このようなプロセスでやってみよう(約20分)」の解説ブログもお楽しみに!

 

属性と水準を効率的に組み合わせたカードをつくる

前回、「コンジョイント分析」のための属性と水準について、例を挙げてご説明しました。
それを思い出しながら、コンジョイントカードづくりを進めます。

コンジョイント分析の属性・水準の例(再掲)

前回の「ペットボトル入りの紅茶」の新商品の開発に向け、出した属性と水準を再掲します。

 

<属性> ⇒ <水準>

「香り」・・・「花の香り」「フルーツの香り」「薬草の香り」「ミントの香り」
「濃さ」・・・「通常」「薄め」「濃いめ」
「ラベルデザイン」・・・「さわやか」「エレガント」「ティーポット」「キャラクター」
「ペットボトルの形状」・・・「通常形」「曲線形」
「甘さ」・・・「ストレート(無糖)」「甘さひかえめ(微糖)」
「カフェイン」・・・「通常(カフェインあり)」「ノンカフェイン」
「おまけ」・・・「なし」「あり(キーホルダー)」

組合せを検討するつくる

上図の属性と水準を組み合わせて、新しい「ペットボトル入りの紅茶」の商品サンプルを、まずつくってみましょう。

 

どうでしょうか。

1つ目の組み合わせパターン
香り:「花の香り」
濃さ:「通常」
ラベルデザイン:「さわやか」
ペットボトルの形状:「通常形」
甘さ:「ストレート(無糖)」
カフェイン:「通常(カフェインあり)」
おまけ:「なし」

2つ目の組み合わせパターン
香り:「花の香り」
濃さ:「通常」
ラベルデザイン:「さわやか」
ペットボトルの形状:「通常形」
甘さ:「ストレート(無糖)」
カフェイン:「通常(カフェインあり)」
おまけ:「あり(キーホルダー)」

1つ目と2つ目は、最後の「おまけ」だけが違います。
これを延々と続けていくと、何時間かかるでしょう。

ひとつひとつ組み合わせていくと、何通りの組み合わせができるでしょうか。

7属性2~4水準の組み合わせ数は、
4×3×4×2×2×2×2=768通りです。

膨大な組合せを効率よく調査するために直交表を活用する

768通りの組み合わせパターンをアンケート調査で顧客に評価してもらうことは不可能ですよね。

そこで、直交表というものを活用します。
直交表とは、実験回数を効率的に減らすために、各属性の水準の組み合わせ方をまとめた表のことで、属性の数と水準の数に応じた表(直交表)が準備されています。

下表は、L16直交表に、新しい「ペットボトル入りの紅茶」の7属性と2~4水準を割り当てた結果です。
そうすると、16通りの組み合わせパターンで済みます。

 

 

表の一番左「№(ナンバー)」がカード数(16)です。
表中1~4の番号は、各属性の水準を表しています。
したがって、カード1の組み合わせは、各属性すべて水準1の組み合わせということになります。

768通りの商品サンプルの評価は不可能ですが、16の商品サンプルなら、顧客に評価してもらえますね。

 

自社の商品開発をコンジョイント分析で行ってみたいという方は、気軽にお問合せください。

直交表について学びたい方は、9月12日から始まるセミナーでしっかり学べますので参加してみてはいかがでしょうか。下記「6ヶ月間・しっかり習得コース」をご覧になってみてください。

システマティックな商品企画手法 しっかり習得 9/12~start!

 

 

 

新商品/新事業企画・開発のための「WAKU WAKU 創造 LABO(ワクラボ)」

 

 
 

新商品ができるまで~商品企画Neo P7をのぞいてみる~

アイデア発想法とは【新商品企画・新事業企画】
焦点発想法をやってみる【新商品企画・新事業企画】
常識を否定する発想法【新商品企画・新事業企画】
グループで回覧板のように書き出す発想法【新商品企画・新事業企画】
たくさんのアイデアから売れるコンセプトを客観的に選択する
客観的な評価を得るメリット
Neo P7「アンケート調査」のポイント1
Neo P7「アンケート調査」のポイント3
Neo P7「アンケート調査」のポイント2
商品企画メソッドNeoP7「ポジショニング分析」の役割
一般的なポジショニング分析との違い【意思決定に役立つ】
開発する商品力を最大化する商品コンセプトの意思決定
コンセプトテストの科学的手法
属性と水準を効率的に組み合わせたカードをつくる
新商品ペットボトル入り紅茶のコンジョイント分析例

 

アンケート調査をするときの10ポイント(4)調査票作成・分析計画

シリーズ最後の回は、「調査票作成」と「分析計画」です。

           

アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画       

          

調査票の作成

調査票作成の考え方は、大きく2通りです。

1.インプットとアウトプットの形式が決まっている。

アウトプットとは、調査データの分析に用いる手法をさします。
インプットとは、調査票の設問形式をさします。
つまり、解析できる設問形式を用意するという意味です。

システマティックな商品企画「Neo P7」は、インプットとアウトプットが決まっています。
やり方は決まっていますが、そこに入れる内容は(当然)個々の開発テーマに沿って練る必要があります。

2.アウトプットもインプットも調査設計者が計画する。

この方法は、調査目的を決めてから具体的な内容を設計しながら詰めていく方法です。
具体的に詰めていく方法をご説明します。

調査設問(質問)は「とりあえず聴こう」とどんどん質問を増やすと失敗します。
調査した後データをどう見たらよいのかわからずデータに振り回されます。そして結局は無駄に。

失敗しないためには、聴きたいことをどんどん出していく方法(下図右「設問」)と調査目的から→課題→仮説→設問→分析手法と(下図左から右へ)順に具体的に落としていく方法と両方からアプローチしながら聴きたいことを整理するとよいです。

調査対象者(モニター)が見る調査票は「設問」(下図右から2列目)だけです。

2.アウトプットもインプットも調査設計者が計画する「調査票作成の方法」

調査実査が終了し、回収後のデータを分析する段階で、各設問が何のために設計されたのか事前に整理しておけば、集計・分析した結果をどう読み取るか迷うことなく行えます。

分析計画

データの傾向を把握するためには、基本集計は不可欠です。
その上で、データ間の関係性を把握し新しい因子を発見するような深い分析は、基本の集計では見いだせない有益な結果をもたらしてくれます。また、検定を実施し正確に差異を把握することで、取り組むべき優先課題が洗い出され、やり尽くしてもうやることはないと思っていなのに、気持ちを新たに事業部一丸となって次の目標に取り組むことができたということもあります。

使う手法を考えるより先に、各設問の回答から何を導き出すかを明確にし計画するとよいでしょう。

分析手法例:
集団の傾向を調べる(単純集計)、質問間の関連を調べる(クロス集計)、関連の強さを調べる(相関)、比率・平均の差を調べる(検定)、改善事項を求める(CSポートフォリオ)、予測モデルをつくる(重回帰分析)、潜在因子を見つけ特性を要約する(因子分析)、類似度を調べる(数量化理論Ⅲ類)、グルーピングする(クラスター分析)、最適な商品コンセプトを決定する(コンジョイント分析)、多変量解析で改善や新規の方向を見出したり因果関係を追求したり、その他さまざまな分析方法が適宜用いられています。

日頃から記録をとることで調査データとして活用できる

アンケート調査10のポイントの個々について概略をお伝えしてきましたが、最後に、「調査」とあらたまって企画しないで日頃の業務の中でデータを蓄積していくと調査データになることもあります。

営業日報が代表例です。
日々の活動記録をデータ化しておくだけでどんどん情報が溜まります。
顧客の属性はもとより経緯や自社商品の利用状況、顧客から聴いた他社情報などの記録は、自分たちの足で稼いで集めた貴重な調査データといえます。
数か月後には集計できるだけのデータ量になるでしょう。

           

「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。

        

マーケティングの基本理論を使いこなすJMLAベーシックパスポート
顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング

アンケート調査をするときの10ポイント(3)調査手法・期間・費用

さて今回は、「調査手法」「調査期間」「調査費用」についてご説明します。

  

アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画       

         

調査手法の種類

アンケート調査の方法は大きく4分類されます。

質問法

回答者に質問形式で調査を行う方法です。

インターネット調査:回答者(モニター)募集式調査の代表的な方法です。消費者調査でよく利用されます。
郵送調査、同梱ハガキ調査:調査票を対象者に郵送して、回答後、投函する方法です。
訪問面接調査:対象者と直接会って、調査員が対面で聴き取る方法です。
グループインタビュー:調査条件に適合する対象者を集め、モデレーターの進行に合わせて座談会形式で意見交換を行う方法です。
など

傾聴法

生活者の自発的な発言を横から傾聴してデータを収集する方法です。

ソーシャルメディア(だれもが参加できる双方向なインターネットサービス)上の会話データを収集する方法です。ブログ、SNS、動画投稿サイト、Wikipediaなどのオンライン百科事典、価格.comや@cosme(アットコスメ)のような口コミサイト、
掲示板などが含まれます。

観察法

対象を観察して調査を行う方法です。

ミステリーショッパー:覆面調査とも呼ばれます。お客のふりをした調査員が店舗を訪問し、接客、品揃え、店舗など、ありのままの状況を評価する方法です。
アイトラッキング:ユーザーの視線を測定し、Webサイトのどこを見て(どこを見ないで)操作に至っているかを確認する方法です。
ユーザーテスト:被験者が課題を実行する過程を観察し、被験者の行動からユーザーインターフェース上の問題点を発見する評価法です。
など

実験法

対象に対して各種マーケティング手法を実践しその反応を調査する方法です。

会場アンケート調査:CLT(セントラルロケーションテスト)とも呼ばれます。新製品を試したり、試作広告・CM評価などを行います。
A/Bテスト:クリエイティブをA/Bパターン用意し、ユーザーを2区分し、より高い反応を得られるパターンをテストします。
など

調査期間の設定方法

リサーチをいつするか、調査目的に沿って決めます。

商品開発のためであれば、開発スケジュールに沿って調査を実施する必要があります。
広告効果測定のためであれば、Before(広告前の実態)ー広告ーAfter(広告後の態度変容)、広告のタイミングに合わせて事前事後2回調査を計画します。
事業戦略を取締役会で報告する必要があるのであれば、それに向けたスケジューリングが必要です。

調査期間は、選択した調査手法によって変動します。
1週間以内でデータ収集できるインターネット調査から、数か月間かかる郵送調査まで幅があります。調査目的と全体スケジュールとのバランスをとりながら適切な調査手法を選択します。

調査費用

調査費用は、調査対象者と回収サンプル数、調査手法、分析方法(後述)、調査会社を活用する否かなど条件によって大きく変動します。工程ごとに費用を積算しましょう。

費用の積算項目

  • 課題整理~調査目的設定
  • 調査設計
  • 実査
  • 集計~分析
  • 社内外へ報告、PR、戦略立案、開発など調査を踏まえたアクション

すべての項目を社内で行うことが可能な事案か、一部を外部に委託した方が成果が得られる事案か、検討します。すべてを外部に委託するのは意味がありません。社内でよく考えながら取り組むプロセスを社内のノウハウとして蓄積していくことはとても大切です。

調査にコストがかかるし調査してもしなくても結果はたいして変わらないという偏った志向は排除した方がよいでしょう。もちろん、無駄に経費をかける必要はありませんが、客観的な評価データは、意思決定に貢献するだけでなく、目的達成にも大きく影響します。

      

「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。

       

(つづく)

        

      

マーケティングの基本理論を使いこなすJMLAベーシックパスポート
顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング

アンケート調査をするときの10ポイント(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率

今回は、アンケート調査10のポイント、「回収目標サンプル数」と「出現率/回収率」についてです。

           

アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画       

          

回収目標サンプル数(サンプルサイズ)を決める

アンケート調査を実施して何件回収するか決めた目標数を、回収サンプル数(サンプルサイズ)といいます。正式用語名は「サンプルサイズ」です。ここでは、回収サンプル数と表記します。

「インターネット調査」をしようと計画していると仮定して、調査対象者を広く「国内の20歳以上の女性」と設定すると、回収サンプル数は、予算があれば数千でも数万でも、希望する回収サンプル数を設定できます。
一方、調査対象者を狭く「小学1~3年生の子供を持つ、かつ、その子供にスマートフォンを持たせて、かつ、スマートフォンでのゲームの遊び方について子供とルールをつくっている親」と設定すると、何サンプル回収できるでしょうか? すぐには割り出せません。

母集団と標本を理解する

「小学1~3年生の子供を持つ、かつ、その子供にスマートフォンを持たせて、かつ、スマートフォンでのゲームの遊び方について子供とルールをつくっている親」を調査対象者と仮設定します。

母集団

① 日本国内の調査であれば、日本国内の小学1~3年生のいる世帯数
② ①のうち、スマートフォンを持っている小学1~3年生のいる世帯数
③ ②のうち、スマートフォンでゲームをしている小学1~3年生のいる世帯数
④ ③のうち、親子で遊ぶルールをつくっている世帯数

標本

上記母集団④を探し出してすべての人にアンケートに回答してもらうのは不可能です。
そこで標本調査を行います。
数十万人のモニターを保有するインターネット調査会社へ実査を依頼するのが効率的です。
(調査票は自社内で作成できるようになるとよいでしょう。)

実査コストを抑えるために、セルフリサーチを活用することも可能です。

「出現率」をおさえておく

「出現率」とは、アンケート回答モニターの中で調査したい対象者がどれくらいの確率で出現するかという意味です。

大手メーカーの誰でも知っている商品ブランドであれば出現率10~20%と予測できますので「出現率」の心配はありません。

しかし、認知度が低ければ低いほど、または、特定の業種・職種・技術職に限定した対象者であればあるほど、「出現率」は低くなり、調査対象者を探し出すのにコストがかさむか、あるいは、コストをかけても対象者が出現しない問題が生じます。

自身の調査目的に沿った調査対象者が、どれくらいの「出現率」があるかについて、調査する前に予測しておきましょう。また、調査対象者を絞り込み過ぎず、少し広い対象に設定するのもよいでしょう。そうすると、調査後のデータを聴きたい対象とそうでない対象とに分けて比較し、聴きたい対象の特徴を把握することができます。

データの「代表性」に留意する

「代表性」とは、一部の偏った意見ではなく調査対象者全体の意見を的確に反映できていることを統計上証明できるデータのことです。

平たくは「何サンプルあればいいのか」ということです。

最大誤差を可能な限り小さくしようとすると必要サンプル数は増大します。

*信頼度95%
*母集団(調査対象の全体)の大きさがおおよそ1万人以上 
の場合、必要n数(サンプル数)は、

n=100で 最大誤差±10%
n=200で 最大誤差 ± 7%
n=400で 最大誤差 ± 5%
n=1000で 最大誤差 ± 3%

最大誤差が± 10%程度あってもよいとするなら、100サンプル回収すればよいことになります。

一般的に、統計的観点からの必要サンプル数は、「400サンプル(最大誤差 ± 5%)」といわれています。

回収率を高める工夫をする

「出現率」と併せて留意しなければならないのは「回収率」です。

自社/ご自身でアンケート調査を実施する場合は、「回収率」に配慮する必要があります。

一番良いのは、アンケート調査票を配布、あるいは配信した総数を100%として何%回収できるか、事前に予測できることです。ですが、アンケート調査が初めて、つまり、1回目の実施の場合、予測はできません。

このことから、

  1.  アンケート調査が1回目の時は、テストケースとして回収率を取得する
  2.  2回目以降は、1回目のアンケート調査の回収率をもとに調査計画を立てる

とするとよいでしょう。

いずれにせよ、1回目の回収率は10%~80%以上とケースバイケースです。その理由は、主に「顧客との関係性」と「調査方法・内容」が影響します。よりよい調査票の作成については下記をご覧ください。

アンケート調査をするときの10ポイント(4)調査票作成・分析計画

     

2回目以降に回収率を上げるための工夫としては、

  • 事前に「調査への協力依頼」を出しておく
  • 調査への協力依頼の際のあいさつ状は、誠心誠意を尽くす(調査主体の名称、連絡先、主旨、対象者抽出方法、個人情報の取り扱い、謝礼などを記載します)
  • 設問文は回答者の立場に立った聞き方にする
  • 調査時間やボリュームに応じた謝礼を準備する
  • 調査対象者のリストを整備する

が、回収率を上げるための主な工夫として挙げられます。

    

回収率つながりで余談になります。

「リサーチ」つまり、何かを知るための「調査」ということから話は飛び、プロモーションや販売促進の部門でも「リサーチ」手法を取り入れた「プロモーション型リサーチ」を行うことがしばしばあります。

  • アンケートに回答するとプレゼントや景品をもらえる
  • アンケートに関係するサービスなどのクーポンをもらえる

といったキャンペーンをからめたアンケートです。

このような景品付きアンケートは、回収率は高まります。

しかしながら、注意しておきたいのは、課題解決のためのリサーチとしては不適切であるということです。

景品を欲しいという目的でアンケートに回答するため、回答者が本心から回答するとは限らないためです。

       

したがって、「リサーチ」の際は目的を1つに絞るのが定石となっています。知りたいことを知る調査と、キャンペーン型調査を同時に1つの調査で実施すると失敗する可能性が高いので、「調査」をしたいときは「調査」に集中し、何かをPRするために「リサーチ手法」を活用するときは「リサーチ型のプロモーション」に限定するというように、分けて行うと良いリサーチ結果が得られます。

       

「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。

       

(つづく)

        

        

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顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング

アンケート調査をするときの10ポイント(1)調査目的・調査課題・対象者

アンケート調査は準備が大切です。

「アンケートは役に立たない」とか「最初から行先を決めてしまっている」というご意見をお持ちの方には、こちらのポイントをおさえていただいて、真のアンケートの効果を実感していただければと思います。

調査市場がなくならないのは、調査が必要だということの証ではないでしょうか。

そこで、本日は調査設計についてお話しします。

文中、「アンケート」「調査」「リサーチ」「サーベイ」という言葉が登場する可能性がありますが、ここでは、定義をしませんので、すべて同様の意味合いととらえてください。

注:「アンケート」はフランス語で「調査」を意味します。「リサーチ」は英語で「研究」を意味しますが、日本では「調査」と類似する意味合いで頻繁に使用されています。「サーベイ」は英語で「調査」を意味します。

           

アンケート調査をするときの10ポイント(シリーズ)
(1)調査目的・調査課題・対象者
(2) 回収目標サンプル数・出現率/回収率
(3)調査手法・期間・費用
(4)調査票作成・分析計画       

          

調査(実査)を開始する前に準備すること

  1. 調査目的
  2. 調査課題
  3. 対象者(誰に聴くか)
  4. 回収目標サンプル数(サンプルサイズ)
  5. 出現率/回収率
  6. 調査手法
  7. 調査期間
  8. 調査費用
  9. 調査票作成
  10. 分析計画

     

「10.分析計画」を準備段階に入れるのは、調査(実査)を始める前に分析方法を計画しておくことで、「9.調査票作成」の際、調査票に分析するための設問を設計できます。それだけでなく、「10.分析計画」があるからこそ「1.調査目的」を達成できることもあります。

調査目的と調査課題

まず、「1.調査目的」「2.調査課題」についてです。

最も大事なのは「1.調査目的」です。
失敗した調査は、100%「調査目的」が曖昧かズレていたケースと言えるでしょう。

「なんのために」
「調査をして何に役立てるのか」

調査目的を明確にするためには、その前に問題や課題の整理が自ずと必要になります。

「2.調査課題」は、「1.調査目的」の下位にあたり、1つの目的を達成するために2~5つ程度のサブテーマのイメージです。

対象者(誰に聴くか)

調査のご経験がない方は、「調査対象者」の意味がわからないと思いますので、簡単にご説明します。

飲料Aを購入したことがある人に、飲用した感想を聴きたい。
この場合の「調査対象者」は、「飲料Aの飲用経験者」です。

「飲料Aの飲用経験者」ってどうやってわかるの? とお思いでしょう。

調査は2段階で行います。
Step1 調査対象者を抽出するためのスクリーニング調査(調査対象者以外も含まれる)
Step2 本調査 調査対象者のみに聴く
このように、Step1で調査対象者を探し出す予備調査を行ってから、Step2で本当に聴きたい相手(調査対象者)に聴きます。

補足すると、女性向け商品のことを、男性に聴いても答えられませんし、60代以上が購買層のサービスを20代に聴いても聴かれた方も回答に困ります。

Step1が不要でStep2から直接始めることができるのは、例えば、自社の顧客データベースを保有していて、調査協力の許諾も得られているので、顧客を層別して対象となる顧客にのみアンケートを配信して回答を得るような場合です。

「調査対象者(誰に聴くか)」を絞るメリットは、聴くターゲットが明確になりシンプルな調査票を作れることです。
ただし、あまりに狭いターゲット設定は、「出現率」(ある条件・調査対象者に合致する人がどれくらいいるか)が低くなり、
せっかく調査しても「代表性」(一部の偏った意見ではなく調査対象者全体の意見を的確に反映できている)に問題が生じます。

次回、「出現率」や「代表性」についてお話しする予定です。
ここでは、「調査対象者」を決めることがシンプルで良い調査ができるということをお伝えしておきます。

(補足)対象者を設定する5グラフィックス

対象者の設定は、下記5つの特性を参考にしながら検討されるとよいでしょう。

1、人口統計的特性

  • 性別
  • 年齢
  • 未既婚
  • 学歴
  • 職業
  • 職種
  • 役職
  • 家族構成
  • 同居家族数
  • 住居形態
  • 年収(世帯/個人)など

2、地理的特性

  • 居住地
  • 最寄り駅
  • 出身地 など

3、経験的特性

  • 購入の有無
  • 体験/経験の有無
  • 認知の有無
  • 購入金額のレベル など

4、心理的特性

  • 考え方
  • ライフスタイル
  • 関心事項
  • 性格 など

5、特殊な特性

  • 医薬研究や学術研究など調査テーマに応じて分析に必要な特性

       

         

「アンケート調査」にもう一歩踏み込んでみてはいかがでしょうか。

        

(つづく)

         

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顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング

分析のためのデータ設計の重要性

入れるデータによってアウトプットが変わる

garbage in garbage out

(ゴミを入れればゴミが出る≒不要なデータからは不要な結果しか得られない)

 

これは、コンピューターの世界ではよく言われることです。

しかし、最初から適確で優良なデータだけを分析しても新たな発見はできないのではないかという考えもあります。
そうはいっても、どんな観点から分析してみてもゴミにしかならないデータが存在します。

特に、組織や事業の戦略立案に際しては、目的に沿ったデータ収集が必要になります。

 

データの代表性

組織や事業のマーケティング戦略を立案のために分析データを設計する際は、まず、分析対象の母集団を想定します。

例えば、自社ECサイトから離反を防止するための戦略立案を目的とすると、分析対象の母集団は何になるでしょう。

一番大きいサイズは、「現在または過去の利用者すべて」です。「現在」とは「過去」とは、それぞれ定義が必要ですが、自社のECサイトを何らか一度でも利用してくれてことのあるすべての顧客が、一番大きいサイズの母集団です。

そこから絞る際は、既に社内で分析がなされている離反の定義に沿って、その定義した範囲を母集団とします。

データのサンプリング

もし、想定した母集団が詳細で小規模ならば、可能な限りすべての顧客データを準備しましょう。

例えば、前回購入から2ヶ月以内に購入履歴がなかった人を「離反予備軍」と定義していて、顧客リストが1万件以内のような母集団を想定した場合、それらの母集団に含まれる戦略に必要な顧客情報を集めることは、それほど大変ではありません。(全数調査といいます。)

しかし、母集団が大きくすべてを集めることが難しいと、一部をサンプリング(標本抽出)することになります。(標本調査といいます。)

標本調査では、母集団の特性をできるだけ再現できるようにサンプリングを行い、その標本を分析することで、本来の調査目的である母集団の特性を推定します。

マーケティングリサーチでは、後者の標本調査が一般的で多用されています。

標本調査のためのサンプリングの方法は、大きく2種類(無作為抽出と有意抽出)あり、さらにそれぞれ具体的な方法が考案されています。
2種類の違いは、有意抽出は意図的に(非確率的に)、無作為抽出は無作為に(確率的に)抽出する方法です。

無作為抽出法の例

無作為抽出法の中で、最もシンプルな方法は、単純無作為抽出法で、母集団から乱数表を用いて必要数をサンプリングする方法です。
より発展的な抽出方法として、層化無作為抽出法や比例配分法があります。

前述のECサイトを例にすると、母集団が現在および過去に利用したすべての顧客とした場合、現在と過去の定義づけをし、「現在顧客」と「過去顧客」の2層に分け、それぞれから無作為抽出で標本をつくるといった方法です。あるいは、調査分析の目的にとって有効な別の層を設定し、層別に無作為抽出を行います。また、層別の大きさに比例した数をサンプリングする方法を比例配分法と呼びます。

 

 

標本抽出においても層化することで調査の精度が高まる効果があり、可能な限り層化をしたほうがよいです。

 

データ設計に課題をお持ちの方は、5つのメニューよりお選びいただけます。

 

マーケティングの基本理論を使いこなすJMLAベーシックパスポート
顧客の潜在ニーズを引き出し商品開発を行う商品企画
人をワクワクさせる感動商品を想像する商品開発プロジェクト
顧客ニーズ(定量データ)からセグメンテーション→ターゲティングアナリスト
人の感性を定量的に分析し戦略立案を行う感性マーケティング

 

参考:アンケート調査10のポイント